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	<title>声で人生が変わる！「愛と再生」のボイス・ストーリー　ユアボイス・マイボイス &#187; 朗読</title>
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	<description>あなたは自分の「声」が好きですか？ あなたは「声」で損をしていませんか？</description>
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		<title>第2話1章　声優ほど素敵な商売はない</title>
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		<pubDate>Thu, 05 Jun 2014 15:04:45 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第2話　ボイスアクター編①　声優ほど素敵な商売はない]]></category>
		<category><![CDATA[ひとり語り]]></category>
		<category><![CDATA[オネエキャラ]]></category>
		<category><![CDATA[オーディオドラマ]]></category>
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		<category><![CDATA[一人二役芸]]></category>
		<category><![CDATA[器用貧乏]]></category>
		<category><![CDATA[声としなを変える]]></category>
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		<category><![CDATA[沖縄]]></category>
		<category><![CDATA[煽情的な語り]]></category>
		<category><![CDATA[紙芝居]]></category>
		<category><![CDATA[絵本]]></category>

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		<description><![CDATA[100回断られる仕事をしているのに、101回目のオファーを断るなら、あるいは待てないなら、やめたほうがいい。ここは、そんな断られてばかりの競争過多の業界だ。それだけに、101回目の仕事の味は格別だよ。楽しくないわけがない [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>100回断られる仕事をしているのに、101回目のオファーを断るなら、あるいは待てないなら、やめたほうがいい。ここは、そんな断られてばかりの競争過多の業界だ。それだけに、101回目の仕事の味は格別だよ。楽しくないわけがない！<span id="more-174"></span></p>
<p>（序章「<a href="http://kataribito.net/02/prologue-2/">無条件に楽しい仕事</a>」のつづき）</p>
<p>オーディオブック今回のお題は、ズバリ沖縄！<br />
（何がズバリかわからないけれど）</p>
<p>「いいわね。リスナーの <b>&#8220;</b><b>沖縄に行きたい！</b><b>&#8221; </b>という思いをかき立てるような、<b>煽情的な語り</b>で頼むわよ」と、ここで今日の<b>担当ディレクター</b>が登場。</p>
<p>「これを聴いたら最後、もう何が何でも沖縄に行ってやる。沖縄に行けないくらいなら…」とディレクターさんは口角泡を飛ばして演出に入った。</p>
<p>「会社を辞めてやる！」→「待ってたよ、その言葉」（上司より）<br />
「離婚してやる！」→「もらうもの、もらったらね」（鬼嫁より）<br />
「親子の縁を切らせてもらいます」→「とっくに切れとるわ」（関西人）</p>
<p>顔を左右に振って<b>声としなを変える</b>のが見せ所のこの芸。落語でお馴染みの<b>「一人二役芸」</b>だが、これはディレクターさんのおはこ（十八番）だそうだ。</p>
<p>「まあいかにせよ、そのくらいの<b>ドップラー効果</b>を与えてほしいのよ」<br />
地声に戻してディレクターさんは言った。<br />
「それを言うなら、<b>サブリミナル効果</b>でしょ」と、僕はお約束のツッコミを入れたが、この一人二役芸が演出上必要だったのかどうか、いまひとつ疑問が残った。</p>
