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	<title>声で人生が変わる！「愛と再生」のボイス・ストーリー　ユアボイス・マイボイス &#187; 第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン</title>
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	<description>あなたは自分の「声」が好きですか？ あなたは「声」で損をしていませんか？</description>
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		<title>第1話4章　愛のレッスン</title>
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		<pubDate>Thu, 22 May 2014 10:20:49 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン]]></category>
		<category><![CDATA[あうんの呼吸]]></category>
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		<description><![CDATA[結論を言ってしまえば、最後のレッスンで録音した彼の声は、最初のものとは別人といってよかった。 （３章「シャル・ウイ・キャッチボール？」のつづき） 次のレッスン日を決めるメールのやり取りで、彼はいつも、僕が与えた課題（およ [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>結論を言ってしまえば、最後のレッスンで録音した彼の声は、最初のものとは別人といってよかった。<span id="more-19"></span></p>
<p>（３章<a title="第1話3章　キャッチボールをしませんか" href="http://kataribito.net/01/03/">「シャル・ウイ・キャッチボール？」</a>のつづき）</p>
<p>次のレッスン日を決めるメールのやり取りで、彼はいつも、僕が与えた<b>課題</b>（および<b>ルーティーンのトレーニングメニュー</b>）をきちんとこなしていること、そして顕著に現れ始めた<b>「成果」</b>を報告してきた。</p>
<p>とくに忘れられないのが４回目、最後のレッスン日のスケジュールを決めるメールでの報告だった。Ｍさんの言葉はいつも以上に弾んでいた。</p>
<p>「ここ最近の私の<b>変貌ぶりに驚嘆</b>する職場の同僚からは、恋人でもできたのだろうと揶揄され、インストラクターの担当コーチからは、そこまでいけば11月のインストラクター認定試験は問題ないだろうと、太鼓判を押されました。（中略）私は、本当に、<b>生まれ変わった</b>みたいです！」</p>
<p>そして彼は、最後のレッスン場所に、再びあの場所を指定した。<br />
<b>新宿中央公園</b>だ。えっ、なぜ新宿中央公園かって？<br />
これについては、また別のエピソードでお話する機会があるだろう。</p>
<p>ともかく、あることがきっかけで、僕は新宿中央公園をしばしばレッスン場にしていたのだが、Ｍさんとの２回目のレッスンもここだった。</p>
<p>メールでＭさんは「もう一度だけ、<b>キャッチボールがしたい</b>」と申し出た。<br />
用具は自分で持参しますと、書き添えられていた。</p>
<p>そう、キャッチボール。彼としたキャッチボールについて、少し記しておこう。</p>
<p>２回目のレッスン。<b>はじめてのキャッチボール</b>。</p>
<p>僕たちは大きな声を掛け合いながら、もう汗まみれになってボールを投げ合った。僕は、彼が投げるノーコンの球を全力でキャッチしようと前後左右に走り、 彼は、僕の投げる球を取り損ねてばかりで、そこら中を右往左往した。</p>
<p>その姿はあまりにも無様で、道行く人々の失笑を買ったが、彼は真剣だった。大真面目だった。そして真剣で大真面目だからこそ、そこには祈りがあった。</p>
<p>だから僕たちは、キャッチボールを楽しんでいる人にはとても見えなかったに違いない。まるで何かの<b>苦行、</b>もしくは<b>儀式</b><i>のように見えた、</i>という人がいたら、それが正しい見方だと思う。</p>
<p>Ｍさんにとってキャッチボールは、<b>新しい自分を獲得するための通過儀礼</b>だったのかもしれない。</p>
<p>レッスン最終日、これまでの<b>レッスンの総まとめ</b>。</p>
<p>ひとつひとつの項目を丁寧にチェックしていき、今後も続けていく彼の<b>セルフトレーニング</b>に指針を与えた。</p>
<p>そして前回おこなった、彼のインストラクター用の講義台本を、<b>読み口調から語り口調へとスイッチさせる</b>ポイントの復習をした。</p>
<p><b>間の取り方や発声の強弱のつけ方</b>に、もちろん当意即妙とはいかないまでも、<b>安定したリズムと息遣い</b>が感じられた。長足の進歩といっていい。</p>
<p>二度目の、そして<b>最後のキャッチボール</b>。</p>
<p>道具を自分で用意すると聞いたときからある程度の予想はしていたが、彼は僕が投げたボールを、優しい球ならほぼ確実に受け取れるようになっていた。投げるほうも、僕の可動範囲をそれほど大きく外れることはなくなっていた。</p>
<p>何より投球フォームとグラブさばきに、基本動作をいやというほど繰り返した人の「洗練さ」がうかがえた。たったの２週間で、彼はいったいどれだけの練習をしたのだろう。</p>
<p>「キャッチボールは自宅レッスンのメニューに入ってなかったはずだけど。いつ、どこで、誰とキャッチボールを？」</p>
<p>驚く僕に、よくぞ聞いてくれましたとばかりに、Ｍさんはうれしそうに応じた。</p>
