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	<title>声で人生が変わる！「愛と再生」のボイス・ストーリー　ユアボイス・マイボイス &#187; キャッチボール</title>
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	<description>あなたは自分の「声」が好きですか？ あなたは「声」で損をしていませんか？</description>
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		<title>第1話4章　愛のレッスン</title>
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		<pubDate>Thu, 22 May 2014 10:20:49 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン]]></category>
		<category><![CDATA[あうんの呼吸]]></category>
		<category><![CDATA[おもいやり]]></category>
		<category><![CDATA[おもてなし]]></category>
		<category><![CDATA[キャッチボール]]></category>
		<category><![CDATA[セルフトレーニング]]></category>
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		<category><![CDATA[ルーティーン]]></category>
		<category><![CDATA[ロボット人間]]></category>
		<category><![CDATA[声の収束性と方向性]]></category>
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		<category><![CDATA[愛]]></category>
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		<category><![CDATA[真っ直ぐ投げれば真っ直ぐ返ってくる]]></category>
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		<category><![CDATA[通過儀礼]]></category>

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		<description><![CDATA[結論を言ってしまえば、最後のレッスンで録音した彼の声は、最初のものとは別人といってよかった。 （３章「シャル・ウイ・キャッチボール？」のつづき） 次のレッスン日を決めるメールのやり取りで、彼はいつも、僕が与えた課題（およ [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>結論を言ってしまえば、最後のレッスンで録音した彼の声は、最初のものとは別人といってよかった。<span id="more-19"></span></p>
<p>（３章<a title="第1話3章　キャッチボールをしませんか" href="http://kataribito.net/01/03/">「シャル・ウイ・キャッチボール？」</a>のつづき）</p>
<p>次のレッスン日を決めるメールのやり取りで、彼はいつも、僕が与えた<b>課題</b>（および<b>ルーティーンのトレーニングメニュー</b>）をきちんとこなしていること、そして顕著に現れ始めた<b>「成果」</b>を報告してきた。</p>
<p>とくに忘れられないのが４回目、最後のレッスン日のスケジュールを決めるメールでの報告だった。Ｍさんの言葉はいつも以上に弾んでいた。</p>
<p>「ここ最近の私の<b>変貌ぶりに驚嘆</b>する職場の同僚からは、恋人でもできたのだろうと揶揄され、インストラクターの担当コーチからは、そこまでいけば11月のインストラクター認定試験は問題ないだろうと、太鼓判を押されました。（中略）私は、本当に、<b>生まれ変わった</b>みたいです！」</p>
<p>そして彼は、最後のレッスン場所に、再びあの場所を指定した。<br />
<b>新宿中央公園</b>だ。えっ、なぜ新宿中央公園かって？<br />
これについては、また別のエピソードでお話する機会があるだろう。</p>
<p>ともかく、あることがきっかけで、僕は新宿中央公園をしばしばレッスン場にしていたのだが、Ｍさんとの２回目のレッスンもここだった。</p>
