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	<title>声で人生が変わる！「愛と再生」のボイス・ストーリー　ユアボイス・マイボイス &#187; ボイスエッセイ</title>
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	<description>あなたは自分の「声」が好きですか？ あなたは「声」で損をしていませんか？</description>
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		<title>過去からの贈り物（完）</title>
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		<pubDate>Tue, 12 Jul 2016 11:27:07 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[かもめ]]></category>
		<category><![CDATA[チェーホフ]]></category>
		<category><![CDATA[喜劇]]></category>
		<category><![CDATA[海外赴任]]></category>

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		<description><![CDATA[「岡本、おまえも一緒に来い」 「おれも大阪にか？ なんでだ」 「おれたちの青春を書き直すんだ」 「大阪で青春を書き直す？ どういう意味だ」 「この流れだ。少しは想像してみろ」 「まさか、飯倉奈都子が大阪にいるって話か？」 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>「岡本、おまえも一緒に来い」<br />
「おれも大阪にか？ なんでだ」<br />
「おれたちの<b>青春を書き直す</b>んだ」<br />
「大阪で青春を書き直す？ どういう意味だ」<br />
「この流れだ。少しは想像してみろ」<br />
「まさか、<b>飯倉奈都子が大阪にいる</b>って話か？」<br />
「ああ、<b>あのときのままの飯倉奈都子</b>がな」<span id="more-615"></span></p>
<p><b>（</b><b><a href="http://kataribito.net/short/s0009/">過去からの贈り物（下）</a>のつづき）</b></p>
<p>岡本との話し合いは概ね、こちらの思惑どおりに運んだと思う。<br />
それにしても、<b>古巣の職場復帰</b>の話が出たときは驚いた。今さら会社人間に戻るつもりもないし、戻れるはずもない。またその器でもない。</p>
<p>岡本、おまえはおれを買いかぶっている。そもそもの始めから、おれは会社に骨を埋めるつもりなどなかった。自分が<b>組織に向かないタイプの人間</b>であることくらい知っている。だから岡本、おまえのせいじゃない。遅かれ早かれ、おれは辞めていたよ。</p>
<p>おまえのおかげで、おまえの嫉妬のおかげで、<b>おれは出世コースから外れ、絶妙なタイミングで、自然な流れで身を引くことができた</b>。そうでなければ仕事が面白くなっていたおれは、あのままずるずると会社に居続けたんじゃないかな。</p>
<p>そうだよ、岡本。あのとき<b>飯倉奈都子が姿を消した</b>のは、これもおまえのせいにするつもりはない。結局は<b>おれと奈都子の問題</b>だからだ。</p>
<p>あのとき奈都子は、<b>おれを追って赴任地にやってきた</b>。おれが呼び寄せたんじゃない。相談すれば反対されるに決まっている。だから彼女は奇襲作戦に出た。</p>
<p><b>予告なしの来訪</b>に絶句するおれを見て、奈都子はべそをかく子どもみたいなよるべない顔をした。そのくせ「来ちゃった」と言っておどけてみせた。</p>
<p>おまえもよく知っている、おれの<b>およそ栄転とはいえない、時期外れの、必然性のない海外赴任</b>。その原因の発端はそもそも自分にあると、奈都子は責任を感じていたんだ。</p>
<p>だからうちの<b>内定を手放し就職もあきらめ</b>、16時間かけて<b>海を渡っておれのところにやってきた</b>。ベッドルームがひとつしかない単身用の、お世辞にも快適とはいえない部屋。かつて一世紀以上も前に、<b>有名な画家がアトリエに使っていた</b>という触れ込みだけが自慢の、古色蒼然たるアパルトマンに。</p>
<p>もちろんおれは、<b>すぐに奈都子を日本へ帰すつもりだった</b>。</p>
<p>だが翌日、日本から彼女の大量の荷物が届いた。ほとんどが食品で、<b>保存がきく発酵食品や海藻類、乾麺や菓子類</b>などがぎっしり詰まっていた。それから相当数の<b>本と卒論のための資料</b>。「服は？」と訊くと「衣類はこっちで季節ごとに揃えるつもり」と笑った。</p>
<p>ああ、<b>長期滞在するつもりで奈都子はやってきた</b>んだ。</p>
<p>彼女の言い分はこうだった。卒業のための単位はすでに取っている。あとは八割がた出来ている卒論を仕上げるだけ。食事などの家事はちゃんとやる。だから、<b>どうか私を追い返さないでくれ</b>。</p>
<p>「就職は？」と訊くと「就職はしない」と奈都子は小声で、しかしきっぱりと答えた。<b>彼女はおれの赴任期間の一年を、ここで共に暮らすと決心してきた</b>のだ。どうして追い返すことなどできただろう。</p>
<p><b>飯倉奈都子と過ごした異国での日々</b>のあれこれを、ここでおまえにつらつら語るつもりはない。ただ、これだけは言っておく。岡本、おまえは誤算をしたよ。<b>奈都子とおれを引き離そうとしたことが、逆に奈都子とおれを離れがたくした</b>のだ。そんなおまえの誤算に、おれは感謝するべきかな。</p>
<p>だが、おれもまた誤算をした。<b>人生最大の誤算</b>を。</p>
<p>ふたりの異国での暮らしも三月が過ぎた頃だった。こんな言い方をすると、おまえはまた嫉妬に狂うかもしれないが、それは<b>おれと奈都子にとって蜜月ともいうべき、不器用ながらも幸福な生活</b>だった。</p>
<p>ある日、奈都子が買い物に出かけていたとき、おれは何とはなしに奈都子の本を手に取った。それは<b>メディア論の原書</b>だったが、開いたページから一通の封書がこぼれ落ちた。<b>奈都子の大学の担当教授</b>からの書簡だった。</p>
<p>いけないと思いつつも、<b>これは自分が知るべき重要な手紙だ</b>と直感したおれは、急いで便箋の文字に目を走らせた。</p>
<p>教授はまず卒論を読んだこと、そしてその内容が素晴らしい出来であることを評価したうえでこう書いていた。「<b>就職の内定を蹴ったのなら大学院に進みなさい</b>。このままではいけない。とにかく一度、帰ってきなさい。じっくり話し合おう。<b>きみの将来のために、悪いようにはしない</b>」</p>
<p>おれが驚いたのは、<b>上から目線のおとな</b>がよく言う「悪いようにはしない」という決まり文句じゃない。それは＂追伸＂として記された文言だった。</p>
<p>「岡本という男が大学に私を訪ねてきた。<b>きみが就職するはずだった会社の人</b>だね。きみの居所をしつこく尋ねられたが、<b>彼に何か普通でないものを感じた</b>ので知らないと答えておいた。それでよかったかな？」</p>
<p>いま思えば、<b>おれはもっとおまえを警戒すべきだった</b>のだ。だがそのときは、奈都子の進路のことで頭がいっぱいだった。おれのために彼女の将来を潰すわけにはいかない。<b>とにかく奈都子を日本に帰すこと</b>、それが最優先事項だった。</p>
<p>買い物から帰ってきた奈都子はいつも以上に上機嫌で、ドアをあけるやいなや弾んだ声を出した。「あのね、今日いつものパン屋さんでね、マダムって呼ばれたの。ずっとマドモアゼルだったのに、マダムよ！」</p>
<p>おれは黙ったまま、奈都子に教授の手紙を差し出した。</p>
<p>奈都子の顏に一瞬暗い影が落ちたが、すぐに笑顔を取り戻すと「読んだ？」と悪戯っぽい表情で言った。「心配しないで。卒業式のときにちょこっと帰るけど、すぐに戻ってくるから…」</p>
<p>言い終わるまえにおれは奈都子を遮った。<br />
「<b>教授の意見にはおれも賛成だ。院に進学しろ</b>」</p>
<p>「院にはいつでもいけるわ。<b>今はあなたとここにいることが、わたしには大事なことなの</b>。迷惑…かな」<br />
「ああ、はっきり言って、迷惑だ。これ以上<b>お嬢様のお遊び</b>に付き合うほど、おれは暇じゃない」<br />
「本気で言ってる？」<br />
「知ってるだろ、おれはいつも本気だ」</p>
<p>岡本、<b>おれは本気で嘘をついた</b>よ。</p>
<p>そうしておれは、<b>奈都子を強制的に帰国させた</b>。おまえが待ち構えている東京に。あんなことになるなんて知る由もなく。</p>
<p>あのとき奈都子を手離さなければ。マダムと呼ばれ無邪気に喜ぶ彼女を、思いきり抱きしめていれば。おれは今でも、<b>歯ぎしりするほど後悔している</b>よ。</p>
<p>おれは奈都子の担当教授に手紙を書いた。奈都子とここで暮らしていたこと、そして<b>近い将来、奈都子と結婚するつもりでいる</b>ことを率直に伝えた。自分が帰国するまで、どうか彼女を守り導いてあげてほしいと。教授からすぐに返信が届いた。</p>
<p>「きみのことは飯倉くんから聞いている。まずは彼女を帰してくれてありがとう。責任を持って飯倉くんを預かる。だが、<b>彼女を守るのは私ではなく、きみの仕事だよ</b>」</p>
<p>結局おれは、<b>奈都子を守ってやることができなかった</b>。</p>
<p>何よりおれの最大の過ちは、岡本、<b>おまえに奈都子とのことを徹底して秘密にしたこと</b>だ。奈都子は奈都子で、<b>大学を卒業するまで誰とも恋愛しない</b>と、おまえに言った自分の言葉に縛られていた。</p>
<p><b>おまえの奈都子への熱愛ぶり</b>は、周囲の誰もが知っていた。この<b>飛びぬけて優秀な美しい女</b>をものにするのは岡本しかいないと、誰もが思っていたはずだ。一方、おれと奈都子の関係は、おそらく誰ひとり感知していなかっただろう。岡本、おまえを除いては。</p>
<p>おまえだけが、<b>恋する者特有の嗅覚</b>で、おれたちの関係に感づいていた。そして感づいていながら、感づいていないふりをした。<b>検証されていない以上、それは今のところ事実ではない</b>。おまえはそう考えたのだろう。</p>
<p>案の定、<b>奈都子の卒業式の日におまえは現れた</b>。それは想定内だった。大学の正門前に佇むおまえの姿を教授が確認している。教授は機転を利かせ、奈都子を裏門から帰した。奈都子が出てくるのを待って、おまえは何時間もそこに立ちつくしていたそうだな。</p>
<p>奈都子はおまえに申し訳ないと思っていたようだが、おれはおまえに同情はしない。<b>卒業式という晴れの日に、大学を裏門から出て行かねばならなかった奈都子</b>をこそ哀れに思う。</p>
<p>だが、これであきらめるおまえじゃない。</p>
<p>その後の話はおれが語るまでもないが、とにかくおまえは、<b>とうとう奈都子を探し当てた</b>。自然な再会を装い、持ち前の人懐っこさで奈都子の警戒心を解いた。そうして少しずつ、<b>奈都子の生活圏に踏み込んでいった</b>。</p>
<p>もともと奈都子は、決しておまえを嫌ってはいなかった。上からは信頼され、下からは慕われる人望の厚いおまえを、むしろ尊敬していた。</p>
<p>ただ一方で、<b>目的のために手段を選ばないおまえという人間</b>を怖れてもいた。人ひとりを簡単に海外に飛ばしてしまえるおまえの、<b>直情的で容赦ない冷徹さ</b>と、会社での影響力を怖れていた。</p>
<p>そんなおまえに見つかってしまったのだ。かくれんぼが終わってもなお、奈都子は「まあだだよ！」と心の中で叫び続けていた。おまえを<b>受け入れることも拒むことも、どちらもできなかった</b>のだ。</p>
<p>自分の出方次第で、またおれに累が及んでしまう。だから、<b>ふたりの関係は断じて知られてはならない</b>。奈都子はそう思った。</p>
<p>それは岡本、おまえにとってむしろ好都合だった。<b>知らないふりをすることで、おまえは自由に奈都子に接近できた</b>わけだからな。人の弱みにつけこむ卑劣なやり方だ。</p>
<p>おれが知っているのはここまで。なぜって、<b>奈都子がいなくなった</b>からだよ。</p>
<p>そうだ。おまえの前から姿を消しただけじゃない。<b>奈都子はおれにも連絡を寄こさなくなった</b>。電話も通じない。アパートも引き払ったらしく、手紙は宛先不明で戻ってきた。</p>
<p>教授か？ もちろん電話したよ。だが彼の受け答えは要領を得ないもので、何かあると思ったおれはすぐに休暇を取って帰国し、教授に会いに行った。おまえも行ったんだろう？ 教授の研究室に。</p>
<p>ああ、はじめはおれにも「知らない」の一点張りだった。だが、<b>教授が知らないはずがない</b>。彼の表情には明らかに、<b>事情を知っている人の困惑</b>が見て取れた。そしてもうひとつ、<b>おれに対する憐憫の情</b>がそこにはっきりと表れていた。</p>
<p>「頼むから、<b>彼女を探さないでくれ</b>」<br />
やがて教授は絞り出すように言った。<br />
「それで僕が納得して帰るとお思いですか」<br />
おれは教授につめ寄ったよ。<br />
「きみが納得しないのはわかっている。わかっているが、<b>今はそうお願いするしかない</b>」</p>
<p>「なぜ先生が、僕にお願いするんですか？ 僕がお願いしているんです。<b>いったい奈都子に何があったんですか？</b> 彼女に会わせてください」</p>
<p>「きみには悪いが、わたしは飯倉くんの意思を尊重する」<br />
「黙って姿を消して、もう会わないというのが<b>奈都子の意思</b>ですか」<br />
「飯倉くんを無理やり帰国させた、わたしの責任だ。本当にすまない」</p>
<p>教授は何度も首を振って、深いため息を吐いた。</p>
<p>「それなら僕も同罪です。彼女を帰したことを、いま激しく後悔しています」<br />
「とにかく心配しないでくれ。飯倉くんは元気だ」<br />
「先生は、奈都子の居場所をご存知なのですね」</p>
<p>「<b>いつか必ず、彼女はきみの前に現れる</b>。それまで待ってやってくれないか」</p>
<p>「それはいつですか。<b>半年後ですか？ 一年後、五年後、それとも二十年後ですか！</b>」</p>
<p>おれの剣幕に教授は一瞬ひるんだが、覚悟を決めるように言った。<br />
「<b>飯倉くんとの結婚は、もうあきらめたほうがいいだろう</b>」<br />
「それも奈都子の意思ですか。それとも先生のご意見ですか？」</p>
<p>「これだけは伝えておこう。きみは私への手紙に、<b>飯倉くんと結婚するつもりだ</b>、と書いたね。それを話したら、彼女は目を潤ませて喜んでいたよ」</p>