<p>「毎日、会社のお昼休みと終業後にやっているんです」<br />
「すばらしい！　でも、よく付き合ってくれる人がいましたね」<br />
言ってから「しまった。これは失言だ！」と思ったが、Ｍさんは気にすることなく、さらにうれしそうにつづけた。</p>
<p>「語り人さんがおっしゃいました。<b>真っ直ぐ投げれば真っ直ぐ返ってくる</b>って。キャッチボール、いま会社で流行っているんです」</p>
<p>「へえー、すごいな！　Ｍさんが仕掛け人になったんですね」<br />
「仕掛け人は語り人さんです」彼は首を振った。</p>
<p>「いや、私はトレーナーの立場を利用してＭさんをそそのかしただけですよ。でもＭさんは入社２年目にして、会社でキャッチボールを広めた。立派な先駆者です」</p>
<p>「１ヵ月前の私からは想像もできないです。会社が楽しくなりました」<br />
「キャッチボールのおかげで？」 僕はボールを返した。<br />
「いいえ、声のおかげです。キャッチボールはメタファに過ぎない、でしょ？」 Ｍさんは速球を投げ込んできた。</p>
<p>「とはいえ、すこぶる実用性に富んだメタファ」<br />
なんとかキャッチして僕は返球した。<br />
「もはやメタファを超えた、有用なコミュニケーションツール」<br />
おお、Ｍさん、いい球だ。</p>
<p>「その根拠は」と僕は言った。「第一に<b>相手の球を跳ね返すのではなく、いったん受け止めてから投げ返す懐の深さ</b>。第二に、<b>相手との立ち位置の間合いを適宜変更できる自在度の高さ</b>。第三は…」<br />
僕はボールを投げると、Ｍさんに先を促した。「第三は、Ｍさんどうぞ」</p>
<p>「私のお株を奪われてしまいました」Ｍさんは笑ってボールを投げた。<br />
「第三は、<b>会話も可能な適度な運動量と絶妙な距離感、そこに生まれるあうんの呼吸</b>」</p>
<p>Mさんの見事な返球に、僕は心の底から感動していた。<br />
思えば彼が、「どこまでもつづく一方通行トーク」で僕を怒らせたのは、つい１ヵ月前のことなのだ。</p>
<p>秋晴れの新宿中央公園。土曜日の昼下り。僕たちは声を上げて笑った。<br />
笑いながら、僕たちの「言葉とボールのキャッチボール」はつづいた。</p>
<p>どんな関係に見えるかは別にして、もうだれが見ても、単純にキャッチボールに興じる二人の男だった。もしも、仲睦まじいゲイのカップルに見えたとしたら、それは誤りである。断じて！</p>
<p>別れ際、Ｍさんは何度も何度も頭を下げて、感謝の言葉を繰り返した。<br />
「試験、もう大丈夫ですね。良いインストラクターになってください」</p>
<p>「ええ、まずは。でも、会社は三年勤めたら辞めようと思います」<br />
「それは、どうして？」<br />
「高校の先生になりたいんです。母校の」</p>
<p>僕は彼の顔をまじまじと見据えた。冗談を言っている目ではなかった。<br />
「へえー、教科は何ですか」<br />
「いま高校でもITに関する科目が増えています。私の母校はとくに力を入れています」</p>
<p>「そうですか、それはいい！」<br />
「私のような<b>ロボット人間</b>を増やさないためにも、そうしたいのです」<br />
このＭさんの言葉に、またしても僕は打たれた。</p>
<p>「社会経験も積んで、不得手なことも自分の力で克服したＭさんなら、かならず良い先生になれますよ」<br />
「それを教えてくださったのは、語り人さんです」</p>
<p>今にも泣き出してしまいそうな自分を抑えて、僕はわざとぶっきらぼうに言った。<br />
「Ｍさん、ロボット人間に必要なレッスンは？　３つ、言ってみなさい」</p>
<p>「<b>声とキャッチボール</b>と…」</p>
<p>Ｍさんは少し考えてから、僕の目をまっすぐ見て決然と言い放った。</p>
<p>「それと、<b>愛</b>です」</p>
<p>（おわり）</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li>日々の<span style="color: #ff6600;"><strong>ルーティンメニュー</strong></span>をしっかり、確実に、愚直にこなそう。</li>
<li>有効だと思えば、苦手なこと、自分らしくないことにも挑戦してみよう（Mさんがキャッチボールをルーティンワークに取り入れたように）。</li>
<li>実際キャッチボールは、ボイストレーニングにもってこいだ。<span style="color: #ff6600;"><b>声量のコントロール</b>、<b>声の収束性と方向性</b></span>を養うことができる。</li>
<li>多くの人が<span style="color: #ff6600;"><b>「自分を変えたい」</b></span>と願う。そして多くの人が<span style="color: #ff6600;"><b>「やっぱり変わらない」</b></span>と嘆く。最後までやりもしないで。では、最後までとはどこまでか。もちろん目的を達成するまでだが、まずは身近な人から<span style="color: #ff6600;"><b>「最近、変わったね。なんかあったの」</b></span>と言われるまで。そこが目安だ。</li>
<li>「今の仕事（職場）を辞めたい」と思うなら、ひとつでいい、そこで何かを成し遂げてからにしよう。<span style="color: #ff6600;"><b>成功体験が人を前進させる</b></span>のだ。</li>
<li>人間関係において<span style="color: #ff6600;"><b>「愛」</b></span>は、<span style="color: #ff6600;"><b>「ホスピタリティ（おもいやり・おもてなし）」</b></span>と同義である。</li>
</ol>
</div>
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		</item>