<p>いずれにしても、僕に「沖縄に行きたい教」の<b>教祖</b>になれと、そういうことですね。えっ、教祖じゃない。あっ、<b>広告塔</b>ですね。それも違う？　じゃあ、<b>夢先案内人</b>ってところですか。はっ、<b>勧誘員</b>？　どんどん格下げするんですね。</p>
<p>「帰らせてもらいます」僕は帰るフリをした。<br />
「わかったわ。夢先案内人でいいわよ」ディレクターさんは歩み寄った。<br />
「ワンランクアップ、感謝します」僕もオトナの対応をした。</p>
<p>「さあさあ、<b>夢先勧誘員</b>の仕事よ。いかにせよ、煽っちゃってね！」<br />
ディレクターさんはどうしても僕を勧誘員にしたいようだ。<br />
でも、どうよ！　夢先勧誘員って、なんか胡散臭くないか？</p>
<p>「でも、クサイのはNGよ。なんていうの？　いかにせよ、むずむずとそこはかとなくよ。わかる？」</p>
<p>（だから、うさんクサイんだって！　しかも＂むずむず＂と＂そこはかとなく＂って言葉、馴染まないというか相性よくないよね）声に出さず僕は抗議した。</p>
<p>それにしても、ひげ面の<b>オネエキャラ</b>のディレクターさん、僕はあなたのこと嫌いじゃない（むしろ好きだ）し、その｢いかにせよ｣という口癖も微笑ましく思う。だけど、いかにせよ日本語がおかしいよ。</p>
<p>でもとりあえず、あなたのいわんとすることはわかりました。肩書も夢先勧誘員でけっこうです（ときに妥協も必要だ）。</p>
<p>さあ、気を取り直して先を急ごう。<br />
オーディオブック『脳内沖縄紀行（仮題）』、スクリプトの流れはこうだ。まずは、人々の＂沖縄に行きたいごころ＂を詩情で訴える。うん、悪くない情景描写。これを<b>個人の心象風景として朗読</b>する。</p>
<p>「ただ、珊瑚が砕けた白砂を踏みしめ、海の鼓動に身をゆだねるだけだ」<br />
うむ…。これはいささか陳腐ではあるけれど、まあよしとしよう（ときに妥協も必要だ）。</p>
<p>次に、現地での<b>観光案内風の語り</b>（少しルンルン気分で）がきて、<br />
つづいて、<b>沖縄の歴史をひもといてみる</b>（ここは格調高く重厚に）。<br />
そしてフォークロア、つまり<b>沖縄に古くから伝わる民話</b>ね（えっ、僕もオネエキャラ？）。</p>
<p>これが面白い。お話の内容はCDが発売されたら買っていただくとして（ウソです。買わないで）、「むか～し、むかし…」にはじまる、<b>絵本や紙芝居</b>の世界。</p>
<p>そこへ、ディレクターさんから注文が。<br />
「あのさ、語り人ちゃん、地の文はおじいさんの声でやってみてくれる？」<br />
「はい。<b>『日本昔ばなし』</b>の常田富士男さんのイメージでいいですか」<br />
「さすが語り人ちゃん、話が早いわ」</p>
<p>ディレクターさん、いかにせよ&#8221;ちゃん&#8221;づけはやめてね。<br />
（もう感化されている。オネエ言葉は感染性があるのだ）</p>
<p>「すごいわぁ。あなた、なんでもできるのね！」<br />
「ちなみに、おすぎ＆ピーコのマネをするザ・たっちの物まねも得意です」<br />
「まあ、器用ね」</p>
<p>器用…。ところでこれは褒め言葉だろうか。いや、語りを極めるうえで、<b>器用さはむしろ邪魔</b>になる。少なくとも僕にとってはそう。だから、器用と言われると少し落ち込む。</p>
<p>たとえば、「<b>器用貧乏</b>ってよく言われるんですよ」って、なかば困ったように、なかば嬉しそうに、つまり自慢げに吹聴する人をよく見かけるが、これは自慢にも謙遜にもならない。<b>器用貧乏は褒め言葉じゃない</b>のだ。</p>
<p>「いかにせよ、それは聞きたくないわね。下品な声はイヤよ。ワタシは、語り人ちゃんの声を聞きながらワインを飲みたいわ」</p>
<p>ここでディレクターさんは大げさに片目を１回、閉じて開いてみせた。<br />
それをウインクと呼ぶ勇気は、僕にはない。</p>
<p>あとは彼（彼女？）の指示どおり、王子さま、お坊さま、占い婆、村人ＡＢなどオールスターキャスト、<b>すべてのキャラを声で演じ分けた</b>。</p>
<p>えっ、やっぱり器用って言っちゃう？　違う。すべてのキャラを声で演じ分けたって言ったけど、これは<b>口先だけの声真似</b>じゃない。なんていうんだろう、あえていえば<b>憑依</b>…。</p>
<p>そう、憑依（ひょうい）だ。何やらおどろおどろしい言葉だけど、僕の場合、そんな感じ。乗り移っちゃう感覚。<b>対象となる人格を瞬時にイメージし、それを丸ごとわが身に引き受ける</b>。</p>
<p>とはいえ、オーディオブックは基本的に<b>ひとり語り</b>。<b>「朗読」</b>というスタンスを大きく逸脱してはいけない。ひとりの読み手（ナレーター）が役ごとにガラリと声を変えては、聞き手は違和感を覚えるだろう。興ざめするといってもいい。この点において、基本的に一人一役の<b>オーディオドラマ</b>とは表現スタイルが異なる。</p>