<p>そう言うと教授は、心から申し訳なさそうな顔をして言葉を繋いだ。<br />
「それなら何故？と、きみは問いたいだろう。だが、その質問はしないでもらいたい。飯倉くんもそれを望んでいる。<b>人生には知らないほうがいいこともたくさんある</b>」</p>
<p>まだ若かったんだな。おれはこうした、<b>上から目線のおとなの常套句</b>が大嫌いだった。「人生には知らないほうがいいこともある」「あきらめたほうがいいだろう」「悪いようにしないから」などなど。</p>
<p>頭にきたおれは、こともあろうに<b>腕づくで教授から真相を聞き出そう</b>と考えた。<br />
「<b>知るべきことを知らないですませる</b>頓馬な生き方を、僕はしたくない。その気になれば、先生の口を割らせることは、それほどむずかしいことではありませんよ」</p>
<p>「きみはやさ男のくせに腕っぷしは強いと、飯倉くんから聞いている。<b>それでも、わたしはしゃべらない</b>。わたしはケンカはからっきしダメだが、<b>暴力に屈しない強さ</b>は持っているつもりだ。試してみるかね？」</p>
<p>「<b>奈都子を守るのは僕の仕事だ</b>って、先生はおっしゃった。なのにどうして、先生が守ろうとしているんです？ いったい<b>先生は、奈都子の何を守ろうとしているんですか！</b>」</p>
<p>「何度も言ったよ。いま私が必死に守ろうとしているのは、飯倉くんの意思だ。いいかね、語り人くん。私たちはもはや、<b>彼女の意思を守ってやること</b>しかできないのだよ。なぜなら…」</p>
<p>教授はここで言い淀んだ。おれの身体に緊張が走った。<br />
次の言葉だ。<b>教授は必ずヒントをくれるはずだ</b>、とおれは直感した。<br />
「なぜなら？」おれは柔らかい声で復唱した。</p>
<p>「飯倉くん自身が<b>守る側</b>を選択したからだ。<b>守られる側</b>ではなくてね」</p>
<p>「さあ、ここまでだ。もう十分だろう。帰りたまえ」<br />
そう言うと教授は、<b>もう何ひとつしゃべらない</b>とばかりに目を閉じ、口を真一文字に結んだ。<b>教授も奈都子の熱烈なファンのひとりなのだ</b>と、そのとき思った。</p>
<p>「<b>奈都子に伝言をお願いできますか</b>」おれは最後の手に打って出た。<br />
「言ってみなさい」教授は目を閉じたまま言った。</p>
<p>おれは自分の言葉じゃなくて、奈都子の好きな<b>『かもめ』</b>の、ある台詞の一部分を朗誦した。</p>
<p>「君は自分の道を見つけて、ちゃんと行く先を知っている。だが僕は相変らず、妄想と混沌のなかをふらついて、一体それが<b>誰に、なんのために必要なのか</b>わからずにいる。僕は信念が持てず、<b>何が自分の使命か</b>ということも、知らずにいるのだ」</p>
<p>「<b>チェーホフ</b>、かね」教授は薄目を開けて言った。「わかった。伝えよう」<br />
「先生、僕は<b>悲劇</b>を演じればいいんでしょうか？ それとも、これは<b>喜劇</b>ですか？」<br />
「チェーホフなら＂<b>喜劇だ</b>＂と言うだろうね」<br />
おれは笑って「そうですね」と返して、もうひとつ教授に伝言を頼んだ。</p>
<p>「<b>会社は辞める。だから、もう心配するな</b>」</p>
<p>案の定、教授はこの言葉に反応した。目を見開いて、はじめて大声を出した。<br />
「馬鹿なことを言うんじゃない！ <b>それじゃあ、飯倉くんは何のために</b>…」</p>
<p>教授はここで言葉を止めたが、もう遅い。これですべてがわかった。<br />
いや、すべてじゃないな。<b>ひとつだけ、わからないことがあった</b>。それが判明したのは、つい最近のことだよ。</p>
<p>「もっと早く辞めるべきでした」<br />
そう言っておれは教授に頭を下げ、研究室をあとにした。教授の<b>上から目線のおとなの常套句</b>を背中に聞きながら。「<b>人生を棒に振るんじゃないぞ！</b>」</p>
<p>岡本、あのまま会社にいたら、<b>おれはおまえを、殺していたよ</b>。</p>
<p>あははは。心配するな。今はそんなこと考えていないよ。そうだな。おまえの命は、奈都子に救われたわけだ。償いをしたい？ <b>償いなんて言ってるうちはダメだな</b>。それは自己満足に過ぎない。<b>おまえに自己満足なんかさせてたまるか</b>。</p>
<p>さあ、物語も佳境に入った。<b>ここからが大事な話だ</b>。岡本、覚悟して聞け。</p>
<p>ひと月ほど前、奈都子から連絡がきた。ああ、<b>Facebookからのメッセージ</b>だ。<br />
そして一週間前、<b>彼女は東京にやってきた</b>。そうだ、おれに会いにきたんだ。<br />
二十年ぶりだぞ。正確には二十二年ぶりになるな。</p>
<p>だから、<b>あのときのまんまの奈都子</b>が目の前にいて、おれは腰が抜けそうになった。<b>彼女は四十五歳のはずだ</b>。ありえないことだった。</p>
<p><b>謎はすぐに解けた</b>よ。</p>
<p>彼女はおれの背後からきた人に視線を移すと、その人に声をかけた。<br />
「あっ、ママ！ 語り人さん、<b>やっぱり私をママだと思ったみたいよ</b>」</p>
<p>そうだ。ママと呼ばれたのが奈都子で、ママと呼んだのが<b>娘の＂千絵＂</b>だ。</p>
<p><b>チェーホフからとった名前</b>だそうだ。美しい名前だろ？</p>
<p>どうした？ 岡本、顔色が悪いぞ。<b>自分の子どもかどうか、心配なのか？</b></p>
<p>奈都子は最後まで、それを明かさなかったが、おれにはわかった。そして、<b>おれがわかったことに奈都子は気づいた</b>。おまえも、会えばわかる。それまで、悶々と苦しむがいいよ。</p>
<p>二十二年前、<b>お腹に子を宿したことを知った</b>奈都子は、京都の実家に身を寄せた。母方の性を名乗り、名前も漢字を変えた。つまり、それほどおれたちから身を隠したかったわけだ。</p>
<p><b>おれは奈都子を探さない</b>と教授に約束したから、京都には行かなかった。おまえは行ったそうだな。だが、ここでもおまえは門前払いをくらい、奈都子に会うことはかなわなかった。<b>おまえも、つくづく悲しい男だよ</b>。</p>
<p>ああ、もうこんな時間か。おれは終電で帰るぞ。明日も早いからな。<br />
朝まで飲もうって？ バカか、おまえは。昔の話をしてるからって、昔に戻った気になるな。<b>おれたちはもう若くない</b>んだ。ここから先は駆け足で話すぞ。</p>
<p>千絵が三歳のとき、<b>奈都子は千絵を連れアメリカに渡った</b>。</p>
<p>奈都子はもともと帰国子女で、中学まで向こうにいたのは知ってるよな。その家には当時、奈都子の母の弟夫婦が住んでいて、母子はそこに居を定めた。さらに教授の推薦で、近くの大学院に籍を置いたそうだ。ドクターを取得したあとは、<b>美術館や図書館の運営</b>などに携わっていたらしい。</p>
<p>十年後に帰国して京都に戻り、京都と大阪の<b>美術館や歴史資料館</b>、それから<b>劇場やシンフォニーホールの立ち上げ</b>に尽力した。さらに<b>ＵＳＪのイベント企画</b>を手掛けたりもした。そして現在は、<b>大阪の名門私立大学の教授</b>でもある。</p>
<p>千絵が話してくれたよ。<b>二十二年間の奈都子の来歴</b>を。千絵は話がじょうずなんだ。奈都子は、ただ黙って微笑んでいて、おれの表情の変化を見て楽しんでいるようすだった。</p>
<p>驚いたか？ おれはうれしかったよ。<b>奈都子は娘を守って、おれとおまえを守って、そしてちゃんと自分も守った</b>。ああ、奈都子は今でもとびきりの美人だよ。そうだ。ずっとシングルマザーだ。</p>
<p>千絵は、おれのことをずっと「<b>お父さんだと思っている</b>」と言った。それから、こうも言った。「ママったらスゴイわよね。だって、<b>私にはお父さんがふたりいる</b>んだもの」</p>
<p>そうだよ。奈都子はおれたちから身を隠したが、<b>娘に対して隠し事はしなかった</b>。千絵が幼いころから「ママが愛した男性」と言って＂<b>千絵のふたりのお父さん</b>＂の話を聞かせていたらしい。</p>
<p>おい、泣くな岡本。みんな見てるぞ。おれが泣かしてるみたいじゃないか。</p>
<p>では、<b>なぜこのタイミングで、奈都子はおれの前に姿をあらわしたのか。</b></p>
<p>たぶん、千絵だと思う。千絵はおれたちの、いや、おまえの会社に入りたがっている。<b>母親が果たせなかったことを、自分が果たそうと考えている</b>んだろう。あるいは、これは<b>奈都子が二十二年間、目論んできたこと</b>かもしれない。</p>
<p>いずれにしても、<b>過去からの素晴らしい贈り物</b>だと思わないか？</p>
<p>岡本、<b>これからおまえがやるべきこと</b>が何か、わかったな。</p>
<p>まだ飲むのか！おまえがそんなに泣き上戸だとは知らなかったよ。</p>
<p>じゃあ、おれは帰るぞ。<b>大阪行きの日程</b>が決まったら連絡してくれ。</p>
<p>（エピローグ）</p>
<p>「なあ、語り人。ひとつ教えてくれ」<br />
岡本はおしぼりで涙を拭きながら言った。<br />
「もう質問は受け付けない。終電に間に合わなくなるだろ」</p>
<p>「なんで、<b>大阪の仕事</b>が必要なんだ？」岡本はかまわず訊いた。<br />
「ああ、そのことか。奈都子と千絵が、どうしてもおれの<b>収録現場</b>を見たいって言うんだ」</p>
<p>「なるほど、そういうことか。<b>妻と娘の＂パパのお仕事参観＂</b>ってやつだな」<br />
「岡本、おまえやっぱり、おれに絞め殺されたいらしいな」</p>
<p>「おれも、ぜひ見たいよ。おまえの収録現場」<br />
「おまえは見なくていい。パチンコでもやってろ」<br />
「語り人、<b>へたくそだったら会社に連れ戻すからな</b>」<br />
「おお、そりゃ大変だ。死ぬ気で頑張らなきゃな！」</p>
<p>そう言うと岡本は、笑いながら握手を求めてきた。</p>
<p>「時間を取らせて悪かったな。おもてに車を待たせてある。寝ながら帰ってくれ」<br />
「まさかおまえ、社用車じゃないだろうな」<br />
「違うよ」と言いながら、岡本は握手をした僕の手に一枚の紙を握らせた。</p>
<p>「なんだ、タクシーチケットか」<br />
「お車代でございます」<br />
「お車代はふつう現金だろ」</p>
<p>「現金はどうかご勘弁を。これから<b>何かと物入り</b>になるんでね。おい、語り人、<b>娘へのプレゼント</b>は何がいいかな？ 二十二年分だからな、そうとう弾まなきゃならんだろう。おまえもだぞ。大阪に行く前に一度、打ち合わせをしよう」</p>
<p>岡本、<b>つくづく憎めないやつ</b>だよ、おまえは。<br />
千絵はきっと、<b>おまえのことを大好きになる</b>だろう。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><b>『過去からの贈り物』─ 完 ─</b></p>
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		<title>過去からの贈り物（下）</title>
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		<pubDate>Sat, 13 Feb 2016 02:41:10 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[バー]]></category>
		<category><![CDATA[丹田]]></category>
		<category><![CDATA[嫉妬]]></category>

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		<description><![CDATA[２０年ぶりに再会するその人は、間違いなく４５歳になっているはずだった。なのに、僕は幻覚を見ているのか。その容姿も体型も、髪形も服装も、眩いばかりの精神の溌剌さも、もう何から何まで、僕の記憶に鮮明に焼き付いている、２０年前 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>２０年ぶりに再会するその人は、間違いなく４５歳になっているはずだった。なのに、僕は<b>幻覚を見ているのか</b>。その容姿も体型も、髪形も服装も、眩いばかりの精神の溌剌さも、もう何から何まで、僕の<b>記憶に鮮明に焼き付いている、２０年前の彼女そのまま</b>なのだ。<br />
「語り人さん！」昔のままの<b>澄んだ声</b>で彼女は僕を呼んだ。<br />
<b>タイムスリップした人のように僕はうろたえた</b>。<span id="more-609"></span></p>
<p><b>（</b><a title="過去からの贈り物（中）" href="http://kataribito.net/short/s0008/"><b>過去からの贈り物（中）</b></a><b>のつづき）</b></p>
<p>&nbsp;</p>
<p>と、ここまで書いて僕は筆を止める。<br />
まずい。このまま書き進めていけば、またしても<b>長大な物語</b>になる。</p>
<p>そもそも<b>本稿はエッセイだった</b>はず。しかし、エピソードの端緒を僕はすでに書いてしまった。ディテール描写はなるべく控えるので、どうかこのままお付き合い願いたい。</p>
<p>というわけで、<b>いきなり出てきた謎の女性「奈都子」とは何者なのか</b>。その話をするにはここでもう一人、<b>このエピソードに欠かせない重要人物</b>に登場してもらわねばならない。</p>
<p>僕と<b>同期入社で同い年</b>のその男は、最年少で役員に就任し、今や<b>次期社長</b>と目される大物だ。名前を岡本としておく。岡本とはおよそ10年ぶり、いや酒を酌み交わすのは25年ぶりだった。</p>
<p>僕たちは昔よく一緒に飲んだ<b>銀座のバー「ルパン」</b>にいた。</p>
<p><b>アルセーヌ・ルパン</b>の名前に由来したこの店は、昭和三年から続く<b>老舗の文壇バー</b>で、<b>川端康成</b>、<b>永井荷風</b>、<b>泉鏡花</b>、<b>菊池寛</b>など錚々たる作家たちの溜まり場だった。<b>太宰治や坂口安吾</b>も常連だったことで知られている。</p>
<p>場所柄もあってか、当時から<b>新聞社の人間</b>や、丸の内の<b>三菱系の会社員</b>も多く出入りしていた。</p>
<p>ビアジョッキ２杯を空けて、それから岡本は山崎１２年のオンザロック、僕はドライマティーニでふたたび乾杯した。それが合図だったみたいに岡本は急にあらたまった態度で言った</p>
<p>「語り人、あのときはすまなかった。おまえの味方をしてやれなかった。おまえはいつだっておれをかばってくれたのに」</p>