		<item>
		<title>第1話3章　シャル・ウイ・キャッチボール？</title>
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		<pubDate>Wed, 14 May 2014 14:24:01 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン]]></category>
		<category><![CDATA[ビフォー＆アフター]]></category>
		<category><![CDATA[リップノイズ]]></category>
		<category><![CDATA[吃音症]]></category>
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		<description><![CDATA[「来週はキャッチボールをやりましょう。グラブとボールは私が用意します」 「えっ、キャッチボールは喩えではないのですか？」 Ｍさんは驚いたようだったが、言った僕自身がもっと驚いていた。 （２章「問わず語りの彼」のつづき）  [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>「来週はキャッチボールをやりましょう。グラブとボールは私が用意します」<br />
「えっ、キャッチボールは喩えではないのですか？」<br />
Ｍさんは驚いたようだったが、言った僕自身がもっと驚いていた。<span id="more-17"></span><br />
（２章<a title="第1話2章　問わず語りの彼" href="http://kataribito.net/01/02/">「問わず語りの彼」</a>のつづき）</p>
<p>「もちろん、喩えですよ。でも、最初のメールでも言ったはずです。<b>精神論だけでは何も変わらない</b>と。覚えていますか？」</p>
<p>「はい、覚えています。ですから私は、語り人さんにボイスを習おうと決心したのです。そもそも語り人さんの評判を聞いたとき、私は３つの点で共感を覚えました」</p>
<p>僕がジロリと睨むとＭさんは首をすくめた。そうだＭさん、その反応だ。それがコミュニケーションだよ。なかなか良い兆候だと僕は思った。</p>
<p>「砂糖の甘さを今さら説明する必要がないのは」と僕は言った。<br />
「だれでも一度は砂糖を舐めたことがあるからです。どうですか？｣<br />
「はい、砂糖を舐めた経験ならあります。幼稚園のときでした」</p>
<p>Ｍさんは遠い目をしてつづけた。<br />
「母の目を盗んで砂糖入れに指を入れてこっそり舐めたのでした。甘美な経験でした。それが病みつきになった私は、３日で砂糖入れを空っぽにしてしまったのです。もちろん母にはずいぶんと叱られました」</p>
<p>３つの理由から彼はお母さんに叱られたはずだ。虫歯に肥満、もうひとつは泥棒というキーワードを挙げればじゅうぶんだろう。</p>
<p>「ご名答です。さすがです！　このように、あらゆる事象には３つの…」<br />
「もう結構。そんなこと誰にだってわかります」僕は先をつづけた。</p>
<p>「Ｍさんは砂糖を舐めた経験はあってもキャッチボールの経験はない」<br />
「ですから、私はキャッチボールを経験する必要があるのですね。素晴らしい！」と言ってMさんは拍手をした。</p>
<p>「素晴らしいのはＭさんのほうですよ」僕は拍手のお返しをした。<br />
「その間合いに、その返しです。いまのはナイスプレイですよ」<br />
Ｍさんはうれしそうにはにかんだ。</p>
<p>「私は実体験のともなわない机上の空論は好まない。 キャッチボールの比喩を使った以上、身体で証明しましょう」</p>
<p>「あの、語り人さん、レッスンでいつもキャッチボールをしていらっしゃるのですか？」Ｍさんはもっともな質問をした。<br />
「まさか！」と僕は答えた。「するわけないでしょう」</p>
<p>では、これは自分専用のメニューなのか、と彼は心配そうな顔をした。<br />
「キャッチボールは時間に入れませんからご心配なく」と僕は言った。<br />
「私が好きでやることだから気にしないで。１ヶ月でその声をなんとかする、Ｍさんはそれだけに集中してください」</p>
<p>「おちぇしゅをうかけしまっしゅ」<br />
あえて文字にすると、こんな音が彼の口から洩れた。どうやら「お手数をおかけします」と言ったようだった。</p>
<p>こうして文章にするとよどみなく話していると思うかもしれない。でも彼の発音は、万事こんな調子だった。</p>
<p>さてここで、Ｍさんの<b>呼吸</b>や<b>発声</b>、<b>音読</b>などのレッスンを通して気づいた特筆すべき点について言及してみたいと思う。そしてこれをもって、いい加減そろそろ、Ｍさんとのレッスンブログのまとめへと突入したい。</p>
<p>まず彼は、驚くべき<b>心肺能力</b>の持ち主だった。<br />
心肺能力、つまり息が長いのだ。腹式による呼気を測定した結果、彼のワンブレスまでの息は50秒、最終的に１分をクリアした。</p>
<p>毎日トレーニングをしているプロの僕でさえ、1分の壁は厚い。オペラ歌手で80秒という怪物がいるそうだが、それはこのさい度外視しよう。普通はだいたい20秒前後。10秒に満たない人もいる。20秒程度で問題はないが、最低30秒はクリアしたい。40秒を超えれば、<b>声によるさまざまな表現</b>が可能になる。</p>
<p>もちろん呼気が長いのは有利には違いないが、問題はその使い方。<b>呼気に声が過不足なくのっかっていなくては意味がない</b>。というより有害でさえある。</p>
<p>実際Ｍさんの発声はあきらかに息漏れを起こしていて、声が出ない割に息だけは、まるで蝋燭の火を吹き消すような盛大な風を起こした。そのため彼と対面したとき、僕はしばしば顔をそむけなければならなかった。</p>