<p>その意味で、一冊一作品ぜんぶを<b>安定した声と呼吸</b>で読み通していかなければならないオーディオブックほど、読み手の力量が問われるナレーターの仕事はないと僕は思っている。</p>
<p>「は～い、ぜーんぶいただいちゃいました。ブラボーよ、語り人ちゃん！」</p>
<p>終わって我に返ると、ブースの窓の向こうにスタッフみんなのスタンディングオベーションが見えた。</p>
<p>ありがとう！ だからやめられない。<br />
<b>声優ほど、素敵な商売はない</b>。</p>
<p>収録が完了して、事務所のマネージャーやスタッフたちとおしゃべりを。そして、１週間後におこなわれる『脳内沖縄紀行』後編の収録についての打ち合わせをしていた、そのときだった。何やら心身に異変を覚えた。<br />
ブルっと、身震いをひとつ。 おかしい、どこかが…</p>
<p>「沖縄に行けなければ、この仕事、やめてやる！」</p>
<p>僕は唐突にこう叫んだのだけど、それは洗脳による心身喪失の発作なのか、それとも演技の延長なのか、持ち前のサービス精神なのか、はたまた本心丸出しのアピールなのか、自分でもよくわからなかった。</p>
<p>そんな僕の乱心ぶりを見て、マネージャーが慌てて僕の手に何かを握らせた。<br />
「忘れてました！　ディレクターさんから語り人さんに、収録後すぐに渡してくれって！」</p>
<p>それは、災いをもたらす悪霊を追い払う魔除け、沖縄名物「シーサー」だった。素焼きの陶器製で、目鼻口が赤の塗料でペイントされた、手のひらサイズのシーサー。</p>
<p>「あれ？　いまオレ、なんか変なこと言ったか」<br />
我に返った僕は、頭を振ってマネージャーに尋ねた。<br />
「いいえ、今日は気分がいいからオレのおごりだって叫んでました」<br />
「だとしたら変だ。いや、なんかやめてやるって言ってなかったか？」</p>
<p>「ああ、そうでした。酒も女もやめてやるって言ってたような」<br />
「言うはずがない。それより、この不細工なシーサーは何なんだ？」<br />
「ダメですよ、語り人さん。シーサーにそんな罰当たりなこと言っちゃ」<br />
「これ、手作りだぞ。しかも小学生の工作レベル…」</p>
<p>と言いかけて、いったんいつもの自分に戻ったのも束の間、<br />
またしても僕は叫んでいた。</p>
<p>「いかにせよ、沖縄に行きたい！ 」</p>
<p>勧誘員が自分自身を勧誘してしまった、これは典型的な例だろうか。<br />
とするとこのオーディオブック、ディレクターさんの目論見どおり大成功ということになる。</p>
<p>ちょっと待って。僕が「憑依体質」であることを思い出してほしい。</p>
<p>役に入るとき、僕はスイッチひとつで比較的容易に役から役へと瞬間移動することができる。でも役を降りたあと（つまり仕事が終わったあと）、もとの自分に戻るのにひどく時間がかかることがある。</p>
<p>使い古された例えで恐縮だが、やくざ映画を観たあと、ポケットに手を入れ肩をいからせ、睨みをきかせながら映画館を出ていく、あれに似ている。僕の場合、もっと強烈なんだ。</p>
<p>えっ、本当にやくざになっちゃうのかって？　まあ、さすがにそれはないけど、ふつうの人以上に影響を受けやすいことは確かだ。</p>
<p>たとえば先週、何を間違ったのか僕に野球実況のアナウンサーの役がきた。録りが終わって１週間が過ぎた今も、その声と口調が抜けないでいる。</p>
<p>「さあ９回裏同点、二死満塁、ボールカウントはツースリー。勝利の女神はどちらに微笑むのか！」</p>
<p>以来、オーディションで最終候補に残るたび、思わずこんな言葉が口をついて出る。そんな僕だから、このオーディオブックの成功を喜ぶのはまだ早いだろう。</p>
<p>自分を勧誘したあと「相手を勧誘してはじめて成功」といえるのが、僕の仕事なのだから。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（つづく）</p>
<p>オネエキャラのディレクターは何者なのか？<br />
そして、シーサーの謎は？<br />
それは次週『脳内沖縄紀行（後編）』の収録で<br />
あきらかになる（はずだ）。</p>
<p>それでは、第２話「声優ほど素敵な商売はない」<br />
次章をお楽しみに！</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li>ナレーターは<span style="color: #ff6600;"><b>夢先案内人</b></span>もしくは<span style="color: #ff6600;"><b>夢先勧誘員</b></span>でなければならない。</li>