<p>彼がいつの何の話をしているのかすぐにわかったが「いったい何の話だ？」と僕はとぼけてみせた。岡本はそのときの出来事を苦渋の表情でぽつぽつ語り、最後にもう一度、僕に謝罪した。しかし岡本は全部を話していない。<b>核心的な部分を巧妙にぼかしていた</b>。</p>
<p>「昔のことだ。おれが覚えてるのは、おまえは人気者で、おれは嫌われ者だったということだけだ。<b>人気者には人気者の仕事があり、嫌われ者には嫌われ者の仕事がある</b>。おれたちは結構、いいコンビだったよな」</p>
<p>僕がそう言って笑うと、岡本は目を潤ませて何度も頷いたあと、ふっと表情を緩めて言った。「変わってないな、語り人は。<b>そんなおまえに、おれはずっと嫉妬していたんだ</b>」</p>
<p>「嫉妬だって？ 冗談じゃない！」僕は呆れたように返した。岡本は同期で一番の出世頭で、若手の花形社員だった。同期の男子社員みんなが多かれ少なかれ<b>彼に嫉妬していた</b>のだ。</p>
<p>「おまえは嫉妬なんかしないだろ？」<br />
僕の目を覗き込むようにして岡本は言った。<br />
「いかにも。それが<b>嫌われ者の流儀</b>でござる」<br />
僕がおどけてそう言うと、岡本はからだを揺すって大声で笑った。</p>
<p>途中から僕は気づいていたが、<b>彼もまた過去の後悔を引きずっていた</b>。そして禊（みそぎ）のために、今の自分を書き直すために僕に会いに来たのだ。ならば、僕も腹をくくろう。今こそ岡本と僕がそれぞれに隠し持ってきた<b>パンドラの箱</b>を開けるべきときだった。</p>
<p>「おれにもある。<b>おまえに謝らなければならないこと</b>が」<br />
声のトーンを変えて僕が言うと、岡本は「きたか」という顔をした。そのくせ表情とは裏腹な言葉を口にした。「そんなもん、おまえにはないだろう」</p>
<p>「<b>飯倉奈都子</b>。覚えてるか？」<br />
「忘れるはずがない。<b>おれたちのアイドル</b>だった」<br />
僕の問いかけに岡本は即答した。</p>
<p>その当時、僕たちの部署に<b>編集アシスタントの女子大生</b>がいた。今でいうインターンシップ生だ。大学三年生の彼女は、卒業後この会社への就職を志望していた。</p>
<p>「いい子だったよな。<b>美人で頭が良くて</b>、そのうえ<b>素直で気立てが良くて</b>。<b>ミステリアスな雰囲気</b>も魅力だった。おまえの意見は？」</p>
<p>岡本は<b>飯倉奈都子の熱烈な讃美者</b>だった。</p>
<p>「<b>声がきれい</b>で、<b>話すときと食べるときの口元もきれい</b>だった」<br />
僕が答えると、岡本は大きく頷いて言った。「<b>パーフェクトな女</b>だった」</p>
<p>岡本だけじゃない。若手男子社員のほぼ全員が、彼女の気を引こうとやっきになっていた。</p>
<p>そんなあるとき、岡本のかけ声のもと「<b>飯倉奈都子の純潔を守る会</b>」という、なんとも馬鹿げた会が発足した。</p>
<p>いわく、<b>飯倉奈都子に個人的感情を抱いてはならない</b>。いわく、<b>飯倉奈都子を個人的に食事および飲みに誘ってはならない</b>。他にも１０項目くらいあったと思うが、結びの言葉はこうだった。<b>飯倉奈都子に手を出すやつはこの岡本が許さない</b>。</p>
<p>「あの子は内定を控えたうちのアイドルだ。我が社にきれいなかたちで入社できるよう、みんなで大切に守って応援してあげようじゃないか！」</p>
<p>岡本がなぜ急にこんなことを言い出したのか、僕は知っている。岡本はひた隠しにしていたが、<b>真っ先に飯倉奈都子に個人的感情を告白したのは他ならぬ彼だった</b>。その事実を僕は飯倉奈都子本人から聞いていた。</p>
<p>彼女は岡本からの交際の申し出を、遺恨が残らないよう上手に断った。<b>卒業してこの会社に入社するまでは誰とも恋愛するつもりはない</b>。だからお願いだ。そのときまで静かに見守っていてほしいと。</p>
<p>自信家の岡本は、これを拒絶とは取らなかった。むしろ控えめな肯定と捉え、ますます熱を上げた。<b>飯倉奈都子にふさわしい男は自分しかいない</b>。だからそのときまでは<b>誰にも、断じて、指一本触れさせない</b>。あの子をものにするのは自分なのだ。</p>
<p>「飯倉奈都子がどうした？」岡本はロックグラスを揺らしながら眉間に皺を寄せて険しい顏をした。このとき僕は確信した。この男は知っている。やはり岡本は、<b>飯倉奈都子と僕の関係を知っていた</b>のだ。</p>
<p>「その後おまえが海外に赴任してまもなく、彼女は突然うちを辞めた。せっかく手にした内定も返上した。それは…」ここで岡本は言葉を止めた。<b>絶妙な「間」</b>だと感心している自分が可笑しかった。</p>
<p>「それは、おれのせいだと思っていた。はじめはな。いや、やっぱりおれのせいだろう」<b>ひねりを入れた巧妙な言い方</b>に、僕はまたしても感心してしまった。しかし感心ばかりしている場合じゃない。<b>岡本は僕に自白させようとしている</b>。だからここへ呼び出したのだ。</p>
<p>「そうだよ。おれは<b>抜け駆け</b>をした」僕はすんなり自白した。<br />
「それはおれの抜け駆けの前かあとか、つまり、おれが<b>飯倉奈都子の純潔を守る会</b>をつくった前かあとか、どっちだ？」岡本も自分が抜け駆けしていたことを自白した。</p>
<p>「あとだ」と僕は正直に答えた。<br />
「そうか、あとか…」岡本は拍子抜けしたような顔をした。<br />
「だからおれは裁かれて<b>島流しの刑</b>に処された」ひと息で僕は言った。<br />
「どっちにしろおれはフラれて、おまえは受け入れられた。彼女は…」岡本はまた間を取った。</p>
<p>「<b>嫌われ者の支持者</b>だった」と僕は引き取った。<br />
「彼女に何をしたんだ？」と岡本は訊いた。<br />
「彼女が好きだと言った<b>チェーホフ</b>の話で盛り上がった。<b>『かもめ』</b>のトリゴーリンの台詞をおれが口ずさむと、彼女はニーナの台詞で返してきた。それがきっかけだ」</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4087606511&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>「どんな台詞だ？ いや、待て。やらんでいい。もうわかった。とにかくおまえは自分の得意分野に持ち込んで、<b>得意技を使って彼女を口説き落とした</b>」</p>
<p>「おれが持ち込んだわけじゃない。口説き落としてもいない」<br />
「<b>自然に惹かれ合った</b>と言いたいのか。おれと違って」岡本は鼻で笑った。</p>
<p>「おれが<b>邪魔だった</b>みたいだな」僕はそう言ってみた。<br />
「そのときは<b>嫉妬に狂ってた</b>。だから…」岡本はまた間を取ろうとする。<br />
「だからおれが<b>海外に飛ばされるよう画策した</b>」間を取らせないよう僕が引き取った。</p>
<p>「知ってたのか？ 最初から」岡本は悲壮な表情を見せた。<br />
「いや、いま知った」僕は嘘をついた。「こう見えておれは鈍感なんだ」<br />
「<b>飯倉奈都子を取られたくなかった</b>。おまえにだけは」岡本は絞り出すように言った。</p>
<p>「取ったとか取られたとか嫉妬に狂ったとか、<b>反吐が出るほど陳腐な台詞</b>だな。とにかく、おれが日本を離れてるあいだ、おまえは奈都子を…」<br />
「……」岡本も黙った。間を取ったわけではないようだった。</p>
<p>「同じ質問をする。彼女に何をした？」僕は少し凄んで言った。<br />
「そうだよ。おれは<b>陳腐な卑怯者</b>だ！」追い込まれた人がそうするように岡本は開き直った。</p>
<p>「そんな言葉じゃ足りないな」<br />
「ああ、おれは<b>友情を踏みにじった下劣な男</b>だ」</p>
<p>「安い友情を語るな。<b>おまえが踏みにじったのは飯倉奈都子の青春だ</b>」<br />
「結果、おれは<b>永遠に彼女を失った</b>」</p>
<p>「相変わらず自分のことばかりだな、おまえは。まあ、出世は勝ち取ったじゃないか。社長就任を目前にして、今さら<b>青春の過ちを懺悔</b>ってか？ 虫のいい話だな」</p>
<p>「語り人、おれは何をすればいい？ 教えてくれ」<br />
「自分で考えろ。今やおまえは<b>大企業の頂点に立つ男</b>だろ」</p>
<p>「おまえが帰国後、会社を辞めたのはおれのせいだ。<b>飯倉奈都子と別れる原因</b>をつくったのも、きっとおれだろう。その後いろいろあったことは聞いて知ってる。おまえらしく生きてるようだが、おれに出来ることがあったら言ってくれ」</p>
<p>「そうか。じゃあ頼みがある」思い切って僕は言ってみた。<br />
「おまえはうちのＯＢだ。<b>グループ会社の重役のポスト</b>くらいならすぐ空けられるぞ。社長がいいならちょっと調整が必要だが、まあ何とかなる」</p>
<p>「バカか、おまえは。おれは今の<b>ナレーター稼業を愛してる</b>んだ」<br />
「たいして稼げないだろう。年収はいくらだ？」<br />
「余計なお世話だ。生活に困らない程度に仕事はある」<br />
「もっと欲を出せ、語り人。じゃあ今後は<b>声案件でサポート</b>させてもらう。で、頼みって何だ？」</p>
<p>さあここからだ。身体の重心を丹田に落として僕は言った。<br />
「<b>おれを大阪に行かせてくれ</b>」</p>
<p>「大阪？ ああ、おまえのエッセイは読んだ。それが頼みごとか？ わかった。<b>大阪の仕事</b>をつくればいいんだな？ すぐに大阪本社に連絡を取って何かみつくろわせよう」</p>
<p>さすが岡本だ。話が早い。えっ、エッセイを読んだ？<br />
（ボイスエッセイ「<a title="大阪へゆきたし（上）" href="http://kataribito.net/short/s0005/"><b>大阪へゆきたし</b></a>」参照）</p>
<p>「<b>大阪本社</b>はまずいんじゃないか。<b>東京本社</b>とは昔から良好な関係とはいえないだろう」心配して僕は言った。</p>
<p>「だいじょうぶだ。同期の森田が、いま大阪の広告局長をやってる」<br />
「えっ、あの森田が？ なんで大阪へ行かされたんだ。しかも広告だって？」<br />
「それはまた詳しく説明する。森田はおまえに懐いてたからな。喜ぶぞ！」</p>
<p>「岡本、おまえも一緒に来い」<br />
「おれも大阪にか？ なんでだ」<br />
「おれたちの<b>青春を書き直す</b>んだ」<br />
「大阪で青春を書き直す？ どういう意味だ」<br />
「この流れだ。少しは想像してみろ」</p>
<p>「まさか、<b>飯倉奈都子が大阪にいる</b>って話か？」<br />
「ああ、<b>あのときのままの飯倉奈都子</b>がな」</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（「過去からの贈り物（完）」につづく）</p>
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		<item>
		<title>過去からの贈り物（中）</title>
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		<pubDate>Mon, 01 Feb 2016 12:02:17 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[タイムスリップ]]></category>

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		<description><![CDATA[あらためて僕はこう言わなければならないだろう。 「頼むから、僕を自由にしないでくれ」 ひとりでいることが自由でないことくらい、  僕だって知っている。 （過去からの贈り物（上）のつづき） そんな気取ったオチをつけてみが、 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>あらためて僕はこう言わなければならないだろう。<br />
「頼むから、僕を自由にしないでくれ」<br />
<b>ひとりでいることが自由でないことくらい、</b><b> </b><b><br />
</b><b>僕だって知っている。<span id="more-602"></span></b></p>
<p><b>（</b><a title="過去からの贈り物（上）" href="http://kataribito.net/short/s0007/"><b>過去からの贈り物（上）</b></a><b>のつづき）</b></p>
<p>そんな気取ったオチをつけてみが、それにしても、やはり疑問は残った。<br />
秋から年末にかけての、<b>あの雪崩のような目まぐるしい出来事はいったい何だったのか</b>。</p>
<p>何故かくも、この期に及んで、縁の途切れて久しい人たちばかりが何人も、まるで申し合わせたように<b>過去の茶ばんだアドレス帳を引っ張り出して僕に声をかけてきたのか</b>、ということである。なかには「今さら」の感が否めない人もいた。</p>
<p>でも、うれしい再会もあったよ。<b>懐かしさに胸が熱くなる再会</b>も。二度と再び交差しないだろうことを互いに感じながら、<b>笑顔で別れた再会</b>もあった。また会いたい人には「今度はオレに奢らせろよ」と肩をたたき合い、もう会うことのないだろう人には「活躍を見守っている」とエールを送り合った。</p>
<p><b>温故知新</b>──もっとも人口に膾炙したこの四字熟語の、僕は勇ましい実践者だった。そう、<b>新しい出会いもあった</b>んだ。</p>
<p>今後さらに関係を発展させたいと思える人との<b>鮮烈な出会い</b>があった。年甲斐もなく恋心を呼び覚まされるような、泣き虫で笑顔の美しい可憐な女の子との<b>清新な交流</b>もあったよ。</p>
<p>それなのに、そんな人たちとの<b>心躍る交流</b>に待ったをかけるように登場した、今となっては「<b>招かれざる客」</b>というべき<b>モノクロームの闖入者たち</b>。</p>
<p>これはいったいなんの「<b>伏線</b>」なのか。あるいは何かの「<b>暗示</b>」なのか。このにわかには信じがたい出来事から僕は<b>何を気づき</b>、<b>何を学ぶ</b>べきなのか。</p>
<p>答えはわかっている。</p>
<p>それは「後悔」だ。<b>過去に置き去りにした僕の強い後悔の念が、彼らを今一度、現在に呼び戻したのだ。</b></p>
<p><b>誤解や無理解、高慢や偏見、怠慢や諦念、不安や臆病、弱さや自信のなさ</b>など、<b>ネガティブな感情から袂を分かった人たち</b>一人ひとりと、もう一度きちんと向き合い決着をつける。僕にはそうする必要があった。</p>
<p>これは僕にとっての<b>禊（みそぎ）</b>なのだ。そう考えるしか、この<b>不思議な出来事</b>の合理的な説明はつかなかった。</p>