<p>必要なのは<b>呼気のコントロール</b>。これは３回目のレッスンで改善された。</p>
<p>また喋るとき、彼の唇はネチャネチャ、ピチャピチャと、実に耳ざわりで不快な音を立てた。<b>リップノイズ</b>だ。これはその後、<b>正しい</b><b>50</b><b>音の発声</b>と、<b>口周りを中心にした表情筋のトレーニング</b>で克服した。</p>
<p>また<b>音読レッスン</b>に、僕は<b>新聞のコラム</b>を使用しているのだが、Ｍさんは初見でスラスラ読めた。ほとんどつっかえる場面がないのだ（スラスラといってもあの発声、あの発音だが）。訊いてみると、彼は<b>活字の音読</b>に関しては習熟しているのだという。</p>
<p>「小さい頃、吃音（どもり）がひどかったのです」<br />
「その治療に<b>音読療法</b>を？」僕は重ねて尋ねた。<br />
「それはご両親とか学校の先生のススメで始めたのですか？」<br />
Ｍさんは首を横に振った。<br />
「では、自分から？」</p>
<p>驚いた。実は僕も幼少の頃、軽度の<b>吃音症</b>を抱えていたのだが、それを治したくて、自ら進んで音読を始めた経緯があった。Ｍさんとの思わぬ符号を見つけた僕は、もう何がなんでも彼の<b>声と話し方を改善</b>させてやろうと、あらたな闘志を燃やしたのだった。</p>
<p>とはいえＭさんの音読は前述したとおり、句読点をまったく無視した、ただ先へ先へと機械的に流していく<b>棒読み</b>で、加えて例の発声・発音である。</p>
<p><b>本の音読</b>において、僕の場合は幼い頃より、ドラマティックに読み上げたり、声を演じ分けるという遊びに無上の楽しみを見出していたが、Ｍさんの場合はロボットの声真似に終始した。その違いが今、教える側と教わる側に分岐したのかと思うと、感慨深いものを覚えずにはいられなかった。</p>
<p>そこで僕は、Ｍさんの音読をこっそり録音した。意識せずに読んでほしかったからだが、それをあとで聞かされたＭさんの反応は、想像以上だった。彼はがっくりと肩を落とし、「ひどい…」と、ひと言つぶやいた。</p>
<p>余談だが、<b>ほとんどの人が自分の声や話し方を２割り増しプラスに捉えている</b>。でも録音した自分の声を聞いてみると、はっきりわかる。<b>発音や話し方のイヤな癖が耳につく。声も、なんか変。</b>「えー、これが私の声？ 」そう、それがふだん他人が聞いている、あなたの本当の声なのだ。</p>
<p>「<b>ビフォー＆アフター</b>のビフォーです。アフターが楽しみでしょ！」<br />
そう言って、僕はＭさんを激励した。でも正直、どの程度改善されるのか見当もつかなかった。</p>
<p>いや、もっと正直に言おう。Ｍさんの<b>声と話し方を劇的に変える</b>なんて、どだい無理な相談だ。しかも１か月という短期間で…。そう思わなかったといえば、嘘になる。</p>
<p>僕は覚悟した。「ボイス講師の看板をおろすことになるかもしれない」と。<br />
でも、Ｍさんは頑張った。半端なく頑張った。</p>
<p>結論を言ってしまえば、最後のレッスンで録音した彼の声は、最初のものとは別人といってよかった。</p>
<p>&nbsp;</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li><strong><span style="color: #ff6600;">精神論では何も変わらない</span></strong>。自ら体験し学習しよう。</li>
<li>呼気は長いほうが有利だが、問題は<strong><span style="color: #ff6600;">呼気のコントロールと声の乗せ方</span></strong>。</li>
<li><strong><span style="color: #ff6600;">新聞のコラムを音読する</span></strong>（例／読売「編集手帳」、朝日「天声人語」、日経「春秋」）</li>
<li><strong><span style="color: #ff6600;">自分の声を録音して聴いてみる</span></strong>（90％の人がガッカリするそうだ。10％の人は、すぐにこのブログを閉じてかまわない）。</li>
</ol>
</div>
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		</item>
		<item>
		<title>第1話2章　問わず語りの彼</title>
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		<pubDate>Thu, 08 May 2014 02:50:01 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン]]></category>
		<category><![CDATA[キャッチボール]]></category>
		<category><![CDATA[一方通行トーク]]></category>
		<category><![CDATA[合いの手]]></category>
		<category><![CDATA[子音]]></category>
		<category><![CDATA[日本語の50音]]></category>
		<category><![CDATA[母音]]></category>
		<category><![CDATA[滑舌が悪い]]></category>
		<category><![CDATA[自己完結した喋り]]></category>
		<category><![CDATA[連母音]]></category>
		<category><![CDATA[間]]></category>