<li><span style="color: #ff6600;"><b>「器用貧乏」</b></span>を謙遜語として使うのはみっともないことと心得よ。</li>
<li>複数のキャラを演じ分けるときは<span style="color: #ff6600;"><b>声を変えるのではない。人格を入れ替える</b></span>のだ。</li>
<li>演技とは<span style="color: #ff6600;"><b>自分で自分を勧誘し洗脳する</b></span>ことである（語り人）。</li>
<li><span style="color: #ff6600;"><b>オネエキャラ</b></span>の人って、なぜか<span style="color: #ff6600;"><b>声が大きくて滑舌が良い</b></span>。</li>
</ol>
</div>
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		</item>
		<item>
		<title>第1話序章　ボイス講師誕生</title>
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		<pubDate>Thu, 01 May 2014 03:00:43 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン]]></category>
		<category><![CDATA[ナレーション]]></category>
		<category><![CDATA[ボイストレーナー]]></category>
		<category><![CDATA[付属養成所]]></category>
		<category><![CDATA[声のプレイヤー]]></category>
		<category><![CDATA[声優プロダクション]]></category>
		<category><![CDATA[声優界]]></category>
		<category><![CDATA[所属声優]]></category>
		<category><![CDATA[朗読]]></category>
		<category><![CDATA[発声]]></category>
		<category><![CDATA[養成所の講師]]></category>
		<category><![CDATA[１ヵ月で声が良くなる]]></category>
		<category><![CDATA[ＣＭナレーション]]></category>

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		<description><![CDATA[「１ヵ月で声が良くなると言うのは本当でしょうか。 具体的にどの程度改善するのか教えてください。 急いでいます。10月中に声に自信が持てる自分になっていますか？」 こんなメールが届いたのは、ときおり夏が未練がましく顏を出す [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>「<b>１ヵ月で声が良くなる</b>と言うのは本当でしょうか。 <b>具体的にどの程度改善するのか</b>教えてください。 急いでいます。10月中に<strong>声に自信が持てる自分</strong>になっていますか？」</p>
<p>こんなメールが届いたのは、ときおり夏が未練がましく顏を出す9月の中旬だった。差出人は、某大手企業に勤めるＭさん。社会人二年生。 IT系のインストラクターをしているという青年だ。</p>
<p>取り急ぎ、<strong>現在どのような声で、１ヵ月後にどのような声になり、何を達成したいのか</strong>聞いてみた。すぐに返信が届いた。</p>
<p>「<b>声に抑揚が無い、一本調子、ロボットのような口調、</b><b> </b><b>聴いていて疲れる</b>、等々指摘されております。 <b>よく通る声、人に不快感を与えない声になりたい</b>。インストラクター認定試験に合格し、1人前になることが当面の目標です」</p>
<p>なるほど、実に見上げた心がけだ。論旨も理路整然としている。それにしても、<strong>ロボットのような口調</strong>というのが気になった。</p>
<p>数年前から、ある人のすすめがあって、<b>ボイストレーナー</b>として活動している。しかし、僕はあくまでも<b>声のプレイヤー</b>を自任している。だから<strong>トレーナー教育</strong>も受けていない（そんなものがあるのかどうか知らないけど）。</p>
<p>そもそも、もう10年くらい前になるだろうか、 そのとき所属していた<b>声優プロダクション</b>、 そこの<b>付属養成所</b>で<b>声優の卵たち</b>を指導したのがきっかけだった。</p>