<p>メールでＭさんは「もう一度だけ、<b>キャッチボールがしたい</b>」と申し出た。<br />
用具は自分で持参しますと、書き添えられていた。</p>
<p>そう、キャッチボール。彼としたキャッチボールについて、少し記しておこう。</p>
<p>２回目のレッスン。<b>はじめてのキャッチボール</b>。</p>
<p>僕たちは大きな声を掛け合いながら、もう汗まみれになってボールを投げ合った。僕は、彼が投げるノーコンの球を全力でキャッチしようと前後左右に走り、 彼は、僕の投げる球を取り損ねてばかりで、そこら中を右往左往した。</p>
<p>その姿はあまりにも無様で、道行く人々の失笑を買ったが、彼は真剣だった。大真面目だった。そして真剣で大真面目だからこそ、そこには祈りがあった。</p>
<p>だから僕たちは、キャッチボールを楽しんでいる人にはとても見えなかったに違いない。まるで何かの<b>苦行、</b>もしくは<b>儀式</b><i>のように見えた、</i>という人がいたら、それが正しい見方だと思う。</p>
<p>Ｍさんにとってキャッチボールは、<b>新しい自分を獲得するための通過儀礼</b>だったのかもしれない。</p>
<p>レッスン最終日、これまでの<b>レッスンの総まとめ</b>。</p>
<p>ひとつひとつの項目を丁寧にチェックしていき、今後も続けていく彼の<b>セルフトレーニング</b>に指針を与えた。</p>
<p>そして前回おこなった、彼のインストラクター用の講義台本を、<b>読み口調から語り口調へとスイッチさせる</b>ポイントの復習をした。</p>
<p><b>間の取り方や発声の強弱のつけ方</b>に、もちろん当意即妙とはいかないまでも、<b>安定したリズムと息遣い</b>が感じられた。長足の進歩といっていい。</p>
<p>二度目の、そして<b>最後のキャッチボール</b>。</p>
<p>道具を自分で用意すると聞いたときからある程度の予想はしていたが、彼は僕が投げたボールを、優しい球ならほぼ確実に受け取れるようになっていた。投げるほうも、僕の可動範囲をそれほど大きく外れることはなくなっていた。</p>
<p>何より投球フォームとグラブさばきに、基本動作をいやというほど繰り返した人の「洗練さ」がうかがえた。たったの２週間で、彼はいったいどれだけの練習をしたのだろう。</p>
<p>「キャッチボールは自宅レッスンのメニューに入ってなかったはずだけど。いつ、どこで、誰とキャッチボールを？」</p>
<p>驚く僕に、よくぞ聞いてくれましたとばかりに、Ｍさんはうれしそうに応じた。</p>
<p>「毎日、会社のお昼休みと終業後にやっているんです」<br />
「すばらしい！　でも、よく付き合ってくれる人がいましたね」<br />
言ってから「しまった。これは失言だ！」と思ったが、Ｍさんは気にすることなく、さらにうれしそうにつづけた。</p>
<p>「語り人さんがおっしゃいました。<b>真っ直ぐ投げれば真っ直ぐ返ってくる</b>って。キャッチボール、いま会社で流行っているんです」</p>
<p>「へえー、すごいな！　Ｍさんが仕掛け人になったんですね」<br />
「仕掛け人は語り人さんです」彼は首を振った。</p>
<p>「いや、私はトレーナーの立場を利用してＭさんをそそのかしただけですよ。でもＭさんは入社２年目にして、会社でキャッチボールを広めた。立派な先駆者です」</p>
<p>「１ヵ月前の私からは想像もできないです。会社が楽しくなりました」<br />
「キャッチボールのおかげで？」 僕はボールを返した。<br />
「いいえ、声のおかげです。キャッチボールはメタファに過ぎない、でしょ？」 Ｍさんは速球を投げ込んできた。</p>
<p>「とはいえ、すこぶる実用性に富んだメタファ」<br />
なんとかキャッチして僕は返球した。<br />
「もはやメタファを超えた、有用なコミュニケーションツール」<br />
おお、Ｍさん、いい球だ。</p>
<p>「その根拠は」と僕は言った。「第一に<b>相手の球を跳ね返すのではなく、いったん受け止めてから投げ返す懐の深さ</b>。第二に、<b>相手との立ち位置の間合いを適宜変更できる自在度の高さ</b>。第三は…」<br />
僕はボールを投げると、Ｍさんに先を促した。「第三は、Ｍさんどうぞ」</p>
<p>「私のお株を奪われてしまいました」Ｍさんは笑ってボールを投げた。<br />
「第三は、<b>会話も可能な適度な運動量と絶妙な距離感、そこに生まれるあうんの呼吸</b>」</p>
<p>Mさんの見事な返球に、僕は心の底から感動していた。<br />
思えば彼が、「どこまでもつづく一方通行トーク」で僕を怒らせたのは、つい１ヵ月前のことなのだ。</p>
<p>秋晴れの新宿中央公園。土曜日の昼下り。僕たちは声を上げて笑った。<br />
笑いながら、僕たちの「言葉とボールのキャッチボール」はつづいた。</p>
