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	<title>声で人生が変わる！「愛と再生」のボイス・ストーリー　ユアボイス・マイボイス &#187; ニコラス・ケイジ</title>
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	<description>あなたは自分の「声」が好きですか？ あなたは「声」で損をしていませんか？</description>
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		<title>第4話4章　言葉の力</title>
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		<pubDate>Fri, 07 Aug 2015 12:50:18 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第4話　ジョージの伝言]]></category>
		<category><![CDATA[ニコラス・ケイジ]]></category>
		<category><![CDATA[不思議な能力]]></category>
		<category><![CDATA[将来設計]]></category>
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		<category><![CDATA[言語脳]]></category>
		<category><![CDATA[超常的]]></category>

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		<description><![CDATA[大きくなった僕は、アメリカ人と喧嘩するどころかアメリカンガールに恋をして失恋して、そして今は変な米兵に弱みを見せまくり、やつといることに奇妙な安らぎさえ覚えるていたらくだ。そんな軟弱な息子を、父は天国から苦々しい思いで見 [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>大きくなった僕は、アメリカ人と喧嘩するどころか<b>アメリカンガールに恋をして失恋して</b>、そして今は<b>変な米兵に弱みを見せまくり、やつといることに奇妙な安らぎさえ覚えるていたらく</b>だ。そんな軟弱な息子を、父は天国から苦々しい思いで見ているのだろうか。<span id="more-571"></span><br />
（<a href="http://kataribito.net/04/04-3/">3章「日本のアメリカ」</a>）のつづき）</p>
<p>年が明けても僕たちは二日とあけず顏を合わせた。</p>
<p><b>基地のゲートを挟んで向かい合って言葉を交わす</b>。１時間以上話し込むこともあれば、2.3分で切り上げざるを得なかったり、ただ笑顔を交わすだけの日もあった。ジョージだって仕事をしているのだ。もちろん僕だって少しは忙しい。</p>
<p>おもしろいのは、目の前にいるのに<b>ジョージがいるところはアメリカで、僕がいるところは日本</b>ということだった。ジョージはそれをネタにした。</p>
<p>「僕たちは<b>38</b><b>度線に阻まれた恋人同士</b>みたいだね」<br />
「<b>問題発言を含む笑えないジョーク</b>だ」<br />
「毎日のように会いにきてくれるじゃないか」<br />
「きみこそ、いつも僕を待ってるじゃないか」</p>
<p>そうだよ。僕は毎日ジョージに会いたかった。初めて会った日、彼が予言したとおり、たしかに<b>僕はジョージを求めていた</b>。</p>
<p>それと同時に<b>男女の恋愛問題や、そこから派生する将来設計</b>といった煩わしい問題から自由になっていた僕は、ひたすら仕事に専心した。<b>声と言葉の力だけを信じて</b>。</p>
<p>どんな案件も気を抜くことなく全身全霊で打ち込んだ。以前は「<b>いい声ですね</b>」としか言われなかった収録現場で「<b>鳥肌が立ちました</b>」と言われるようになった。これって褒め言葉だよね？</p>
<p>自分で選択して飛び込んだ業界。<b>プロでも食べていけるのは３％といわれる、努力が報われることの極めて少ない業界</b>。<b>免許も資格もなく、仕事の保証などどこにもないリスキーな業界</b>。すでにベテランに仕分けされるほどの年月を、僕はここで闘ってきた。</p>
<p>ジョージと出会う前、プライベート面ばかりか仕事面でもスランプに陥っていた僕は、<b>自分の居場所</b>も<b>自分の言葉</b>さえも見失っていた。台本を読んでも言葉が上滑りして、何を読んでいるのかさっぱりわからない始末だった。</p>