<p>そうして、<b>過去にやり残した「後悔」と言う名の宿題</b>をひとつひとつ、ただひたすら精魂込めて片付けていくうちに、<b>僕の</b><b>2015</b><b>年は終わった</b>。</p>
<p><b>2016</b><b>年が始まった</b>今、この数カ月間に起こった椿事を振り返って思うこと。それは、このことによって「<b>僕の中の何かが変わっただろうか</b>」ということである。</p>
<p>それはわからない。わからないし、わかろうとも思わない。<b>変化とは、自分ではなく周りが認知すること</b>だからだ。</p>
<p>ただ、これだけは言える。僕はもう、<b>過去を苦し紛れに封印したりはしない</b>。後悔を引きずるような生き方はもうしないよ。「<b>人はいくつになっても自分を書き直せる</b>」ことを知ったから。</p>
<p>むろん過去を書き直すことはできない。<b>過去のある出来事を後悔している今の自分を書き直すのだ</b>。</p>
<p>それを教えてくれたのが、<b>過去から突然現れた彼ら</b>だった。</p>
<p>突然現れたといっても、もちろん昔のままの姿じゃない。歳月はその分だけ、彼らに年を取らせていた。<b>容色の衰え</b>や<b>精神の摩耗</b>といった容赦ないかたちで。それは僕だってそう。<b>僕たちに等しく与えられているのは、命あるあいだの物理的な時間だけなのだ</b>。</p>
<p>そんな中ひとりだけ、その<b>物理的時間の制約</b>をまったく受けずに生きてきた、そうとしかいいようのない、つまり<b>昔と寸分違わぬ姿で僕の前に現れた人</b>がいた。その人の話をしよう。</p>
<p>二十年ぶりに再会するその人は、間違いなく45歳になっているはずだった。なのに、僕は<b>幻覚を見ているのか</b>。その容姿も体型も、髪形も服装も、眩いばかりの精神の溌剌さも、もう何から何まで、僕の<b>記憶に鮮明に焼き付いている、二十年前の彼女そのまま</b>なのだ。</p>
<p>「語り人さん！」昔のままの<b>澄んだ声</b>で彼女は僕を呼んだ。</p>
<p><b>タイムスリップした人のように僕はうろたえた</b>。周りをきょろきょろと見廻し、それから自分の顏に手を触れ、その手を素早くチェックした。自分に変化がないことがわかると、僕はあらためて視線を彼女に戻した。</p>
<p>「な、奈都子…なのか？」僕は咄嗟に<b>少し若い声をつくった</b>はずだが、その声が二十年前と遜色ないか、そんなことがひどく気になった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（<b>過去からの贈り物</b>（下）につづく）</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>過去からの贈り物（上）</title>
		<link>http://kataribito.net/short/s0007/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=s0007</link>
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		<pubDate>Fri, 22 Jan 2016 23:43:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[シンクロニシティ]]></category>
		<category><![CDATA[共時性]]></category>
		<category><![CDATA[過去通信]]></category>

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		<description><![CDATA[絶賛連載中だった（？）「ジョージの伝言」６章を最後に消息不明になっていた語り人です。えっと、更新が昨年の８月だから、つまり半年近く僕は行方をくらましていたことになる。 続きを楽しみに待ってくれていたかた、そして借金取りみ [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>絶賛連載中だった（？）<b>「ジョージの伝言」６章</b>を最後に消息不明になっていた語り人です。えっと、更新が昨年の８月だから、つまり半年近く僕は行方をくらましていたことになる。</p>
<p>続きを楽しみに待ってくれていたかた、そして借金取りみたいな催促のメッセージをくれたかた、ごめんなさい。正直に言います。<b>語り人は居留守を使っていました</b>。<span id="more-596"></span></p>
<p>あなたは何度もブザーを鳴らし、ドアをドンドン叩き、ドアノブをガチャガチャ回し、大声で僕を呼びましたね。「<b>語り人さん、そこにいるのはわかってるんですよ！</b>」</p>
<p><b>「ジョージの伝言」７章</b>をお届けする前に、今日はその「言い訳」を聞いてください。むろん陳腐なありきたりの言い訳はいたしません。語り人ですから。この間に起こった不思議なお話をします。</p>
<p>僕にはいろんな<b>不思議を呼び寄せる才能</b>があるみたい（これを才能といってよければね）。</p>
<p>その前に、留守中も<b>心当たりのない人からの心当たりのないメッセージ</b>がたくさん届いた。メッセージというか、ひと言コメントかな。</p>
<p>留守中というのは、ブログを留守にして<b>あっちの世界</b>に行っていた、この半年間のこと。「あっちの世界」というのは、これはちょっと説明が必要かもしれないけど、簡単に言うと僕自身の<b>内的世界</b>のことです。</p>
<p>語り人のことをよくご存知のかたはブログ更新の気配が消えると「きっとまた<b>缶詰め・瓶詰め生活</b>を余儀なくされているのだな」と優しく放っておいてくれるのだけど、未知の人はそうはいかない。いろんなことを言ってくる。たとえばこんなの。</p>
<p>「私のブログも読んでコメントくださいね！」（読む理由がない）<br />
「仲良くしてくれるとうれしいです♡」（仲良しごっこは嫌いだ）<br />
「面白そうなオシゴトですね！(笑)」（何がそんなに可笑しい？）<br />
「私のほうにも遊びにきてください」（それってなんの遊びだ？）<br />
「実は私もナレーター目指してたりします」（勝手にやってくれ）</p>
<p>とまあ、こんな感じなんだけど、驚くべきは、これ一部抜粋じゃない。たったひと言。これだけを送りつけてくる。</p>
<p>みなさんはどう？ きませんか、この手の<b>ＩＴ（一方通行）でＭＫ（無味乾燥）なコメント</b>。（ごめん。僕としたことが、<b>くだらない言葉遊びの流行</b>に乗ってしまったよ）</p>
<p>あと、こんなのもきた。<br />
「<b>ユアボイス・マイボイス</b>、ぜんぶ読みました。どれも<b>本物の作品</b>みたいで感動しました（本物の作品だよ）。ぜひ語り人さんと<b>リアルにお近づきになりたい</b>です（やめておけ）。…（中略）…ところで語り人さんの文章って、あれは<b>村上春樹</b>を意識してるんですか？」</p>
<p>これはちょっと食指が動いたので折り返した。</p>
<p>「ありがとう。でも<b>リアルに僕に近づけば火傷をしますよ</b>。それと文体は、官能小説家の<b>渡辺淳一</b>先生を意識しているつもりです。悪しからず」<br />
案の定、それ以上何も言ってこなかった。</p>
<p>では、もし僕がこう返信していたらどうなっていたか。</p>
<p>「ありがとう。ぜひ、あなたの<b>リアルな生声</b>を聞きたいな。それとユアボイス・マイボイスの文体は、J.D.<b>サリンジャーの『キャッチャー・イン・ザ・ライ』</b>が念頭にあったことは否定しません。<b>又吉直樹の小説に欠落している文学的洗練</b>といったことを意識して書いています。ちゃんとできているかどうか、あなたの意見を聞かせて。そして、僕を<b>ライ麦畑でつかまえて</b>」</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4560090009&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>こう返していれば、きっとメッセージのやり取りは続いただろう。リアルにお近づきになれたはずだ。夏までの僕だったらそうしていたかもしれない。でも今はちがう。<b>この半年間で僕は変わったんだ</b>。</p>
<p>変化は秋の訪れとともにやってきた。<br />
昔の友人やかつての仕事仲間たちから立て続けに音信が届き始めのだ。その昔、恋人同士だった女性からも。なんの前ぶれもなく突然に！</p>
<p>もう何年も、あるいは10年20年も連絡を取り合っていない、 言い方は悪いが、すでに過去に属する人たちだ。 ふつうならそれって、<b>何かの宗教か保険の勧誘</b>（このふたつは僕のなかでは同類だ）だったり、もしくは<b>同窓会の通知か不幸の手紙</b>（このふたつも僕のなかでは同類だ）だったりするよね。</p>
<p>でもそうじゃない。<b>彼らは何事もなかったように、いたってふつうに僕に会いたがった。</b>なじみのレストランに予約でも入れるみたいに。</p>
<p>久闊の挨拶もそこそこに「一杯やろうぜ！」とか「ちょっと折り入って相談があるんだけど」とか「ぜひお会いしたいの」とか、まるで三か月前にも親しく顔を合わせたみたいなその誘い文句に、僕はドギマギしてしまった。おいおい、おまえとはかれこれ10年ぶりなんだけど！</p>
<p>この突然の<b>過去通信</b>（とでも言っておこう）は、<b>仕事関係者</b>も例外ではなかった。</p>
<p>それまで長らく僕の声を忘れていた人たち、それはたとえば<b>無関心だったり黙殺だったり嫌悪だったり、波長が合わなかったり歯牙にもかけなかったり</b>、そんなもろもろの理由から、とにかく僕のことを放念していたはずの人たちが、こぞって何年かぶりに仕事の依頼してきたのだ。</p>
<p>ひとりやふたりではない。十指に余る人たちが、時を同じくしていっせいに「せーの！」という感じで僕のことを思い出したらしいのだ。</p>
<p>もしもあなたが注意深く意識的な人なら、<b>共時性（シンクロニシティ）</b>という現象が、しばしば自分の身に起こることをご存知だと思う。</p>
<p>でも<b>今回僕に起こった共時性は尋常ではない</b>。関連性のない１０人が同時に記憶の古いノートを開いたら、１ページ目に語り人がいたって？　まさか！だよね。 シンクロニシティの提唱者、<b>心理学者のカール・ユング</b>もびっくりだろう。</p>
<p>そんなわけで僕は、プライベートでは彼らとせっせと旧交を温め、仕事では膨大な量の<b>声案件</b>をほぼ同時進行でこなさなければならなかった。ふだんの<b>レギュラー仕事</b>に加えてである。 つまり僕は、す<b>べてのオファーを敢然と受けて立った</b>のだ。</p>
<p>働き者のクマのお花屋さんのように、僕は一心不乱に働いた。毎日毎日、<b>指定された時間に指定されたスタジオに出向き、指定された声を丁寧にラッピングしてお届けした。</b>理由はなんであれ、僕の声を必要としてくれた人たちのために。</p>
<p><b>時代がようやく語り人を理解したのか。</b>そんな早合点をするほど僕はお目出度くもないし若くもないよ。長く仕事を続けているとこんなことはたまにある。これをもって<b>「運気が上向いている」</b>などとは思わない。<b>「運気が…」</b>これも僕の嫌いな物言いのひとつだ。</p>
<p>だからどうしたかって、つまり、だから僕は<b>「ジョージの伝言」</b>を完結目前にして放り出し、姿をくらませた（居留守を使った）…</p>
<p><b>親しい友人からの飲みの誘い</b>も10回のうち８回はやり過ごした。（はい。２回は行きました）<b>仕事で共演する綺麗な女の子たちと食事に行く誘惑</b>も10回あれば９回は退けた。（はい。１回だけ行きました）<b>好きなお芝居も映画もコンサート</b>も我慢した。（はい。招待券をもらったものは行きました）</p>
<p>なにしろ、<b>働きづめ</b>だった（と思っていただきたい）。<br />
<b>声の表現に埋没する</b>ことが楽しくて心地良くて（いつもそうだけど）、<br />
もうこれだけやっていれば満足だと。<b>申し分のない人生</b>だと。<br />
<b>何が悪い？</b>　僕のことはうっちゃっておいてくれたまえ！</p>
<p>そうして<b>現実生活の諸問題</b>と向き合うことを放棄し、 リアルに僕と関わろうとする人、関わらざるを得ない人たちを蚊帳の外に追いやった。</p>
<p><b>「もういい。自由にしてあげる」</b><br />
これはある人にメールで言われたひと言。</p>
<p><b>大切であるはずの人</b>が去って行こうとするのを引き止めもせず、かといって、<b>今後大切になるだろう人</b>が歩み寄ってくるのを受け止めることもしなかった去年の秋。</p>
<p>そうして年が明けた。<br />
仕事はやり遂げた。会うべき人にも会った。<br />
いまはじめて、僕は休みたいと思っている。<br />
仕事はすべてキャンセル、しばらく休みます、<br />
そう告げようか。でもそれをやってしまうと、<br />
先の保証はない。わかってる。<br />
僕はそんな世界にいる。</p>
<p><b>自分探しの旅</b>に出るかって？<br />
いや、その必要はないし、僕はこの言葉を嫌いだ。<br />
方法は知っている。ただ、つなぎ目を切り替えればいい。<br />
<b>「あっち」の世界から「こっち」の世界に</b>ね。カチャ。</p>
<p>そしてあらためて、僕はこう言わなければならないだろう。</p>
<p><b>「頼むから、僕を自由にしないでくれ」</b></p>
<p><b>ひとりでいることが自由でないことくらい、</b><b> </b><b><br />
</b><b>僕だって知っている。</b></p>
<p>&nbsp;</p>
<p><b>過去からの贈り物（中）</b>につづく</p>
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		<title>大阪へゆきたし（下）</title>
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		<pubDate>Sun, 05 Jul 2015 13:55:33 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[オネエキャラボイス]]></category>
		<category><![CDATA[ワークショップ講師]]></category>
		<category><![CDATA[箱根]]></category>