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		<description><![CDATA[彼が何を言っているのか、僕には半分も理解できなかった。 使用言語はたしかに日本語なのに…。 原因はすぐにわかった。それは… （１章「君の声が届かない」のつづき） 彼の話し方はまるで独り言のようだった。相手に伝えよう、届け [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>彼が何を言っているのか、僕には半分も理解できなかった。<br />
使用言語はたしかに日本語なのに…。</p>
<p>原因はすぐにわかった。それは…<span id="more-15"></span><br />
（１章<a title="第1話1章　きみの声が届かない" href="http://kataribito.net/01/01/">「君の声が届かない」</a>のつづき）</p>
<p>彼の話し方はまるで独り言のようだった。<b>相手に伝えよう、届けようという意思</b>が感じられない。<b>自己完結した喋り</b>といえば、おわかりいただけるだろうか。</p>
<p>あらゆる言葉が、彼の口から出た途端に本来の目的を失い、あるいは虚空に拡散し、あるいは地面に落下した。それは、作り方を間違えた凧を、僕に連想させた。</p>
<p>にもかかわらず、彼はよく喋る。そのくせ、並んで歩いている僕のほうを見るでもなく、その目線はつねに前方のビルの看板か、さもなければ自分の足元に限られていた。</p>
<p>彼の<strong>独り語り</strong>はとどまることを知らず、ひとつ質問をするたびにこちらが制するまで延々とつづくかに思われた。<b>「へえー」「なるほど」「それでそれで」といった、会話に不可欠な“合いの手”</b>さえ挟む余地がないのだ。</p>
<p>それだけじゃない。彼の話し方には、いわゆる<b>「間」</b>がなかった。句読点のない文章を想像してほしい。読むのに難渋するだろう。それを喋りでやられたら、聞くほうはたまらない。</p>
<p>また<b>口をほとんど開けない発声</b>は、<b>日本語の</b><b>50</b><b>音</b>をこのうえなく歪めていた。いくら<b>日本語が口を大きく開けずとも発音に支障のない言語</b>だからといって、自ずと限度がある。</p>
<p><b>母音</b>、とくに<b>連母音</b>（例：あおいいえ）は口腔内に引きこもったまま外に出ることはなく、<b>子音</b>にいたっては、壊れたロボットさながらの耳ざわりで不気味な音を発していた。つまり、<b>「母音・子音ともにきわめて重篤な症状」</b>といって差支えない。</p>
<p>その症状はもはや<b>「滑舌が悪い」</b>というレベルを超えて、喩えは悪いが<b>「母子ともに瀕死の状態」</b>といってよかった。</p>
<p>原因は、おそらくロボット話法にある。テレビなんかに出てくる「しゃべるロボット」を思い出してほしい。口をあまり開けないで口腔奥でしゃべると、あの声になる。ロボット発声の出来上がりだ。Ｍさんはきっと、その発声法が癖になっているのだろう。</p>
<p>だから、言っていることの半分も理解できないというのは、決して誇張ではないのだ。</p>
<p>「ちょ、ちょっと待って。いつもそんな話し方をしているの？」<br />
堪らなくなって、彼の<b>どこまでも一方通行トーク</b>を遮った。<br />
これはもう、<strong>声以前の問題</strong>だった。</p>
<p>「ロボットみたいですよね。小さいころ<strong>ロボットの<b>声真似をして</b></strong>遊んでいました。『勇者ライディーン』とか好きで、あれはいまのロボットアニメの先駆けとなるような作品で、いわゆるアニメーションという呼称がまだ生まれるまえの時代、ロボット漫画のテレビ版といった位置付けになろうかと思われますが、それは後の『ガンダム』なんかに発展していくわけでありまして、特筆すべきは…」</p>
<p>「ちょっと、待ったー！」<br />
僕は思わず、いや、意識的に大声を出した。普段は封印しているが、こんなときの僕のひと声は迫力がある。周りの人ばかりか、100メートル先の通行人まで振り返った。（ああ、やってしまった…）</p>
<p>彼がいちばん驚いただろう。表情の乏しかった切れ長の目は大きく見開かれ、長身の猫背がピンと伸びた。ほらね、表情筋も背筋も、ちゃんと動くじゃないか。</p>
<p>「<b>会話はキャッチボール</b>でしょ」<br />
声をもとに戻し、照れ隠しも手伝って僕はニッコリ笑って言った。</p>
<p>「すみません…私はひとりっ子でして」<br />
彼の言葉に、そうだろうね、と僕が相槌を打とうとした瞬間だった。</p>
<p>「ひとりっ子というのは、ご承知のようにこの核家族の時代においてきわめて難しい問題を孕んでおりまして、私の考えではそのティピカルな問題点は３つあると…」</p>
<p>またしても問わず語りが始まった彼の肩に腕を巻き、耳元で僕は優しく囁いた。「もう、大きな声を出させないで」</p>
<p>僕のこの突然のリアクションに彼はハッとしたようで、その顔は激しく赤面していた。こんなこと、されたことがなかったのだろう。免疫のない純情なMさん。いや待てよ。まさか、Ｍさん…</p>
<p>そのとき僕は、僕たちふたりに注がれている通行人の好奇な視線に気づいたのだった。（ああ、やってしまった…）</p>
<p>いや、みなさん、これはそういうことじゃなくて、この青年をリラックスさせようと思ってですね（怪しいぞ）、いや違う、つまりレッスンの一環としてですね（よけい怪しいぞ）、これも違う、とにかくみなさんが想像しているようなですね…だから、少なくともオレはゲイじゃないって！</p>
<p>世間の心の声に内心でそう叫びながら、そしてＭさんがゲイかどうかの判断に苦しみながら、僕は、表面上は威厳と冷静さを崩さぬよう落ち着いた調子で言った。</p>
<p>「Ｍさん、ひとりっ子が陥りやすい罠の話は、またにしましょう」<br />
「いえ、私が申し上げたのは、核家族におけるひとりっ子の…」<br />
「どっちでもいい！」僕は少しだけ声を荒らげた。</p>