<p>それがジョージと会話することで、僕の<b>言語脳</b>はどんどん研ぎ澄まされていった。<b>英語脳を活性化させた</b>ことが大きかったと思う。また英語を喋ることで、<b>日本語の発声</b>はこれまでにない響きを獲得していた。</p>
<p>そして何より、ジョージは<b>国境の向こう側</b>でいつも僕を待ってくれていた。<br />
<b>利害関係も力関係もない</b>。その純粋性が、僕を幸せな気持ちにしてくれた。<br />
<b>僕は独りだったけど一人じゃなかった。孤独だったけど寂しくはなかった。</b></p>
<p>そうして、引き籠るにはうってつけの<b>冬が終わり</b>、僕にとってはいささか面映ゆい<b>春が過ぎ</b>、恵みの<b>雨季がやってきた</b>。僕はこの季節が好きだ。ジョージにあげようと庭に咲くガクアジサイを何本か摘み、雨の中カッパを着て国境のゲートに向かった。</p>
<p>その日、ジョージの表情は暗かった。<br />
「語り人、<b>きみは僕のことが恐くないのか？</b>」<br />
「いきなりどうしたんだ？」<br />
「……」ジョージは黙ったまま俯いた。<br />
「きみの<b>不思議な能力</b>のこと？」</p>
<p>僕は<b>突出した本物の能力</b>に対してはそれが非常に特殊なもの、たとえば<b>超常的なもの</b>であれ<b>脳障害がもたらすもの</b>であれ、<b>畏敬の念をもって素直に受け止める公正さ</b>は持ち合わせているつもりだった。</p>
<p>「あのさ、世の中にはいろんな人がいるよ。何桁の数字もたちどころに暗記してしまう人。一度聴いた楽曲を正確に再現できる人。<b>絶対音感</b>を持っている人はどんな音もドレミで聴こえるそうだ。これは恐いことだと思うよ。どこにいても雑多な音が溢れていてさ、気軽に街も歩けやしない。もっと言おうか？」</p>
<p>「もういいよ。ありがとう」 ジョージの顔に輝きが戻った。「語り人がわかってくれればそれでいいんだ」<br />
「あのさジョージ、何が視えても、もう余計なことを言っちゃダメだよ。また誰かに苛められた？」<br />
「まあ、慣れてるけどね…」<br />
図星だったようだ。</p>
<p>落ち込んでいるジョージを見ていると、僕の中で唐突に悪戯心が湧き起った。ジョージと親しく話をするようになって10か月、僕の<b>英語脳</b>は大学生レベルまでには戻っていたと思う。だから僕は、きっと調子に乗っていたんだ。</p>
<p>「ああ、そうだよジョージ。僕はわかってる。きみの<b>能力の正体</b>をね」</p>
<p><b>名探偵</b>にでもなったつもりだったのか、僕は芝居っ気たっぷりに言ってみた。</p>
<p>「きみの能力は<b>簡単な心理学</b>だよ。つまりきみは、<b>人の顔色を読み取る能力</b>にとても優れている。それともうひとつ、きみは<b>話の誘導</b>が実にうまい。人の感じやすい部分をピタリと言い当ててるみたいだけど、でも本当は<b>多くの情報を相手の話の中から巧みに引き出している</b>」</p>
<p>僕はたぶん、自分の<b>言葉の力</b>を試そうとしていた。</p>
<p>「たとえばきみは、僕の仕事を言い当てようと<b>ニコラス・ケイジの言葉</b>を引用したね。<b>それは役者の言葉だ</b>と僕はいなした。するときみは、すぐに<b>表現者</b>と言い換えた。<b>人は誰もが表現者</b>だよ。またきみは、相手の何かを指摘したあと『違う？』と確認を促す。人はこの<b>念押し確認</b>に弱いんだ。『そのとおりだ。違わない』となる。これらは<b>心理学の誘導法</b>で説明できる」</p>
<p>芝居なのか芝居じゃないのか、もうわからない。僕は自分を止めることができなかった。</p>
<p>「もっと言おうか。僕がボストンの女の子と付き合った事実は、<b>僕の英語を聴けばわかる人にはわかる</b>ことだよ。アメリカに行ったことがないのは、<b>僕の英語がその子の影響しか受けていない</b>ことから容易に判断できるだろう。<b>僕の話す英語が</b><b>30</b><b>年前と変わっていない</b>からだ。つまり<b>僕の英語脳は青臭い</b><b>19</b><b>歳のまま成長が止まっている</b>ということ。そこで身長がぴたりと止まったみたいにね。きみはそれに気づいた」</p>
<p>ひと呼吸置いて、僕は自嘲するように続けた。</p>
<p>「ていうか、僕はうっかりヒントをあげちゃったよね。<b>もう四半世紀以上、まともに英語を話していない</b>って」</p>
<p>そうして僕は、泣きそうになりながら<b>言葉の銃口</b>をジョージに向けると、とどめを刺した。</p>
<p>「<b>それがきみの能力の正体だ。インチキ教祖とかエセ霊能者がよく使う手口だよ。違う？</b>」</p>