<p>あるとき代表に呼ばれた。これは何か、僕の命運を左右するような、ぶっちゃけ代表作となるような大きな仕事が入ったに違いない。喜び勇んで、僕は事務所に代表を訪ねた。</p>
<p>「ありがとうございます。とうとう僕に、ブラピの役が回ってきましたか！」<br />
駆けつけ一番、大口をたたく僕をチラ見した代表は、チッチッチッと舌を鳴らしながら、 左手の人差し指を左右に振った。</p>
<p>「なるほど、レオナルドのほうですね」 僕は<b>滑舌の良さ</b>を誇示して言った。<br />
「語り人くん、きみ、相変わらすデカプリオなことを言うね」<br />
「……」 笑えなかった。</p>
<p>なぜって、実はこの少し前、代表と僕は<strong>NHK-BSのドキュメンタリー番組</strong>に連れ立って声の出演をしたのだけど、そのときの一件を思い出したからだ。それは<strong>ジェームズ・ディーン</strong>の特番だった。</p>
<p>他の多くの声優が、この稀代の名優の名前を「ジェームス・ディーン」と発音していたことに、代表はひどく憤慨していた。「ジェームスじゃない、ジェームズだ。まったく、近ごろの声優はなってない！」と。</p>
<p>そんな彼が冗談でも、<strong>ディカプリオをデカプリオと発音すること</strong>に、僕は異議を唱えたかったわけだけど、まあ、そこはさわらぬ神にたたりなし。黙ってやり過ごすのが賢明だろう。</p>
<p>だって彼の世代の多くが、たとえば「ディー」と言えず「デー」と発音してしまうことを僕は知っていた。代表はまじめに「デカプリオ」と言ったのかもしれないじゃないか。</p>
<p>気を取り直して僕は、次のプレゼンに移った。<br />
「ありがとうございます。とうとうきましたか。<strong>ジェットストリームのナレーション</strong>は僕の長年の夢でした」そう言って僕は、あの往年の<strong>名ナレーター、城達也さん</strong>の語りを披露した。</p>
<blockquote><p>満点の星をいただく　果てしない光の海を<br />
豊かに流れゆく風に 心を開けば<br />
煌く星座の物語も聞こえてくる<br />
夜の静寂の　なんと饒舌なことでしょうか</p>
<p>（中略）</p>
<p>日本航空があなたにお送りする「音楽の定期便」<br />
ジェットストリーム<br />
皆様の夜間飛行のお供をするパイロットは私 語り人です</p></blockquote>
<p>「気がすんだかね。夢を見るのはきみの自由だが、ジェットストリームはもうナレーターの手を離れている。<strong>今は有名俳優がキャステイングされる時代</strong>だ。もう忘れなさい」</p>
<p>「わかりました。となると、ト○タ自動車の<b>ＣＭナレーション</b>の年間契約ですね！」<br />
「きみはス○ル自動車をやっていたから、それは無理に決まってるだろう。もういい。もうたくさんだ。それくらいにしておきなさい」</p>
<p>「それともまさか、ＮＨＫの子ども番組『お母さんといっしょ』の<strong>歌のお兄さん</strong>じゃないでしょうね。それは困ります！　歌はともかく、僕は顔出しはしないと…」</p>
<p>「もう、よろし。黙らっしゃい！」 言われたとおり僕は黙った。<br />
大きな咳払いをひとつして、代表は言った。</p>
<p>「語り人くん、きみ、養成所のほうで<b>発声</b>と<b>ナレーション</b>、<b>朗読</b>のクラスをもってくれないかね」<br />
「……」<br />
「そろそろ<strong>講師</strong>の経験をしておくといい」<br />
「……」<br />
「急だが、来月から毎週水曜日の19時だ」<br />
「……」<br />
「どうした？　なぜ返事をしないのかね」<br />
「黙らっしゃいとおっしゃいましたので」</p>
<p>「ここは喋るところでしょ。わたしはきみと漫才をやってるわけじゃない」<br />
「僕にもそのつもりはありません。相方にはうまいボケをかませる人を」<br />
「もう、よろし！　それで、どうなんだね。悪い話じゃないだろう」</p>
<p>「僕が<b>養成所の講師</b>を？　お言葉ですが、それは僕にとっても生徒にとっても、悪い話にカテゴライズされるでしょう」僕はもってまわった言い回しで反抗した。</p>
<p>「だいたい僕は、<strong>学校にも養成所にも行かずこの世界に入った不届き者</strong>ですよ。みんなに言われています。あいつはけしからん、つぶしてやれって」</p>
<p>「語り人くん、言わせてもらえば」代表はジロリと僕を睨んで言った。<br />
「きみに、つぶしてやりたいと<strong>嫉妬を買うほどの華やかな実績</strong>があったかね」</p>
<p>うっ。ボディに効いた。しかし腹筋は鍛えてある。まだ反撃は可能だ。</p>