<p>どんな関係に見えるかは別にして、もうだれが見ても、単純にキャッチボールに興じる二人の男だった。もしも、仲睦まじいゲイのカップルに見えたとしたら、それは誤りである。断じて！</p>
<p>別れ際、Ｍさんは何度も何度も頭を下げて、感謝の言葉を繰り返した。<br />
「試験、もう大丈夫ですね。良いインストラクターになってください」</p>
<p>「ええ、まずは。でも、会社は三年勤めたら辞めようと思います」<br />
「それは、どうして？」<br />
「高校の先生になりたいんです。母校の」</p>
<p>僕は彼の顔をまじまじと見据えた。冗談を言っている目ではなかった。<br />
「へえー、教科は何ですか」<br />
「いま高校でもITに関する科目が増えています。私の母校はとくに力を入れています」</p>
<p>「そうですか、それはいい！」<br />
「私のような<b>ロボット人間</b>を増やさないためにも、そうしたいのです」<br />
このＭさんの言葉に、またしても僕は打たれた。</p>
<p>「社会経験も積んで、不得手なことも自分の力で克服したＭさんなら、かならず良い先生になれますよ」<br />
「それを教えてくださったのは、語り人さんです」</p>
<p>今にも泣き出してしまいそうな自分を抑えて、僕はわざとぶっきらぼうに言った。<br />
「Ｍさん、ロボット人間に必要なレッスンは？　３つ、言ってみなさい」</p>
<p>「<b>声とキャッチボール</b>と…」</p>
<p>Ｍさんは少し考えてから、僕の目をまっすぐ見て決然と言い放った。</p>
<p>「それと、<b>愛</b>です」</p>
<p>（おわり）</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li>日々の<span style="color: #ff6600;"><strong>ルーティンメニュー</strong></span>をしっかり、確実に、愚直にこなそう。</li>
<li>有効だと思えば、苦手なこと、自分らしくないことにも挑戦してみよう（Mさんがキャッチボールをルーティンワークに取り入れたように）。</li>
<li>実際キャッチボールは、ボイストレーニングにもってこいだ。<span style="color: #ff6600;"><b>声量のコントロール</b>、<b>声の収束性と方向性</b></span>を養うことができる。</li>
<li>多くの人が<span style="color: #ff6600;"><b>「自分を変えたい」</b></span>と願う。そして多くの人が<span style="color: #ff6600;"><b>「やっぱり変わらない」</b></span>と嘆く。最後までやりもしないで。では、最後までとはどこまでか。もちろん目的を達成するまでだが、まずは身近な人から<span style="color: #ff6600;"><b>「最近、変わったね。なんかあったの」</b></span>と言われるまで。そこが目安だ。</li>
<li>「今の仕事（職場）を辞めたい」と思うなら、ひとつでいい、そこで何かを成し遂げてからにしよう。<span style="color: #ff6600;"><b>成功体験が人を前進させる</b></span>のだ。</li>
<li>人間関係において<span style="color: #ff6600;"><b>「愛」</b></span>は、<span style="color: #ff6600;"><b>「ホスピタリティ（おもいやり・おもてなし）」</b></span>と同義である。</li>
</ol>
</div>
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		<item>
		<title>第1話2章　問わず語りの彼</title>
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		<pubDate>Thu, 08 May 2014 02:50:01 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン]]></category>
		<category><![CDATA[キャッチボール]]></category>
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		<category><![CDATA[間]]></category>

