20年ぶりに再会するその人は、間違いなく45歳になっているはずだった。なのに、僕は幻覚を見ているのか。その容姿も体型も、髪形も服装も、眩いばかりの精神の溌剌さも、もう何から何まで、僕の記憶に鮮明に焼き付いている、20年前の彼女そのままなのだ。
「語り人さん!」昔のままの澄んだ声で彼女は僕を呼んだ。
タイムスリップした人のように僕はうろたえた。 続きを読む
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過去からの贈り物(中)
あらためて僕はこう言わなければならないだろう。
「頼むから、僕を自由にしないでくれ」
ひとりでいることが自由でないことくらい、
僕だって知っている。 続きを読む