<p>「<strong>問題はコミュニケーション</strong>でしょ。<b>言葉と気遣いのキャッチボール</b>です。たとえばＭさんが、私はひとりっ子ですというボールを相手に投げる。投げるんですよ、相手をよく見て。相手のグラブにしっかりと」</p>
<p>なんて陳腐な喩えを使っているのだろう。われながらうんざりしたが、これで最後までいくしかなかった。僕は半ばやけくその気分でつづけた。</p>
<p>「だけどＭさん、あなたはキャッチャーがグラブを構える前にボールを投げている。それもコントロールの定まらないヘナヘナ球をね。それでも相手は全力でそのボールを捕ろうとする。だってそうでしょ？　それが気遣いというものですよ。 なんとか捕ったと思ったら、返しを待たず、あなたは立てつづけに次のボールを投げる。それも、だれもいないところに」</p>
<p>「だれもいないところに」と言うとき、僕は肩をすくめ両手を広げる例のポーズをしてみせた。「That&#8217;s all」というように。「欧米か！」と自分ツッコミを入れながら。</p>
<p>受け手のいないボールがコロコロと転がって、草薮の中に入って見えなくなる、そんな状況をＭさんが想像していることがはっきりと感じられた。じゅうぶんな間をとってから、僕は言った。</p>
<p><b>「そんな人と、だれがキャッチボールをしたいと思いますか」</b></p>
<p>ああ、今度は僕がとまらなくなった。<br />
「いいですかＭさん、私はひとりっ子です、に対する相手の返球は何だと思いますか。それは相槌だけかもしれないし、私もひとりっ子ですという同意かもしれない。では、もしも相手の返しがなければどうします？」</p>
<p>あまり質問攻めのようになってはいけない。だからここは、相手が考えるための間を置く必要はない。すかさず言った。</p>
<p>「あなたのご兄弟は？　と、もう一球投げるんでしょ。わかりますよね」<br />
「はい、わかります」どうやら、イメージできたようだ。</p>
<p>「そうしたボールをときに優しく、ときに鋭く、またときに本気で、ときに遊び心をもって投げ合うんです。Ｍさん、キャッチボールをしたことはありますか」</p>
<p>「ご推察どおりです。キャッチボールの経験はないに等しいと言ってよいでしょう。そもそも私は運動に関しては、まあ幼少の頃より身体が弱かったせいもあるわけですが、次の３つの理由から馴染めなかったのです。 ひとつは…」</p>
<p>「３つの理由についてはまた後日伺うとして」咳払いをして僕はつづけた。「来週はキャッチボールをやりましょう。グラブとボールは私が用意します」</p>
<p>「えっ、キャッチボールは喩えではないのですか？」<br />
Ｍさんは驚いたようだったが、言った僕自身がもっと驚いていた。</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li>会話は<span style="color: #ff6600;"><strong>言葉と気遣いのキャッチボール</strong></span>だ。</li>
<li>会話は<span style="color: #ff6600;"><strong>相手6、自分4</strong></span>が好ましい。</li>
<li>人間関係で必要なもの。<span style="color: #ff6600;"><strong>寛容、本気、ユーモア、優しさ</strong></span>。</li>
<li>同性同士の街中でのスキンシップはNG。</li>
</ol>
</div>
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		</item>
		<item>
		<title>第1話1章　君の声が届かない</title>
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		<pubDate>Thu, 01 May 2014 05:00:09 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン]]></category>
		<category><![CDATA[「声」の重要性]]></category>
		<category><![CDATA[レッスンカリキュラム]]></category>
		<category><![CDATA[伝わる声]]></category>
		<category><![CDATA[声の収束性と方向性]]></category>
		<category><![CDATA[声分析]]></category>
		<category><![CDATA[声診断]]></category>
		<category><![CDATA[届く声]]></category>
		<category><![CDATA[表情筋]]></category>
		<category><![CDATA[読唇術]]></category>

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		<description><![CDATA[「声に抑揚が無い、一本調子、ロボットのような口調、 聴いていて疲れる、等々指摘されております。よく通る声、人に不快感を与えない声になりたい。インストラクター認定試験に合格し、1人前になることが当面の目標です」 （序章「ボ [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>「声に抑揚が無い、一本調子、ロボットのような口調、 聴いていて疲れる、等々指摘されております。よく通る声、人に不快感を与えない声になりたい。インストラクター認定試験に合格し、1人前になることが当面の目標です」<span id="more-13"></span></p>
<p>（序章<a title="僕がボイス講師になった理由" href="http://kataribito.net/intro/prologue/">「ボイス講師誕生」</a>のつづき）</p>
