ボイスエッセイ

s0010

過去からの贈り物(完)

「岡本、おまえも一緒に来い」
「おれも大阪にか? なんでだ」
「おれたちの青春を書き直すんだ」
「大阪で青春を書き直す? どういう意味だ」
「この流れだ。少しは想像してみろ」
「まさか、飯倉奈都子が大阪にいるって話か?」
「ああ、あのときのままの飯倉奈都子がな」 続きを読む

s0009

過去からの贈り物(下)

20年ぶりに再会するその人は、間違いなく45歳になっているはずだった。なのに、僕は幻覚を見ているのか。その容姿も体型も、髪形も服装も、眩いばかりの精神の溌剌さも、もう何から何まで、僕の記憶に鮮明に焼き付いている、20年前の彼女そのままなのだ。
「語り人さん!」昔のままの澄んだ声で彼女は僕を呼んだ。
タイムスリップした人のように僕はうろたえた続きを読む

s0007

過去からの贈り物(上)

絶賛連載中だった(?)「ジョージの伝言」6章を最後に消息不明になっていた語り人です。えっと、更新が昨年の8月だから、つまり半年近く僕は行方をくらましていたことになる。

続きを楽しみに待ってくれていたかた、そして借金取りみたいな催促のメッセージをくれたかた、ごめんなさい。正直に言います。語り人は居留守を使っていました続きを読む