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		<description><![CDATA[彼が何を言っているのか、僕には半分も理解できなかった。 使用言語はたしかに日本語なのに…。 原因はすぐにわかった。それは… （１章「君の声が届かない」のつづき） 彼の話し方はまるで独り言のようだった。相手に伝えよう、届け [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>彼が何を言っているのか、僕には半分も理解できなかった。<br />
使用言語はたしかに日本語なのに…。</p>
<p>原因はすぐにわかった。それは…<span id="more-15"></span><br />
（１章<a title="第1話1章　きみの声が届かない" href="http://kataribito.net/01/01/">「君の声が届かない」</a>のつづき）</p>
<p>彼の話し方はまるで独り言のようだった。<b>相手に伝えよう、届けようという意思</b>が感じられない。<b>自己完結した喋り</b>といえば、おわかりいただけるだろうか。</p>
<p>あらゆる言葉が、彼の口から出た途端に本来の目的を失い、あるいは虚空に拡散し、あるいは地面に落下した。それは、作り方を間違えた凧を、僕に連想させた。</p>
<p>にもかかわらず、彼はよく喋る。そのくせ、並んで歩いている僕のほうを見るでもなく、その目線はつねに前方のビルの看板か、さもなければ自分の足元に限られていた。</p>
<p>彼の<strong>独り語り</strong>はとどまることを知らず、ひとつ質問をするたびにこちらが制するまで延々とつづくかに思われた。<b>「へえー」「なるほど」「それでそれで」といった、会話に不可欠な“合いの手”</b>さえ挟む余地がないのだ。</p>
<p>それだけじゃない。彼の話し方には、いわゆる<b>「間」</b>がなかった。句読点のない文章を想像してほしい。読むのに難渋するだろう。それを喋りでやられたら、聞くほうはたまらない。</p>
<p>また<b>口をほとんど開けない発声</b>は、<b>日本語の</b><b>50</b><b>音</b>をこのうえなく歪めていた。いくら<b>日本語が口を大きく開けずとも発音に支障のない言語</b>だからといって、自ずと限度がある。</p>
<p><b>母音</b>、とくに<b>連母音</b>（例：あおいいえ）は口腔内に引きこもったまま外に出ることはなく、<b>子音</b>にいたっては、壊れたロボットさながらの耳ざわりで不気味な音を発していた。つまり、<b>「母音・子音ともにきわめて重篤な症状」</b>といって差支えない。</p>
<p>その症状はもはや<b>「滑舌が悪い」</b>というレベルを超えて、喩えは悪いが<b>「母子ともに瀕死の状態」</b>といってよかった。</p>
<p>原因は、おそらくロボット話法にある。テレビなんかに出てくる「しゃべるロボット」を思い出してほしい。口をあまり開けないで口腔奥でしゃべると、あの声になる。ロボット発声の出来上がりだ。Ｍさんはきっと、その発声法が癖になっているのだろう。</p>
<p>だから、言っていることの半分も理解できないというのは、決して誇張ではないのだ。</p>
<p>「ちょ、ちょっと待って。いつもそんな話し方をしているの？」<br />
堪らなくなって、彼の<b>どこまでも一方通行トーク</b>を遮った。<br />
これはもう、<strong>声以前の問題</strong>だった。</p>
<p>「ロボットみたいですよね。小さいころ<strong>ロボットの<b>声真似をして</b></strong>遊んでいました。『勇者ライディーン』とか好きで、あれはいまのロボットアニメの先駆けとなるような作品で、いわゆるアニメーションという呼称がまだ生まれるまえの時代、ロボット漫画のテレビ版といった位置付けになろうかと思われますが、それは後の『ガンダム』なんかに発展していくわけでありまして、特筆すべきは…」</p>
<p>「ちょっと、待ったー！」<br />
僕は思わず、いや、意識的に大声を出した。普段は封印しているが、こんなときの僕のひと声は迫力がある。周りの人ばかりか、100メートル先の通行人まで振り返った。（ああ、やってしまった…）</p>
<p>彼がいちばん驚いただろう。表情の乏しかった切れ長の目は大きく見開かれ、長身の猫背がピンと伸びた。ほらね、表情筋も背筋も、ちゃんと動くじゃないか。</p>
<p>「<b>会話はキャッチボール</b>でしょ」<br />
声をもとに戻し、照れ隠しも手伝って僕はニッコリ笑って言った。</p>
<p>「すみません…私はひとりっ子でして」<br />
彼の言葉に、そうだろうね、と僕が相槌を打とうとした瞬間だった。</p>
<p>「ひとりっ子というのは、ご承知のようにこの核家族の時代においてきわめて難しい問題を孕んでおりまして、私の考えではそのティピカルな問題点は３つあると…」</p>
<p>またしても問わず語りが始まった彼の肩に腕を巻き、耳元で僕は優しく囁いた。「もう、大きな声を出させないで」</p>