<p>「では、なおさら僕は適任ではないでしょう」<br />
「後進の指導も大事な仕事だよ、語り人くん」<br />
「わからないですね。なぜ、僕なのですか？」</p>
<p>「それがわたしにもよくわからないのだよ。ともかくきみは、養成生やジュニアの若い子たちに人気があるようだね。それで決まりだ。現場だけじゃなく、教室でも彼らの面倒をみてあげなさい」</p>
<p>「面倒って、あの、代表、僕は自分の面倒をみるだけで手一杯です。無理です。ほんとうに勘弁してください」</p>
<p>そう懇願すると、代表はコホンと咳払いをしてから、パソコンのモニター画面を僕のほうに向けた。最初からこうなることを予想して準備しておいたのだろう。「<b>所属タレントのスケジュール一覧</b>」が開かれていた。</p>
<p>「きみのスケジュール、わたしの頭と同じだね」<br />
そう言って代表は、９割がた白くなった頭髪をいまいましそうに両手でかきむしった。面白くもないジョークにパフォーマンスだが、言いたいことはわかった。</p>
<p>「ほぼ真っ白です」しかたなく僕は付き合った。<br />
「そうなんだよ。寂しいねえ。黒くしたいねえ。クローは買ってでもシローってねえ」<br />
哀しげに、ため息まじりに代表は言った。</p>
<p>「＂若いときの苦労は買ってでもしろ＂ということわざで僕を励まし、なおかつそこにスケジュールの黒白をからめて、実にお見事です」<br />
ああ、なんという茶番。僕は代表が書いたシナリオどおりに喋らされていた。</p>
<p><b>芝居の上手さ</b>には定評のある代表だが、ときおり挟まずにいられないらしい<b>ギャグの稚拙さ</b>にも定評があった。</p>
<p>「きみの物分かりのよさとギャグ分かりのよさ、わたしは大好きだよ。語り人くん、やはりわたしとコンビを組まないかね」</p>
<p>ここでニヤリと不敵な笑みを見せる、その<strong>老練な演技</strong>。さすが<b>声優界</b><strong>の草分けにして重鎮</strong>。今度こそ、僕は本当に黙るしかなかった。</p>
<p>そんな経緯で<strong>発声や語りの基礎</strong>を教えるハメになったのだけど、だいぶあとになってマネージャーから「実はですね…」と真相を打ち明けられた。</p>
<p>はじめ僕よりも人気、実績ともに華やかな<b>所属声優</b>が受け持つことになっていたが、彼に大きな<b>レギュラーの仕事</b>が入った。そこで急きょ、スケジュールに空白の目立つ僕にお鉢が回ってきたらしい。人気、実績とも地味な僕に。</p>
<p>「だ、代表…だましたな。おのれ、タヌキじじいめ！」 とマネージャーの襟首を掴んだが、もちろん彼が怒られる謂れはない。</p>
<p>「でも語り人さんの授業、評判いいっスよ」<br />
おしゃべりなマネージャーくんは、またしても余計なことを言ってしまったようだ。<br />
「あのねえ、<strong>クライアントや制作会社の評判が命</strong>なの、オレたちは」</p>
<p>「でも語り人さん、楽しそうに教えてるじゃないっスか。ノリノリで」<br />
と言いながらマネージャーくんは腰をクネクネと揺らした。どうやら僕のマネをしているつもりらしい。</p>
<p>「オレはそんなカッコわるい腰の振り方はしない。 いや、だいたい腰なんか振らない！」<br />
「いや、あれが色っぽいって評判が」<br />
「評判って、教え方じゃないのか。もういい！」</p>
<p>閑話休題。<br />
僕はいったい、何の話をしていたのか。 そうだ、大手企業に勤務するＭさんの話だった。</p>
<p>ええ、その話は、また次回ということで。<br />
とりあえず今日は「<b>語り人はいかにしてボイス講師になったか</b>」<br />
というお話でした。では、ご免！</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li><span style="color: #ff6600;">声や話し方をどう変えて、何を成し遂げたいか</span>、目的を明確にする。</li>
<li><span style="color: #ff6600;">うまい話や巧妙な誘い</span>にはまず裏があると心得よ。</li>
<li>自分を大きく売り込むには<span style="color: #ff6600;">ユーモアのセンス</span>が不可欠だ。</li>
<li>目上の人のヘタな（あるいは寒い）ギャグにどれだけ付き合えるか。これは<span style="color: #ff6600;">成功の秘訣</span>が10あるとすれば、3位くらいにランクインするんじゃないかと僕は確信している。</li>
</ol>
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