<p>大手企業に勤務する、社会人２年生のＭさん。<strong>自分の</strong><b>声分析</b>もできているし、なにより<strong>目標がしっかりと定まっている</strong>ところに好感を持った。</p>
<p><strong>声優系のワークショップ</strong>などの<strong>グループレッスン</strong>は別にして、僕が<strong>個人レッスン</strong>を行なう対象は、まず<strong>会社経営者</strong>が筆頭にあげられる。ほかにも名の知られた<strong>文化人</strong>や少しは顔の知られた<strong>芸能人</strong>もいる。つまり、酸いも甘いも噛み分けた、ある程度功なり名を遂げた人たちだ。</p>
<p>でもＭさんは違う。社会経験が浅いにもかかわらず、早くに<b>「声」の重要性</b>に目覚めている。 なかなか見所のある若者だ。そう思い、オファーを受けることにした。</p>
<p>すぐにもレッスンを始めたいという本人の意向で、早速会うことに。<br />
西新宿のスターバックスで待ち合わせ。90％ほどの混み具合。騒音率は70％。つまり適度に騒がしいということ。ここを選んだのには訳がある。</p>
<p>ここで45分間、<b>声診断</b><strong>を兼ねたヒアリング</strong>、そして、これからの１ヶ月間、全４回（週１回）の<b>レッスンカリキュラム</b>、ならびに注意事項の説明をおこなう。しゃべり比率は僕が80％で、彼が20％というところ。</p>
<p>しかし彼の言葉の80％は聞き取れず、はじめは聞き返していたのだけど、あまり頻繁だと会話にならない。途中から<b>読唇術</b>に切り替えた。</p>
<p>とはいえ、これも難儀な方法だった。彼はしゃべるとき、ほとんど口を開かなかった。<b>表情筋</b>は固くこわばったまま頭蓋骨に張り付いている。顔の造作自体は端正といっていいのだが、その顏は画用紙にクレヨンで描かれた陰影のない人物画を僕に想起させた。</p>
<p>声も同様に固く平板で、奥行きのない無機質な電子音みたいだ。声量自体は必要な大きさは出ているのだけど、あきらかに的を射ていない。拡散して周りの音に吸収されている。だから僕の耳まで届かない。</p>
<p>ほかでもない、以上のことを確認するため、僕はこの場所を選んだのだ。<br />
あまりうるさい場所だと話にならないが、静かすぎても声診断の目的は十全に果たせない。</p>
<p>そんなわけで、彼が僕に何を語ったのか、結局わからなかったのだけど、そんなことはもはや問題じゃない。もう、じゅうぶんわかった。診断は完了だ。</p>
<p>一方、僕の言葉が彼に100％伝わったことは、彼の表情から見て取れた。<br />
だって、<b>この場に応じた声の出し方</b>、つまり<b>相手にだけはっきり聞こえて、</b><b> </b><b>周りにはうるさく響かない発声</b>でしゃべったから。</p>
<p>要するにこれは、<b>声の収束性と方向性の問題</b>。大きさの問題ではないのだ。</p>
<p>僕たちはスタバを出て、近くのレッスン場所へと向かった。その間、彼はひっきりなしにしゃべった。（わおー、おしゃべりなんだ！）</p>
<p>それで今度は、声そのものは聞こえたのだけど、次の問題が発覚。彼が何を言っているのか、僕には半分も理解できなかった。使用言語はたしかに日本語なのに…。</p>
<p>原因はすぐにわかった。それは…<br />
それはまた、次回にまわすことにします。（小出しにしてごめんね！）</p>
<p>とにかく僕たちは、<strong>レッスン場所</strong>へとたどり着いた。<br />
レッスン場所は何処かって？　それはまた別のお話。</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li><strong><span style="color: #ff6600;">自分の</span></strong><span style="color: #ff6600;"><strong>声分析</strong></span>ができているか。<span style="color: #ff6600;"><strong>声の重要性</strong></span>に目覚めているか。</li>
<li><span style="color: #ff6600;"><strong>声はTPO</strong></span>（時と場所と相手）を選んで使い分けるべし。</li>
<li>筋肉はからだはもちろん、<strong><span style="color: #ff6600;">顔の表情筋（声帯も筋肉</span><span style="color: #ff6600;">だ）</span></strong>も柔軟にしておこう。</li>
<li><span style="color: #ff6600;"><strong>届く声、伝わる声</strong></span>は大きさではない。<span style="color: #ff6600;"><strong>収束性と方向性</strong></span>が決め手になる。</li>
</ol>
</div>
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		</item>
		<item>
		<title>第1話序章　ボイス講師誕生</title>
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		<pubDate>Thu, 01 May 2014 03:00:43 +0000</pubDate>
		<dc:creator><![CDATA[kataribito]]></dc:creator>
				<category><![CDATA[第1話　ボイス講師編①　愛のレッスン]]></category>
		<category><![CDATA[ナレーション]]></category>