<p>僕のこの突然のリアクションに彼はハッとしたようで、その顔は激しく赤面していた。こんなこと、されたことがなかったのだろう。免疫のない純情なMさん。いや待てよ。まさか、Ｍさん…</p>
<p>そのとき僕は、僕たちふたりに注がれている通行人の好奇な視線に気づいたのだった。（ああ、やってしまった…）</p>
<p>いや、みなさん、これはそういうことじゃなくて、この青年をリラックスさせようと思ってですね（怪しいぞ）、いや違う、つまりレッスンの一環としてですね（よけい怪しいぞ）、これも違う、とにかくみなさんが想像しているようなですね…だから、少なくともオレはゲイじゃないって！</p>
<p>世間の心の声に内心でそう叫びながら、そしてＭさんがゲイかどうかの判断に苦しみながら、僕は、表面上は威厳と冷静さを崩さぬよう落ち着いた調子で言った。</p>
<p>「Ｍさん、ひとりっ子が陥りやすい罠の話は、またにしましょう」<br />
「いえ、私が申し上げたのは、核家族におけるひとりっ子の…」<br />
「どっちでもいい！」僕は少しだけ声を荒らげた。</p>
<p>「<strong>問題はコミュニケーション</strong>でしょ。<b>言葉と気遣いのキャッチボール</b>です。たとえばＭさんが、私はひとりっ子ですというボールを相手に投げる。投げるんですよ、相手をよく見て。相手のグラブにしっかりと」</p>
<p>なんて陳腐な喩えを使っているのだろう。われながらうんざりしたが、これで最後までいくしかなかった。僕は半ばやけくその気分でつづけた。</p>
<p>「だけどＭさん、あなたはキャッチャーがグラブを構える前にボールを投げている。それもコントロールの定まらないヘナヘナ球をね。それでも相手は全力でそのボールを捕ろうとする。だってそうでしょ？　それが気遣いというものですよ。 なんとか捕ったと思ったら、返しを待たず、あなたは立てつづけに次のボールを投げる。それも、だれもいないところに」</p>
<p>「だれもいないところに」と言うとき、僕は肩をすくめ両手を広げる例のポーズをしてみせた。「That&#8217;s all」というように。「欧米か！」と自分ツッコミを入れながら。</p>
<p>受け手のいないボールがコロコロと転がって、草薮の中に入って見えなくなる、そんな状況をＭさんが想像していることがはっきりと感じられた。じゅうぶんな間をとってから、僕は言った。</p>
<p><b>「そんな人と、だれがキャッチボールをしたいと思いますか」</b></p>
<p>ああ、今度は僕がとまらなくなった。<br />
「いいですかＭさん、私はひとりっ子です、に対する相手の返球は何だと思いますか。それは相槌だけかもしれないし、私もひとりっ子ですという同意かもしれない。では、もしも相手の返しがなければどうします？」</p>
<p>あまり質問攻めのようになってはいけない。だからここは、相手が考えるための間を置く必要はない。すかさず言った。</p>
<p>「あなたのご兄弟は？　と、もう一球投げるんでしょ。わかりますよね」<br />
「はい、わかります」どうやら、イメージできたようだ。</p>
<p>「そうしたボールをときに優しく、ときに鋭く、またときに本気で、ときに遊び心をもって投げ合うんです。Ｍさん、キャッチボールをしたことはありますか」</p>
<p>「ご推察どおりです。キャッチボールの経験はないに等しいと言ってよいでしょう。そもそも私は運動に関しては、まあ幼少の頃より身体が弱かったせいもあるわけですが、次の３つの理由から馴染めなかったのです。 ひとつは…」</p>
<p>「３つの理由についてはまた後日伺うとして」咳払いをして僕はつづけた。「来週はキャッチボールをやりましょう。グラブとボールは私が用意します」</p>
<p>「えっ、キャッチボールは喩えではないのですか？」<br />
Ｍさんは驚いたようだったが、言った僕自身がもっと驚いていた。</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li>会話は<span style="color: #ff6600;"><strong>言葉と気遣いのキャッチボール</strong></span>だ。</li>
<li>会話は<span style="color: #ff6600;"><strong>相手6、自分4</strong></span>が好ましい。</li>
<li>人間関係で必要なもの。<span style="color: #ff6600;"><strong>寛容、本気、ユーモア、優しさ</strong></span>。</li>
<li>同性同士の街中でのスキンシップはNG。</li>
</ol>
</div>
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