<p>ジョージは呆気にとられたような顔で目を見開いて僕を見ていたが、一瞬だけ悲しげな、困ったような微笑を浮かべた。そして文字どおり瞬きをする間に普段の笑顔を取り戻すと、今度は声をあげて笑った。</p>
<p>「そのとおりだ。違わないよ。それにしても見事な演説だ！」と拍手をしながら言った。「語り人にはかなわないね。きみこそ、何でもお見通しってわけだ」</p>
<p>ジョージの顏を見たのは、それが最後だった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>（５章につづく）</p>
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		<title>第4話2章　遠いアメリカ</title>
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		<pubDate>Tue, 21 Jul 2015 12:06:27 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第4話　ジョージの伝言]]></category>
		<category><![CDATA[BBC英語]]></category>
		<category><![CDATA[ニコラス・ケイジ]]></category>
		<category><![CDATA[ベルベットボイス]]></category>
		<category><![CDATA[ボストン]]></category>
		<category><![CDATA[交換留学生]]></category>

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		<description><![CDATA[「そんなに悲しいのは、本気で愛したからでしょ？」 「それ、どういう意味？　僕に言ってるの？」 「ほかに誰がいる。だいたい、きみが僕を呼んだんだよ」 「なに？　呼んだ覚えはないけど」 「じゃあ、きみが僕を求めた、と言い換え [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>「<b>そんなに悲しいのは、本気で愛したからでしょ？</b>」<br />
「それ、どういう意味？　僕に言ってるの？」<br />
「ほかに誰がいる。だいたい、<b>きみが僕を呼んだ</b>んだよ」<br />
「なに？　呼んだ覚えはないけど」<br />
「じゃあ、<b>きみが僕を求めた</b>、と言い換えようか」</p>
<p>そう言うと男は、その無邪気な笑顔に真っ白な歯を添えた。<br />
それがジョージとの最初の出会いだった。<span id="more-558"></span></p>
<p>（<a href="http://kataribito.net/04/04-1/">1章「米兵ジョージ</a>」のつづき）</p>
<p>最初に言ったように、僕の<b>ウォーキングコース</b>はこの公園だけじゃない。ここに来るのは週２～３回。曜日も時間もばらばら。ジョージが門衛につくローテーションも知らない。でも<b>なぜかいつもジョージの姿はそこにあった</b>。</p>
<p>彼の名前を知ったのは２回目に会ったときだった。</p>
<p>「日本人みたいだろう」と言って白い歯を見せた。<br />
「ジョージ・ワシントン」と僕は言ってみた。<br />
「ああ、尊敬している。親父がね」<br />
「君は違うの？」<br />
「わからない。時代が違うしね」<br />
ジョージの表情が一瞬、曇った。</p>
<p>「ところで、聞かせてくれるかな」<br />
最初に彼が放った<b>言葉の真意</b>を知りたかった。</p>
<p><b>そんなに悲しいのは、本気で愛したからでしょ？</b></p>
<p>彼が看破したとおり、そのときの僕は<b>生涯守り抜くはずだった人との別れ</b>を経験したばかりで、我と我が身を責め苛んでいた。</p>
<p>「きみに<b>ニコラス・ケイジの言葉</b>を贈るよ。<b>『僕は本気で愛して失恋したい。欲しいのはその経験だ』</b>」そういうとジョージはにっこり笑った。</p>
<p>「それは<b>役者の言葉</b>だろう」僕は少し投げやりな口調で言った。<br />
「きみは違うの？」ジョージは首を傾げた。<br />
「……」<br />
「役者だけじゃない。表現者の宿命だ。<b>魂は経験によってのみ磨かれる</b>んだ。好むと好まざるとにかかわらずね。きみはいつだって<b>あまり賢明とはいえない、あまり効率的とはいえない経験</b>を好んで求めた。違う？」</p>
<p>ちがうちがう、そうじゃない。<br />
ちがうちがう、…ちがわない。<br />
たしかに僕にはその傾向が強くある。</p>
<p>「<b>僕が君を求めた</b>って、どういうこと？」<br />