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		<description><![CDATA[さあ、これで大阪へゆく準備は整った。 仕事のスケジュールを組んでくれないか。 もちろん収録でも生放送でもかまわない。 僕はマネージャーに元気よくそう告げた。 「大阪へゆきたし（上）」のつづき 「大阪にゆきたい理由を15字 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><b>さあ、これで大阪へゆく準備は整った。<br />
</b>仕事のスケジュールを組んでくれないか。<br />
もちろん<b>収録でも生放送でもかまわない</b>。<br />
僕はマネージャーに元気よくそう告げた。</p>
<p><b>「<a href="http://kataribito.net/short/s0005/">大阪へゆきたし（上）</a>」</b>のつづき <span id="more-506"></span></p>
<p>「大阪にゆきたい理由を15字で述べよ」って？</p>
<p><b>ある人にあることを告白したい。</b>はい、15字。<br />
僕がこういうの得意だって、知ってるよね。</p>
<p>「誰にどんな告白を？　15字で述べよ」って？</p>
<p>でも、なんで15字なんだ？　まあ、いいけど。</p>
<p><b>それは言えない。勘弁してくれ。</b>ほら15字だ。<br />
<b>ねえ頼むよ、マネージャーだろ？</b>これも15字。</p>
<p>「<b>休暇を取って自費で勝手に行けば</b>」って？</p>
<p>15字で応戦してきたな。でも休暇じゃだめなんだ。<br />
<b>仕事で行かなきゃだめなんだよ。</b>ほい、15字返し。</p>
<p>「<b>今後、仕事の選り好みをしないか</b>」って？</p>
<p>15字で脅しに入ったな。なかなかやるじゃないか。<br />
いいだろう。「<b>オカマの役でも何でもやってやる</b>」<br />
僕は15字で開き直ってみせた。</p>
<p>「<b>本当ですね　語り人さん　約束ですよ</b>」</p>
<p>句読点なしで15字か？　いいだろう。<b>約束する。<br />
オカマに二言はない。</b>ほら、句読点入れて15字。</p>
<p>この話から二か月後──<br />
約束どおり、僕は<strong>オネエキャラボイス</strong>の仕事をした。<br />
詳細は言えない。このキャラを固定したくないんだ。</p>
<p>「<b>約束は守った。大阪ゆきの手配を</b>」<br />
僕は15字でマネージャーにつめ寄った。</p>
<p>マネージャーは準備していた封筒を僕に手渡した。<br />
中を取り出して見ると、<b>分厚い台本と</b><b>DVD</b>が一枚。<br />
<b>大阪行のチケット</b>は見当たらない。嫌な予感がした。</p>
<p>それは<b>大阪出身のタレントが大阪を案内する番組</b>の<br />
ナレーション台本と映像のDVDだった。</p>
<p>「<b>いかにせよ、収録は大阪だよね？</b>」<br />
僕は念のため、15字で確認を促した。<br />
あれ、今「いかにせよ」って言った？</p>
<p>「<b>今回はひとまず声だけ大阪ゆきです</b>」<br />
マネージャーはごまかしている。文字も16字だ。</p>
<p>「いえ、<b>大阪行は漢字ですから</b><b>15</b><b>字ですよ</b>」<br />
と15字で抵抗したが、そんなことはどうでもいい。</p>
<p>「<b>問題はきみが約束を破ったことだ</b>」<br />
どうでもいいと言いつつ僕は15字を遵守していた。</p>
<p>台本をめくると、２ページ目に<b>ピンク色の付箋</b>が。<br />
<b>ピンク色の文字</b>がびっしり。ピンクにピンクって、<br />
読みにくいよ。これはもしかして<b>シーサーさん？</b></p>
<p>（シーサーさんは<a title="第2話　ボイスアクター編①　声優ほど素敵な商売はない に含まれる投稿をすべて表示" href="http://kataribito.net/category/02/">第2話「声優ほど素敵な商売はない」</a><br />
に登場いただいたオネエキャラの映像ディレクターだ）</p>
<div class="pointpink"><span style="color: #ff00ff;"><br />
語り人ちゃん、いかにせよ、<br />
ワタシには教えてくれるわよね？<br />
大阪にゆきたい本当の理由よ。</p>
<p>教えてくれなきゃ、いかにせよアナタが<br />
大阪から温かく迎えられることはないわ。</p>
<p>そうそう、オネエのせりふ、聴いたわよ♡<br />
じょうずねぇ。ワタシよりリアルじゃない！</p>
<p>いかにせよ、やっときてくれたのねん♡♡<br />
ようこそ、ワタシたちのめくるめく世界へ！</p>
<p>アナタと越えたい箱根越え♡　シーサーより</p>
<p></span></div>
<p>&nbsp;<br />
しまった。シーサーさんに話が漏れないよう、<br />
マネージャーに口止めしておくべきだった。</p>
<p><b>いかにせよ、僕はあなたのめくるめく世界には<br />
ゆけません！　ふたりで箱根も越えられません！<br />
それでなくても、箱根の山はいま大変なのです！</b></p>
<p>もう、別ルートで大阪ゆきを画策するしかない。<br />
だれか、シーサーさんに内緒で僕に大阪の仕事を<br />
キャスティングして！</p>
<p><b>ナレーション</b>でも<b>ラジオ</b>でも<b>キャラボイス</b>でも、<br />
<b>講演</b>でも<b>ワークショップ講師</b>でも、何でもいい。</p>
<p>やっぱり<b>大阪にゆきたい理由</b>を知りたいって？</p>
<p>聞いてくれるな。そこは<b>武士の情け</b>と思し召せ。<br />
<b>誰にだって、話せないことの一つや二つはある</b>。</p>
<p>面白くも可笑しくもない理由だったらなおさら、<br />
ここまで引っ張っといて、今さら話せないしね！</p>
<p><b>大阪へゆきたしと思えども<br />
大阪はあまりに遠し<br />
せめては新しきジャケットを着て<br />
東京から大阪へ　僕の声を送ろう</b></p>
<p>&nbsp;</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4003106210&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
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		<title>大阪へゆきたし（上）</title>
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		<pubDate>Thu, 02 Jul 2015 12:59:27 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[マンウォッチング]]></category>
		<category><![CDATA[浪速娘]]></category>
		<category><![CDATA[萩原朔太郎]]></category>
		<category><![CDATA[関西弁]]></category>

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		<description><![CDATA[電車内や待ち合わせスポットのあちこちで、 新入生や新入社員を物色する楽しい４月も いつのまにか終わった。（もう７月だよ！）  マンウォッチングは僕の趣味である。 物色といっても僕の場合「声」だから、 ここはボイスリスニン [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>電車内や待ち合わせスポットのあちこちで、<br />
<b>新入生や新入社員を物色する楽しい４月</b>も<br />
いつのまにか終わった。（もう７月だよ！） <span id="more-501"></span></p>
<p><b>マンウォッチング</b>は僕の趣味である。<br />
物色といっても僕の場合<b>「声」</b>だから、<br />
<span style="color: #000000;">ここは<b>ボイスリスニング</b>というべきか。 </span><br />
お国言葉、つまり<b>方言を楽しむ</b>のだ。</p>
<p><b>電車内で耳にするお国言葉ナンバーワンは<br />
なんといっても関西弁</b>である。公共の場で<br />
あろうと（実は公共の場であるほど）彼ら<br />
の話し声は大きくなり、ヒートアップする。</p>
<p>他の方言が人前で声高に交わされることは<br />
まずない。どうした<b>九州人</b>、頑張れ<b>東北人</b>！<br />
負けるな<b>北陸のひと</b>。胸を張れ、<b>道産子</b>よ！<br />
声が小さいぞ<b>中国・四国地方出身</b>の君たち！</p>
<p><b>由緒正しく美しい君たちの誇り高きお国言葉</b><br />
を僕に聴かせてくれないか！</p>
<p>それにしてもなにゆえ、東京にいる関西人<br />
の声だけが、公共の場でかくも必要以上に<br />
大きいのか。そしてさらに関西人は何ゆえ、<br />
頑として東京言葉に染まろうとしないのか。</p>
<p>その理由は、ここでは述べないことにする。<br />
だって嫌われたくないし、関西人好きやし。</p>
<p>じつは、僕は近畿圏の言葉に精通している。<br />
どんなふうに精通しているかというと<span style="color: #000000;">──</span></p>
<p><strong><span style="color: #000000;">1）</span>関西弁ごちゃまぜだが間違いなく尼崎。</strong><br />
<strong> <span style="color: #000000;">2）</span>完璧な京言葉。きっとおばあちゃん子。</strong><br />
<strong> 3）あれは兵庫県明石地方だけの言い回し。</strong><br />
<strong> 4）エセ関西弁バレとるで。広島出身やろ。</strong><br />
<strong> 5）関西弁を方言ゆうな！　といった具合。</strong></p>
<p>関西出身でない僕が何ゆえ関西弁に堪能なのか。<br />
単純に関西人との付き合いが多かったからだが、<br />
<b>耳が良いから</b>という説も間違いではないだろう。</p>
<p>むかし好きだった女性は<b>京都四条河原町</b>の産。<br />
高校生のとき文通した女の子は<b>浪速娘</b>だった。<br />
大学時代、<b>米国人の女の子</b>と将来を約束した。</p>
<p>３つ目は関西とは無関係だったね。とにかく<br />
<b>言葉の習得にはその国の異性と付き合うのが<br />
いちばんの近道だ</b>。そう言いたかったのだよ。</p>
<p>待てよ。そんなことが言いたいわけでもない。<br />
関西ネタを持ちだしてまで僕が言いたかった<br />
のは「<b>大阪へゆきたい！</b>」ということである。</p>
<p><b>ああ、大阪へゆきたい。</b><br />
かれこれ20年は大阪に行っていない。<br />
たしか10年前に大阪の地を踏んだが、<br />
それはある写真家の本のための取材で、<br />
新大阪駅と関西大学正門前の氏の自宅<br />
を往復しただけの、日帰り訪阪だった。</p>
<p><b>ああ、大阪へゆきたい。</b><br />
<b>USJ</b>に行きたいわけでも<b>心斎橋</b>を歩きたい<br />
わけでも、<b>グリコの看板</b>を見たいわけでも<br />
ない。<b>阪神タイガース</b>の応援を…いや今は<br />
<b>横浜</b><b>DeNA</b>を応援してあげたい気分だよ。</p>
<p><b>僕が大阪へゆきたい理由は別にある</b>。</p>
<p>かつて<b>萩原朔太郎</b>は言った（大正12年）</p>
<p><b><b>　</b>ふらんすへ行きたしと思へども</b><b> </b><b><br />
</b><b>　ふらんすはあまりに遠し</b></p>
<p>今の<b>僕には大阪さえ遠い</b>よ（平成27年）</p>
<p><b><b>　</b>せめては新しき背広を着て</b><b> </b><b><br />
</b><b>　きままなる旅にいでてみん</b><b> </b><b></b></p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4903620514&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>そうだ、ジャケットを買おう。<br />
きのう僕はネイビーブルーの<br />
春夏用のジャケットを買った。</p>
<p><b>さあ、これで大阪へゆく準備は整った。</b></p>
<p>仕事のスケジュールを組んでくれないか。<br />
もちろん<b>収録でも生放送でもかまわない</b>。<br />
僕はマネージャーに元気よくそう告げた。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（<b>「大阪にゆきたい（下）」</b>につづく）</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>言葉のレストランへようこそ</title>
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		<pubDate>Sun, 28 Jun 2015 03:38:01 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[アナウンサー]]></category>
		<category><![CDATA[ゲーテ]]></category>
		<category><![CDATA[劇団四季]]></category>
		<category><![CDATA[小林秀雄賞]]></category>
		<category><![CDATA[文化放送]]></category>
		<category><![CDATA[荒川洋治]]></category>

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		<description><![CDATA[先日、文化放送を訪れた。 僕にとって文化放送といえばやっぱり四谷だが、 2006年に浜松町に移転した。 ここはベイエリアで風通しがいい。 劇団四季もここにメインシアターを構えている。 たしかに幽霊が出ると噂された四谷の社 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>先日、<b>文化放送</b>を訪れた。<br />
