「語り人、何やってるんだ!」
振り返ると、そこにいたのはジョージではなくニックだった。
「あんた、ひどい怪我をしてるじゃないか!
肩もやったな。とにかく診療所に行こう」
「だいじょうぶ。それよりどうした?」
「傷の手当てが先だ。歩けるか?」
「ニック、いいから話してくれ!」
「ジョージのことで知らせがあったぞ」 続きを読む
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第4話5章 怒りの代償
「そのとおりだ。違わないよ。それにしても見事な演説だ!」と拍手をしながら言った。「語り人にはかなわないね。きみこそ、何でもお見通しってわけだ」
ジョージの顏を見たのは、それが最後だった。 続きを読む
第4話4章 言葉の力
大きくなった僕は、アメリカ人と喧嘩するどころかアメリカンガールに恋をして失恋して、そして今は変な米兵に弱みを見せまくり、やつといることに奇妙な安らぎさえ覚えるていたらくだ。そんな軟弱な息子を、父は天国から苦々しい思いで見ているのだろうか。 続きを読む
第4話3章 日本のアメリカ
それにしても、この黒人にしては華奢でハンサムな男は、いったい何者なのだ。僕の過去や現在が視えるとでもいうのか。「たしかに視えている」としかいいようのない事態に、僕はひどくうろたえた。 続きを読む