「そのうちわかるよ。ところで、まだ名前を聞いてなかったと思うけど」<br />
「失礼」と言って、僕はファーストネームを名乗った。</p>
<p>「わお、グレイト！　君は日本一の人なのか！」<br />
「名前だけだ。だから語り人と呼んでくれ」と僕は言った。</p>
<p>それから僕たちは、自分の名前にまつわる悲喜こもごもの歴史、簡単にいうと<b>名前で得したこと・損したこと</b>などを面白おかしく披露し合った。</p>
<p>ジョージの英語は<b>西海岸で話される標準的な米語</b>で、正確で訛りもない。とはいえ相当な早口で、脳が言葉の意味を咀嚼するのに少なからず時間を要した。まともに英語を話さなくなってから四半世紀になる。だから<b>噛んで含めるように話してくれ</b>と頼んだ。</p>
<p>「君の英語は若々しくて美しいよ。<b>東海岸</b>だね。<b>学園都市</b>。そう、<b>ボストン</b>の香りがする」とジョージはゆっくり刻むように言った。「でも君は、<b>アメリカには行ったことがない</b>、だろう？」</p>
<p>たしかに僕はアメリカに行ったことがない。これまで幾度となく渡米の機会は巡ってきたが、なぜかいつもすんでのところで邪魔が入り計画は頓挫した。</p>
<p>でも、なぜわかる？<br />
「でも、<b>ボストンから来た女の子</b>と付き合ったことがある、違う？」</p>
<p>もうわかったよ。そうだ。大学生のとき僕の通う大学に、ボストンの大学から<b>交換留学生</b>としてやってきた女の子がいた。彼女の<b>お世話係</b>を任されたのが事の始まりだった。</p>
<p><b>僕たちはたちまち惹かれ合った。</b><b></b></p>
<p>彼女の屈託のない笑顔と、その笑顔を裏切る<b>愁いを帯びたベルベットボイス</b>に、僕は一発でやられてしまった。<b>利発というより聡明で、活発というより思慮深い彼女</b>に夢中になった。</p>
<p>ポップなリズムでまくしたてる鼻にかかったべちゃっとした米語ではなく、どちらかといえば<b>BBC</b><b>英語</b>に近いがそれでいてスノッブさを感じさせない、<b>クラシカルで気品のある英語を話す彼女</b>に恋をした。</p>
<p>そして彼女は、僕の黒い瞳と黒い髪が好きだと、ギターを弾くその指と、優しくて深い声、本を読んでいるときの横顔が好きだと言った。</p>
<p>そのくせいつも「<b>本と私、どっちが好きなの！</b>」と駄々をこねては僕の手から本をひったくり、そうして僕が教えた日本語「<b>書を捨てよ、町へ出よう</b>」をしつこく何度も復唱し、いやがる僕を外へ引っ張り出した。</p>
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<p><b>僕たちは文字どおり恋に落ちた。魂の物理法則に従って。</b><b></b></p>
<p>一年という留学期間は、<b>恋という熱病に侵された二人</b>にはあまりに短すぎた。僕たちは、どちらかがどちらかの国に住むという選択肢を真剣に話し合った。日本かアメリカか…。離れたくない思いは一緒だったはずだ。</p>
<p>「やっぱりあなたが交換留学生としてボストンにきて！ そうすれば少なくともあと一年は一緒にいられるわ」</p>
<p><b>少なくともあと一年？</b><br />
彼女は&#8221;long time&#8221;でも&#8221;forever&#8221;でもなく&#8221;at least one more year &#8221; と言った。彼女のこの言葉に、19歳の僕は勝手に傷ついたことを覚えている。</p>
<p>結果的に僕は交換留学生の資格を得ることは出来なかったし、彼女も期間を超えて日本に留まることは許されなかった。<b>アメリカは、僕にとってこんなにも近いのに、こんなにも遠かった。</b></p>
<p>「うん、そのときも辛い別れだったよね。<b>僕たちは選べないんだよ。恋の始まりも、終わりもね</b>」と、ジョージはまるで「両手の指は10本だよね」みたいな、それが当然であるような言い方をした。</p>
<p>「しかたないさ。二人はまだティーンエイジャーだったし、おとなが決めたことに従うしかなかったんだから」</p>
<p>もう三十年も前のことなのに、僕の中の忘れていた感情が、舌が酸味の刺激を敏感に捉えるように甦ってきた。 それを追い払おうと、僕は激しく頭を振った。</p>
<p>それにしても、この黒人にしては華奢な体型のハンサムな男は、いったい何者なのだ。僕の<b>過去や現在が視える</b>とでもいうのか。「<b>たしかに視えている</b>」としかいいようのない事態に、僕はひどくうろたえた。</p>
<p><b><br />
（３章につづく）</b></p>
<p>&nbsp;</p>
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