僕にとって文化放送といえばやっぱり<b>四谷</b>だが、<br />
2006年に<b>浜松町</b>に移転した。<span id="more-462"></span></p>
<p>ここは<b>ベイエリア</b>で風通しがいい。<br />
<b>劇団四季</b>もここにメインシアターを構えている。<br />
たしかに<b>幽霊が出ると噂された四谷の社屋</b>より、<br />
明るい未来を信じることができそうだ。</p>
<p><b>　今宵、言葉のレストランへようこそ！</b></p>
<p>ご招待を頂きこんなタイトルのコンサートに行ってきた。</p>
<p>案内役は、<b>甘～い声</b>の菅野詩朗アナ。<br />
顔出しのため緊張したのか、めずらしく<b>カミカミ</b>だった。<br />
なまじ<b>滑舌が良い</b>だけに、余計に目立ってしまうんだよ。</p>
<p>僕でもきっと噛んでただろうな。そう思えるほどクサい<br />
（失礼！）つまり<b>抒情的なナレーションのオープニング</b>。</p>
<p><b>　鬼才・荒川洋治と文化放送のアナウンサーが贈る<br />
<b>　</b><b>　</b><b>　</b><b>　</b><b>　</b><b></b>ジャックナイフ・ポエトリー</b></p>
<p>この副題が示すとおり、<b>文化放送の局アナウンサーによる<br />
朗読コンサート</b>といった趣向だった。</p>
<p><b>明治・大正・昭和の名作</b>といわれる文学作品(小説)の一部を<br />
四人の<b>アナウンサーが朗読</b>し、前後に作品と作者、時代背景<br />
などの概説を、<b>詩人の荒川洋治さん</b>が挟んでいくという構成。</p>
<p>出不精の僕がこのコンサートに食指が動いた理由は２つある。</p>
<p>ひとつは、まず<b>荒川洋治さんに会いたかった</b>から。<br />
ずっと荒川さんの言葉に注目してきた僕としては、<br />
彼の<b>生の語り</b>を、ぜひとも聴いてみたかったのだ。</p>
<p>感想はたくさんあるけれど、ひと言でいえば、<br />
<b>荒川さんは実に豊かな人だった</b>。</p>
<p>終了後、関係者を介してご紹介いただく栄に浴した。<br />
そこで僕は生意気にも、気になった２点を指摘させていただいた。</p>
<p><b>語りびと<b>──</b><br />
</b>「なぜあそこで、<b>言文一致</b>という言葉をお使いにならなかったのですか？」<br />
<b>荒川さん<b>──</b></b><br />
「ああ！ いま思い出しました。そう、言文一致だ。明治期のあたりは緊張していて、その言葉が出てこなかった。あなたは一番前に座っていらして、どうしてそのときに<b>そっと教えてくださらなかったのですか」<br />
語りびと<b>──</b><br />
</b>「……（笑）」</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4022646438&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>&nbsp;</p>
<p><b>語りびと<b>──</b></b><br />
「<b>村上春樹の『海辺のカフカ』</b>が駄作だとおっしゃったのは、とてもあなたの言葉とは思えない。漱石や芥川の作品、すべてが傑作でしょうか。駄作と言ってはいけません。物書きとしてフェアでないと思います」<br />
<b>荒川さん<b>──</b><br />
</b>「たしかに、そうでした。迂闊でした。では、あなたなら何と言いますか？」<br />
<b>語りびと<b>──</b><br />
</b>「『海辺のカフカ』ですか？　小説が巧すぎる。くやしい！」<br />
<b>荒川さん<b>──</b><br />
</b>「なるほど。その表現、使わせていただいてよろしいですか」<br />
<b>語りびと<b>──</b></b><br />
「……（笑）」</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4101001545&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>&nbsp;</p>
<p>いうまでもなく、<b>僕はもっと荒川洋治さんを好きになった</b>。</p>
<p>そうだ荒川さん、僕もひとつ大事なことを言い忘れました。<br />
<b>第五回「小林秀雄賞」受賞</b>、おめでとうございます！</p>
<p><b>詩集</b>では<b>H</b><b>氏賞</b>を始め大きな賞を総なめにしている荒川さんですが、<br />
<b>文芸評論</b>の最高峰である本賞は、おそらく荒川さんが一番欲しかった<br />
栄誉ではないでしょうか。受賞に相応しい素晴らしいお仕事でした！</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4877460977&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4006022026&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>&nbsp;</p>
<p>そして理由の２つ目は、この機会に文化放送<b>アナウンサー<br />
の朗読力</b>をチェックしておくのも悪くないと思ったからだ。</p>
<p>僕はナレーターとして、<b>オーディオ・ブックなどの朗読の<br />
仕事</b>をしているが、朗読はいうまでもなく<b>舞台でやるのと<br />
スタジオでやるのとでは状況がまったく異なる</b>。</p>
<p>残念ながら僕は、舞台での朗読経験がない。<br />
むかし「<b>ゲーテの詩朗読コンテスト</b>」に出場して入賞<br />
したことがあるが、それは声を職業にする前のはなし。</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4102015051&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>&nbsp;</p>
<p>ともかく<b>プロとして舞台で朗読をする</b>。観客の前で。<br />
これをやらないことには、偉そうなことは言えないと<br />
思っている。</p>
<p><b>スタジオ収録の朗読</b>には、もちろん観客はいない。<br />
出版社か制作会社の人が立ち会ったりはするけど、<br />
基本的にブースの中で、ひとり黙々と読み進める。</p>
<p>そして生ではなくあくまでレコーディングだから、<br />
<b>噛んだり、間違ったり、表現が甘かったり</b>すると、<br />
リテイク（録り直し）が可能だ。</p>
<p>録音した音声はエンジニアにより編集作業が行われ、<br />
必要に応じて必要な個所にジングルなどのBGMが<br />
つけられる。これはこれでクオリティの面で<b>朗読に<br />
あたってのプロテクニック</b>というのがもちろんある。</p>
<p>特に収録は長丁場だから、<b>長時間安定して読み通す<br />
持久力</b>が要求される。その点舞台はパフォーマンス<br />
時間が短いこともあって、<b>一発勝負の瞬発力</b>が求め<br />
られる。その意味で<b>フルマラソンと短距離走の違い</b><br />
に似ている。筋力の使い方も集中力の質も違うのだ。</p>
<p>さて、<b>文化放送アナウンサーの朗読はどうだったか</b>。<br />
率直な感想を言えば、ひと言「<b>予想どおり</b>」だった。<br />
予想どおりというのは「<b>お上手</b>」だったということ。</p>
<p>４月の雲ひとつない、どこまでも晴れ渡る空のように<br />
滑舌はすこぶる良好。声はどこまでも澄み切っている。</p>
<p>しかし朗読は、とりわけ<b>文学作品の朗読は</b>、<br />
<b>アナウンスでもインフォメーションでもない</b>。<br />
<span style="color: #000000;">業界風にいえば「<b>ニュアンスがだいじなのよ</b>」</span><br />
そう言えば、じゅうぶんだろうか。</p>
<p>でも、ベテラン野村邦丸アナの『<b>楢山節考</b>』は悪くなかった。<br />
同じく、ベテラン野中直子アナの<b>手紙朗読</b>も味わいがあった。</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4101136017&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>&nbsp;</p>
<p><b>朗読はやはり「年の功」なのか</b>と、妙に納得したものである。<br />
そう考えると、僕など<b>まだまだひよっこ</b>と言わざるを得ない。</p>
<p>「安心した？ 語り人さんのほうが一枚上手ね」<br />
連れの声優仲間が隣で耳打ちした。<br />
「そうか。終わったら生ビールをおごるよ」<br />
「やったあ！」</p>
<p>でも、<b>真に聴く者の心を打つ鳥肌ものの朗読は、</b><br />
<b>舞台俳優には到底敵わない</b>。僕はそう思っている。</p>
<p>ふだん人前に顏を出さない<b>ラジオアナウンサー</b>が、<br />
観客の前でカミカミだったように、やはり顔出し<br />
をしない<b>ナレーター</b>の僕が、舞台で<b>迫真の朗読</b>が<br />
できるのだろうか。本当に僕のほうが上手なのか。</p>
<p>考えただけで緊張して喉がカラカラに乾いてきた。<br />
まあいい。とりあえずビールだ。</p>
<p><b>今宵、言葉のレストランへようこそ！</b></p>
<p>そろそろ閉店の時間です。<br />
またのお越しを、心よりお待ちしています。<br />
お相手は、あなたの語り人でした。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>送信されなかったメッセージ</title>
		<link>http://kataribito.net/short/s0003/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=s0003</link>
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		<pubDate>Sat, 20 Jun 2015 09:59:39 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[24のプレリュード]]></category>
		<category><![CDATA[ソネット形式]]></category>
		<category><![CDATA[澱]]></category>
		<category><![CDATA[罵詈雑言]]></category>
		<category><![CDATA[美辞麗句]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://kataribito.net/?p=449</guid>
		<description><![CDATA[送信ボックスに保存されたまま置き去りにしたメールってあるよね。 投函されることなく机の引き出しに仕舞われたままの手紙みたいに。 みなさんにも心当たりがあると思う。 朝起きて読み返したら顔から火が出た（夜は饒舌ね） 冒頭の [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><b>送信ボックスに保存されたまま置き去りにしたメール</b>ってあるよね。<br />
<b>投函されることなく机の引き出しに仕舞われたままの手紙</b>みたいに。<br />
みなさんにも心当たりがあると思う。<span id="more-449"></span></p>
<p>朝起きて読み返したら顔から火が出た<b>（夜は饒舌ね）</b><br />
冒頭の「長文です」が押しつけがましい<b>（重たいね）</b><br />
末尾の「乱文にて」が酔ってるっぽい<b>（自己陶酔ね）</b><br />
こんなこと書いたらきっと嫌われる<b>（自意識過剰ね）<br />
</b>こんなこと言っても波風を立てるだけ<b>（平和主義ね）</b><br />
やっぱり、会って話すべきだろう<b>（</b><b>face to face</b><b>ね）<br />
</b>はじめから送るつもりなんかなかった<b>（自己完結ね）<br />
</b>相手からさきに事務的なメールがきた<b>（ジエンドね）</b></p>
<p>理由は概ね、こんなところではないだろうか。</p>
<p>言いたかったけど、伝えたかったけど、<br />
<b>けっきょく投げかけなかった言葉たち</b>。</p>
<p>それを今、僕はここに記してみたい。</p>
<p>梅雨本番を迎えたこの季節、<b>心にカビを生やさないため</b>にも、<br />
そのときどきに頭に浮かべど、結局送信するに至らなかった<br />
そんな<b>言の葉たちの棚卸し</b>をしてみるのも一興だと思うのだ。</p>
<p>「<b>王様の耳はロバの耳！</b>」と穴を掘って叫ぶほどの衝撃的な<br />
トピックスはないけれど、<b>僕の中に澱のように溜まっている</b><b> </b><b><br />
</b><b>何がしかのフラストレーション</b>は軽減されるかもしれない。</p>
<p>徒然に記した以下のメッセージを読んで、もしもあなたが<br />
「<b>これってわたし宛てのメッセージ？</b>」と感じたとしたら、<br />
それは僕の意図するところであり、おそらく正解だと思う。</p>
<p>では、投げるよ。<br />
心当たりのある（心当たりがなくても）、<br />
あなたの好きな球をキャッチして！</p>
<div class="letter">
<p>１、「人はどこにいるかじゃない。何をやるかだ」って本当に思ってる？<br />
２、君への恋心は全力で封じ込める。頼むから気づかないふりをして。<br />
３、秘密をバラす？ あのさ、君が思ってるほど僕は人気者じゃない。<br />
４、自己防衛は当然だ。でもそのために君は、大切な人を悪者にした。<br />
５、「覆水盆に帰らず」ではなく「焼けぼっくい」の発想でいくべし。<br />
６、シャーリー・マクレーンの『アウトオンアリム』も読んでおいて。<br />
７、「アナ雪を5回みた」とか悲しくなるようなことを言わないでくれ。<br />
８、漱石も言っている。Pity&#8217;s akin to love（可哀想は惚れたってこと）<br />
９、「わたしはクズです」と自嘲するきみに、教えることは何もない。<br />
10、涙もろい自分を演出して好人物をアピールする涙ぐましいきみ。<br />
11、何をそんなに癒されたがっているのか、僕には皆目わからない。<br />
12、友だちの多さを自慢する君。でもみんな君と同レベルの人たち。<br />
13、いいよ。行こうよ、京都に。ふたりで。<br />
15、どうやらきみは「人のエネルギーを奪う」タイプのようだね。<br />
16、本当に口が達者だ。でも透けて見えるよ。言霊がないんだもん。<br />
17、誓います。これからも僕が僕でいられる仕事だけをしていくと。<br />
18、大阪は、僕を暖かく迎えてくれるかな。それが問題だ。<br />
19、「ありがとう」は言えるのに「ごめんなさい」が言えないきみ。<br />
20、「神」って言葉に抵抗があるなら「玉葱」でもいいって遠藤周作が。<br />
21、自己評価と他者評価の間で葛藤する君。それより技を磨いたら？<br />
22、また「プラス思考」礼賛かい？「マイナス思考」がグレちゃうよ。<br />
23、僕に話があるんでしょ？ 言ってごらん。「わたしを変えて」って。<br />
24、「いま、会いにゆきます」と言ったら、物語は始まるかな。</p>
</div>
<p>&nbsp;</p>
<p>以上。<b><br />
ソネット形式の</b><b>14</b><b>行詩</b>といきたかったけど、24行になった。<br />
もっとあるけど、ちょうどよい数字になったのでこのへんで。<br />
ここは<b>ショパンの『</b><b>24</b><b>のプレリュード』</b>にあやかるとしよう。</p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4042798012&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4101010048&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4094082174&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>均衡と不均衡の奇妙なバランス。<b>二人の天才ピアニスト<br />
コルトーとポリーニ</b>の銀河系の端と端ほどに遠い演奏。<br />
つまり同じ曲だとは思えないほどに異なる二人の演奏を<br />
かわりばんこに何度も繰り返し聴きながら書いてみた。</p>
<p>題して、語り人による「<b>24</b><b>行のツイートメッセージ</b>」<br />
（「<b>24</b><b>小節のラブソング</b>」のほうがよかったかな？）</p>
<p><b>言いたいけれど言えない、言ったら終わりだ的発言</b>。<br />
みなさんにも、いっぱいあるよね。ぜひやってみて。</p>
<p>溜め込んでいる<b>鬱々とした、悶々とした、恋々とした<br />
思い</b>を短い言葉にして、丸めて吐き出しちゃうんです。</p>
<p>だけど、あまりケンカ腰にならないように注意して。<br />
相手に直接ぶつけないからといって、<b>罵詈雑言とか<br />
強迫めいた乱暴な言葉</b>はなるべく使わないようにね。</p>
<p>えっ、語り人だって少しケンカ腰になってるって？<br />
あはは、ごめんね！だって<b>完全無欠の美辞麗句とか<br />
やたらポジティブすぎる言葉</b>って、なんか胡散臭い<br />
というか、中身がないというか、僕は信用しない。</p>
<p>とにかくこの「<b>送信しないツイートメッセージ</b>」は<br />
<b>精神衛生のために行なう自己療法</b>だから、遠慮なく<br />
ぶっちゃけちゃってください！でも、ほどほどにね。</p>
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]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>壜詰めの語り人─ラジオの時間</title>
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		<pubDate>Wed, 03 Jun 2015 12:56:18 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[オープンスタジオ]]></category>
		<category><![CDATA[キュー出し]]></category>
		<category><![CDATA[収録ブース]]></category>
		<category><![CDATA[啄木鳥]]></category>
		<category><![CDATA[壜詰め]]></category>
		<category><![CDATA[歌い人]]></category>
		<category><![CDATA[石川啄木]]></category>
		<category><![CDATA[缶詰め]]></category>
		<category><![CDATA[美人パーソナリティ]]></category>
		<category><![CDATA[身も蓋もない]]></category>

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		<description><![CDATA[「いま、缶詰めなんだ」 締め切り間際に、あるいはしばしば締め切り後に 僕たちがよく使う言葉。 メールや電話をくれた人に、 このところ頻繁に口にしている。 缶詰めとは、人を一定の場所に閉じ込めること。 仕事の促進や秘密保持 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>「いま、<b>缶詰め</b>なんだ」</p>
<p><b>締め切り間際</b>に、あるいはしばしば<b>締め切り後</b>に<br />
僕たちがよく使う言葉。</p>
<p>メールや電話をくれた人に、<br />
このところ頻繁に口にしている。<span id="more-398"></span></p>
<p><b>缶詰め</b>とは、人を一定の場所に閉じ込めること。<br />
仕事の促進や秘密保持のために行う。（大辞林）</p>
<p>「<b>缶切り</b>を持って伺いましょうか」<br />
「<b>啄木鳥</b>（キツツキ）を送ります」</p>
<p>何人かの人が、そんな素敵な提案をしてくれた。<br />
僕の大好きな人たちは、どう言えば僕が喜ぶか<br />
くすぐりどころをよくご存知だ。</p>
<p>「気が利かなくてごめんなさい。そんなことなら、<br />
<b>缶切り</b>を送って差し上げるべきでした」</p>
<p>そう返してきた女の子は、手書きの<b>ドラえもん</b>の<br />
絵を送ってくれた。激励の吹き出し文字を添えて。</p>
<p>「語り人さん、お仕事がんばってくださいね！」</p>
<p>いえいえ、この状況にはドラえもんこそ適任です。<br />
缶切りが必要ならドラえもんに頼めばいいのだし。</p>
<p><strong>啄木鳥</strong>も秀逸でしたよ。啄木鳥といえば<strong>石川啄木</strong>。<br />
ちょうど<strong>啄木の世界</strong>にひたりたかったところです。<br />
<strong>働けど働けど</strong>とつぶやき、じっと手を見たりして。</p>
<p>「啄木鳥さん、うまく缶を開けてくれるかしら」</p>
<p>きみはそう言って心配する。うーん、たしかに<br />
啄木鳥にはちょっと過酷な労働かもしれないね。<br />
<strong>ツツけどツツけど</strong>…缶が開かない！ってことに。</p>
<p>でも、ありがとう。うれしかった！</p>
<p>あれ、タイトルは<b>缶詰め</b>じゃなくて、<b>壜詰め</b>って？<br />
そう、<b>缶</b>から<b>壜、壜から缶</b>へと移動するのだけれど、<br />
壜（びん）って何だと思う？</p>
<p>壜はスタジオ、ガラス張りの<b>収録ブース</b>のこと。</p>
<p>先日、ある<b>ラジオ番組</b>にゲストとして呼んでいただいた。<br />
高層ビルの最上階、展望フロアにある<b>オープンスタジオ</b>。<br />
ガラス越しに大勢の視線。僕は溶けてしまいそうだった。</p>
<p><b>美人パーソナリティ</b>からいろんな質問を投げかけられた。<br />
僕には、<b>エキセントリックな応答</b>をしてしまう癖がある。<br />
照れ隠しで、つい<b>奇を衒った受け答え</b>をしてしまうのだ。</p>
<p><b>反省と自戒</b>を込めて、ここにいくつか再現してみよう。</p>
<p>Q.<br />
<strong>なぜ、声のお仕事を？</strong><br />
A.<br />
いろいろな人から「なぜ声の仕事をしないのか？」<br />
そう言われて「ああ、そうなのか」って。<br />
Q.<br />
<strong>必ず持ち歩いているもの</strong><br />
A.<br />
片手にピストル、こころに花束。<br />
Q.<br />
<strong>語り人さんのマイブームは？</strong><br />
A.<br />
ブームというのはいきなり盛り上がって、<br />
いつのまにかフェイドアウトしている現象のこと。<br />
僕にその傾向はないし、その言葉を好きではない。<br />
Q.<br />
<strong>朝型か夜型か</strong><br />
A.<br />
求められればいつなんどきでも対応できるように<br />
日々鍛錬しているし、勝負パンツも常備している。<br />
Q.<br />
<strong>声優になりたい人にひとこと</strong><br />
A.<br />
あきらめない才能も必要だけど、あきらめる勇気、<br />
素早く方向転換する潔さ、見極めのよさも大切だ。<br />
Q.<br />
<strong>お仕事の告知をどうぞ</strong><br />
A.<br />
ひそやかにやっていますので、とくにありません。<br />
「あっ、この声はもしかして！」それで結構です。<br />
Q.<br />
<strong>「ユアボイス・マイボイス」も人気です</strong><br />
A.<br />
プロでも食べていける人は３％にすぎない世界。<br />
そんな声業界の厳しい現実を突き付けています。<br />
Q.<br />
<strong>そんな話はなかったと思いますが</strong><br />
A.<br />
そうでしたか。では次はそれを書きましょう。<br />
すみずみまで読んできてくれて、ありがとう。<br />
Q.<br />
<strong>語り人さんはその３％のおひとりですね</strong><br />
A.<br />
そうでなければ、やっている意味がない。<br />
趣味や道楽でやってるわけじゃないから。<br />
Q.<br />
<strong>ラブストーリーがステキです</strong><br />
A.<br />
だったら、恋愛だけしていればいい。<br />
Q.<br />
<strong>語り人さん、わたしのことキライですか？</strong><br />
A.<br />
まさか。あなたの声をはじめて聴いたときから、<br />
むしろ好きにならないように必死で頑張ってる。<br />
Q.<br />
<strong>（笑）茂森愛由美ちゃんに頑張ったみたいに？</strong><br />
A.<br />
じゃあ、頑張るのはもうやめましょうか。<br />
Q.<br />
<strong>頑張って耐えてるところが魅力なのかも</strong><br />
A.<br />
<span style="color: #000000;">我慢は美学といえば聞こえはいいけど、</span><br />
ストイシズムはたんなる自己満足です。<br />
Q.<br />
<strong>ええかっこしいのやせ我慢？</strong><br />
A.<br />
あなたのモデルの仕事もそうでしょ。ごめん。<br />
負けそうなので、論点をずらしちゃいました。<br />
Q.<br />
<strong>他にも用意した質問があるんですけど…</strong><br />
A.<br />
たとえば？<br />
Q.<br />
<strong>声の仕事をやってなかったら何をしてた？</strong><br />
A.<br />
それから？<br />
Q.<br />
<strong>今後の目標は？　理想の未来像は？</strong><br />
A.<br />
訊かないの？<br />
Q.<br />
<strong>こんな紋切り型の質問は、嫌いですよね<br />
</strong>A.<br />
あなたが本当に知りたいことを訊いてみて。<br />
Q.<br />
<strong>じゃあ、このあと、収録後のご予定は？</strong><br />
A.<br />
たぶん、あなたと一杯やってると思う（笑）。</p>
<p>さっきの質問も、ついでだから答えちゃうね。<br />
語り人じゃなかったら「歌い人」になってた。<br />
今後の目標は「歌を作る」こと。どうかな？<br />
Q.<br />
<strong>ステキ！<br />
</strong>A.<br />
理想の未来像は、たぶんチェロを弾いている。<br />
愛読書は<b>プルーストの「失われた時を求めて」<br />
</b>傍らには愛するひと。ぼくが朗読してあげる。<br />
Q.<br />
<strong>ずっと聴いてたい！</strong></p>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4480027211&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<p>Q.<br />
<strong>では最後に、語り人さんのリクエスト曲を</strong><br />
A.<br />
1970年の曲。全世界で１億枚のレコードセールスを<br />
記録した永遠のベストソング。<b>エルトン・ジョンの<br />
「僕の歌は君の歌」</b>。（原題は「Your Song」）<br />
Q.<br />
<strong>「Your Song」、わたしも大好き！</strong><br />
A.<br />
僕の贈り物は、僕が作ったこの歌。君にあげよう。<br />
Q.<br />
<strong>英語で言って</strong><br />
A.<br />
My gift is my song and this one&#8217;s for you.<br />
「Your Song」</p>
<p>そう言って僕は、みずから<b>曲のキュー出し</b>をした。<br />
ゲストの身でありながら<b>パーソナリティ</b>みたいに。</p>
<p>モデルとしても活躍する<b>シンガーソングライター</b>の<br />
Kさん。ごめんね。斜に構えた受け答えばかりして。<br />
オーディエンスにジロジロ見られて緊張したのかも。</p>
<p>でも<b>刺激的でワクワクした</b>とあなたは言ってくれた。</p>
<p><b>壜の外</b>はもっと刺激的で楽しかったね！　僕たちは<br />
息を吹き返した啄木鳥ようにいっぱいお喋りをした。<br />
<b>このトークをラジオでやるべきだった</b>と大笑いした。</p>
<p>ドリンクがビールからワインに変わったところで、<br />
料理の皿が焼き鳥からチーズに変わったところで、<br />
僕たちのお喋りも、落ち着いたトーンに変わった。</p>
<p>「語り人さんに、今日はいっぱい教わりました」<br />
「間違いなくあなたの<b>ファンの怒りを買った</b>ね」<br />
「そんなことない。さすが<b>ボイスのプロ</b>だって」</p>
<p>「あなたは<b>歌ボイスのプロ</b>でしょ。しゃべりは」<br />
「素人丸出し。<b>表面的で紋切り型の質問</b>ばかり」<br />
「場合によるよ。そのほうが平和だったりする」</p>
<p>「<b>決め台詞と曲出しコメントはクールに決める</b>」<br />
「ゲストに取られないよう<b>クールにカッコよく</b>」</p>
<p>「それから、<b>歌うように語り、語るように歌う</b>」<br />
「<b>語り人</b>と<b>歌い人</b>の合体だ。あなたならできる」<br />
「ステキ！私今日こればっか。ほんと素人だわ」</p>
<p>「そんなあなたは<b>無敵に素敵</b>」<br />
「その<b>決め台詞</b>で歌を書いて」<br />
「うん。<b>僕の歌は君の歌</b>だよ」<br />
「うれしい。楽しみにしてる」</p>
<p>別れ際、僕たちは<b>同士のような熱いハグ</b>を交わした。<br />
また会う約束をして。次は君が僕の壜にやってくる。</p>
<p>壜詰めの分際である僕たちがしてはいけないこと、<br />
それは<b>「身も蓋もない」ストーリー</b>を語ることだ。</p>
<p>もしもそこに<b>愛という身</b>が詰まっていなければ、<br />
<b>救いという蓋</b>がなければ、語る意味などない。<br />
生きてる意味もない。まったくね。</p>
<p>だから、そうだよKさん。<br />
<b>歌うように語ろう。語るように歌おう。</b></p>
<p><b>何を語るかなんて問題じゃない。<br />
</b><b>どんな声で語るか。</b>それが重要。</p>
<p>あなたの声＆ぼくの声で<br />
<b>ユアボイス＆マイボイス</b></p>
<p>タイトルに結びつくうまいオチがついたところで<br />
そろそろまとめましょう。<b>ラジオの話</b>にちなんで、<br />
<b>ラジオパーソナリティ風</b>に。</p>
<p>えー、語り人の<b>缶詰め＆壜詰め生活</b>は、<br />
今のところ無期限でつづくでしょう。</p>
<p>引き続きあなたの<b>缶切り</b>と<b>栓抜き</b>を、<br />
<b>啄木鳥</b>と<b>ドラえもん</b>を受け付けます。</p>
<p><b>お便り</b>もくださいね。<b>勝負パンツ</b>は<br />
大丈夫。今のところ間に合ってます。</p>
<p>陣中見舞いに訪ねて行っていいかって？<br />
<b>勝負声</b>と<b>勝負笑顔</b>を持っていらっしゃい。</p>
<p>ビールとワイン、焼き鳥とチーズを用意して<br />
待ってます。壜詰めレシピも考えておきます。</p>
<p>お別れの時間がきたようです。<br />
<b>壜から缶に移動</b>しなければなりません。</p>
<p>もうすぐじめじめした季節がやってきます。<br />
<b>あなたが笑顔を絶やさないでいられるよう</b><b> </b><b><br />
</b><b>もともとの魅力的なあなたでいられるよう</b></p>
<p>語り人が<b>魔法</b>をかけて差し上げます。</p>
<p><b>ゆあん　ゆよん　ゆやゆよん<br />
ゆあん　ゆよん　ゆやゆよん</b></p>
<p>それでは、刺激的で楽しい週末を。<br />
お相手は、あなたの語り人でした。</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li>質問は<span style="color: #ff6600;"><b>相手が聞かれてうれしいこと</b></span>、つまり<span style="color: #ff6600;"><b>相手が聞かれたがっていること</b></span>から始めよう。まずは<span style="color: #ff6600;"><b>相手の心をほぐし、舌を滑らかにしてあげる</b></span>こと。</li>
<li><b></b><span style="color: #ff6600;"><b>立ち入った質問</b></span>は、相手の反応を見ながら慎重に少しずつ掘り下げていく。</li>
<li>質問をするときは<span style="color: #ff6600;"><b>フランクにフレンドリーに</b></span>。ただし<span style="color: #ff6600;"><b>礼儀正しく</b></span>ね。</li>
<li>質問の目的は<span style="color: #ff6600;"><b>相手の魅力を引き出してあげる</b></span>こと。ときに<span style="color: #ff6600;"><b>本人も自覚していない魅力、隠れた魅力</b></span>までも。</li>
<li>僕たちはもっと<span style="color: #ff6600;"><b>質問上手</b>、<b>聞き上手</b></span>であるべきだ。質問は相手への<span style="color: #ff6600;"><b>愛情表現</b></span>だ。</li>
<li><b></b>「今日の名言」はこれ。<span style="color: #ff6600;"><b>何を語るか</b></span>なんて問題じゃない。<span style="color: #ff6600;"><b>どんな声で語るか。歌うように語ろう。語るように歌おう。</b></span></li>
<li>「今日の名言」をもうひとつ。もしもそこに<span style="color: #ff6600;"><b>愛という身</b></span>が詰まっていなければ、<span style="color: #ff6600;"><b>救いという蓋</b></span>がなければ、<span style="color: #ff6600;"><b>語る意味</b></span>などない。<span style="color: #ff6600;"><b>生きてる意味</b></span>もない。</li>
</ol>
</div>
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<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=amebablog05d-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4915697223&fc1=000000&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=0000FF&bc1=000000&bg1=FFFFFF&f=ifr" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
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		</item>
		<item>
		<title>孤独と不安のレッスン</title>
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		<comments>http://kataribito.net/short/s0001/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 19 Feb 2015 03:16:08 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[ボイスエッセイ]]></category>
		<category><![CDATA[なのだソング]]></category>
		<category><![CDATA[声優養成所]]></category>
		<category><![CDATA[応援ソング]]></category>
		<category><![CDATA[悔し泣き]]></category>
		<category><![CDATA[滑舌]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://kataribito.net/?p=370</guid>
		<description><![CDATA[「つらいときこそ笑うのだ」 声優養成所の生徒のブログを覗くと、 こんな一文が目にとまった。 僕は知っているよ。 きみがだれよりも早く教室にやってきて、 ビルの非常階段で滑舌の練習をしていること。 課題のナレーションをノー [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p><b>「つらいときこそ笑うのだ」</b><b> </b><b><br />
</b></p>
<p><b>声優養成所</b>の生徒のブログを覗くと、<br />
こんな一文が目にとまった。</p>
<p><span id="more-370"></span></p>
<p>僕は知っているよ。<br />
きみがだれよりも早く教室にやってきて、<br />
ビルの非常階段で<b>滑舌の練習</b>をしていること。</p>
<p><b>課題のナレーション</b>をノートに書き写して、<br />
納得がいくまで<b>何百回も読み込んでいる</b>こと。</p>
<p>「やめちまえ」と叱られて教室を飛び出し、<br />
非常階段で<b>悔し泣きの練習</b>をしていたこと。</p>
<p>周囲に馴染めなくて、自分に自信がなくて、<br />
それでもいつも<b>笑っている</b>こと。</p>
<p>僕は知っているよ。<br />
だから、続きは僕に任せてくれないか。</p>
<p>みなさんも、以下の言葉を声に出して<br />
歯切れよくリズミカルに読んでほしい。</p>
<p>では、いくよ。<br />
はじめ！</p>
<blockquote><p>雄々しくネコは生きるのだ<br />
尾を振るのはもうやめなのだ<br />
失敗おそれてならぬのだ<br />
尻尾を振ってはならぬのだ<br />
女々しくあってはならぬのだ<br />
お目々を高く上げるのだ<br />
凛とネコは暮らすのだ<br />
リンと鳴る鈴は外すのだ<br />
獅子を手本に進むのだ<br />
シッシと追われちゃならぬのだ<br />
お恵みなんぞは受けぬのだ<br />
腕組みをしてそっぽ向くのだ<br />
サンマのひらきがなんなのだ<br />
サンマばかりがマンマじゃないのだ<br />
のだのだのだともそうなのだ<br />
それは断然そうなのだ<br />
雄々しくネコは生きるのだ<br />
ひとりでネコは生きるのだ<br />
激しくネコは生きるのだ<br />
堂々ネコは生きるのだ<br />
きりりとネコは生きるのだ<br />
なんとかかんとか生きるのだ<br />
どうやらこうやら生きるのだ<br />
しょうこりもなく生きるのだ<br />
出たとこ勝負で生きるのだ<br />
ちゃっかりぬけぬけ生きるのだ<br />
破れかぶれで生きるのだ<br />
いけしゃあしゃあと生きるのだ<br />
めったやたらに生きるのだ<br />
決して死んではならぬのだ<br />
のだのだのだともそうなのだ<br />
それは断然そうなのだ<b> </b><b></b></p></blockquote>
<p>どうだった？<br />
執拗な「のだ」のリフレインは<br />
言いにくいやっかいな音だけど、<br />
最後まで噛まずにつっかえずに、<br />
なんとかかんとか読めたかな？</p>
<p>これは、僕が日々の<b>滑舌レッスン</b>に、<br />
また<b>自分を鼓舞するため</b>に音読する<br />
<b>井上ひさし</b>の<b>「なのだソング」</b>です。</p>
<p>「<b>ネコ</b>」の部分を「<b>ワタシ</b>」に変えれば、<br />
（「ボク」でも「オレ」でもいいですよ）<br />
そのまま<b>自分への「応援ソング」</b>になる。</p>
<p>何度も何度も繰り返し、<br />
お腹の底から大きな声で、<br />
雄々しく堂々と読んでみて。</p>
<p>凛ときりりとお目々を高く上げ、<br />
いけしゃあしゃあと読んでみて。</p>
<p>つっかえながらも元気よく、<br />
出たとこ勝負で読んでみて。</p>
<p>滅多やたらに読んでみて。<br />
性懲りもなく読んでみて。<br />
破れかぶれで読んでみて。</p>
<p><b>「なのだソング」</b>は語り人の<b>ボイスレッスン<br />
</b>のテキストであると同時に、つらいときこそ<br />
笑うきみのための<b>「孤独と不安のレッスン」<br />
</b>の主文であり、マントラ（真言）なのです。</p>
<p>これをきみがそらで読めたとき、<br />
すらすらなんなく読めたとき、<br />
お腹の底から読めたとき、</p>
<p><b>「孤独と不安のレッスン」</b>は終了です。</p>
<p>きみにはもう、仲間がいる。</p>
<p><b>ひとりでいる孤独と不安</b>を<span style="color: #000000;">嚙締めた</span>きみには<br />
<b>ふたりでいる孤独と不安</b>を味わったきみには<br />
<b>群衆のなかの孤独と不安</b>を楽しめるきみには</p>
<p>リンとなる鈴に振り回されない<br />
尻尾を振ることを潔しとしない<br />
獅子を手本に進む仲間がいる。</p>
<p>サンマのひらきにそっぽを向き<br />
お恵みなんぞは受けぬと高楊枝<br />
を決め込む孤高の同士がいる。</p>
<p>いいか、よく聞け。</p>
<p>悔しさはちまちま泣いて晴らすな。<br />
悔しさは溜めて溜めて溜め込んで、<br />
ここぞという場面で一気に晴らせ。</p>
<p>だから、それまでは、</p>
<p><b>決してやめてはならぬのだ。<br />
</b><b>決して諦めてはならぬのだ。</b></p>
<p>のだのだのだともそうなのだ。<br />
それは断然そうなのだ！</p>
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