		<category><![CDATA[ボイストレーナー]]></category>
		<category><![CDATA[付属養成所]]></category>
		<category><![CDATA[声のプレイヤー]]></category>
		<category><![CDATA[声優プロダクション]]></category>
		<category><![CDATA[声優界]]></category>
		<category><![CDATA[所属声優]]></category>
		<category><![CDATA[朗読]]></category>
		<category><![CDATA[発声]]></category>
		<category><![CDATA[養成所の講師]]></category>
		<category><![CDATA[１ヵ月で声が良くなる]]></category>
		<category><![CDATA[ＣＭナレーション]]></category>

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		<description><![CDATA[「１ヵ月で声が良くなると言うのは本当でしょうか。 具体的にどの程度改善するのか教えてください。 急いでいます。10月中に声に自信が持てる自分になっていますか？」 こんなメールが届いたのは、ときおり夏が未練がましく顏を出す [&#8230;]]]></description>
				<content:encoded><![CDATA[<p>「<b>１ヵ月で声が良くなる</b>と言うのは本当でしょうか。 <b>具体的にどの程度改善するのか</b>教えてください。 急いでいます。10月中に<strong>声に自信が持てる自分</strong>になっていますか？」</p>
<p>こんなメールが届いたのは、ときおり夏が未練がましく顏を出す9月の中旬だった。差出人は、某大手企業に勤めるＭさん。社会人二年生。 IT系のインストラクターをしているという青年だ。</p>
<p>取り急ぎ、<strong>現在どのような声で、１ヵ月後にどのような声になり、何を達成したいのか</strong>聞いてみた。すぐに返信が届いた。</p>
<p>「<b>声に抑揚が無い、一本調子、ロボットのような口調、</b><b> </b><b>聴いていて疲れる</b>、等々指摘されております。 <b>よく通る声、人に不快感を与えない声になりたい</b>。インストラクター認定試験に合格し、1人前になることが当面の目標です」</p>
<p>なるほど、実に見上げた心がけだ。論旨も理路整然としている。それにしても、<strong>ロボットのような口調</strong>というのが気になった。</p>
<p>数年前から、ある人のすすめがあって、<b>ボイストレーナー</b>として活動している。しかし、僕はあくまでも<b>声のプレイヤー</b>を自任している。だから<strong>トレーナー教育</strong>も受けていない（そんなものがあるのかどうか知らないけど）。</p>
<p>そもそも、もう10年くらい前になるだろうか、 そのとき所属していた<b>声優プロダクション</b>、 そこの<b>付属養成所</b>で<b>声優の卵たち</b>を指導したのがきっかけだった。</p>
<p>あるとき代表に呼ばれた。これは何か、僕の命運を左右するような、ぶっちゃけ代表作となるような大きな仕事が入ったに違いない。喜び勇んで、僕は事務所に代表を訪ねた。</p>
<p>「ありがとうございます。とうとう僕に、ブラピの役が回ってきましたか！」<br />
駆けつけ一番、大口をたたく僕をチラ見した代表は、チッチッチッと舌を鳴らしながら、 左手の人差し指を左右に振った。</p>
<p>「なるほど、レオナルドのほうですね」 僕は<b>滑舌の良さ</b>を誇示して言った。<br />
「語り人くん、きみ、相変わらすデカプリオなことを言うね」<br />
「……」 笑えなかった。</p>
<p>なぜって、実はこの少し前、代表と僕は<strong>NHK-BSのドキュメンタリー番組</strong>に連れ立って声の出演をしたのだけど、そのときの一件を思い出したからだ。それは<strong>ジェームズ・ディーン</strong>の特番だった。</p>
<p>他の多くの声優が、この稀代の名優の名前を「ジェームス・ディーン」と発音していたことに、代表はひどく憤慨していた。「ジェームスじゃない、ジェームズだ。まったく、近ごろの声優はなってない！」と。</p>
<p>そんな彼が冗談でも、<strong>ディカプリオをデカプリオと発音すること</strong>に、僕は異議を唱えたかったわけだけど、まあ、そこはさわらぬ神にたたりなし。黙ってやり過ごすのが賢明だろう。</p>
<p>だって彼の世代の多くが、たとえば「ディー」と言えず「デー」と発音してしまうことを僕は知っていた。代表はまじめに「デカプリオ」と言ったのかもしれないじゃないか。</p>
<p>気を取り直して僕は、次のプレゼンに移った。<br />
「ありがとうございます。とうとうきましたか。<strong>ジェットストリームのナレーション</strong>は僕の長年の夢でした」そう言って僕は、あの往年の<strong>名ナレーター、城達也さん</strong>の語りを披露した。</p>
<blockquote><p>満点の星をいただく　果てしない光の海を<br />
豊かに流れゆく風に 心を開けば<br />
煌く星座の物語も聞こえてくる<br />
夜の静寂の　なんと饒舌なことでしょうか</p>
<p>（中略）</p>
<p>日本航空があなたにお送りする「音楽の定期便」<br />
ジェットストリーム<br />
皆様の夜間飛行のお供をするパイロットは私 語り人です</p></blockquote>
<p>「気がすんだかね。夢を見るのはきみの自由だが、ジェットストリームはもうナレーターの手を離れている。<strong>今は有名俳優がキャステイングされる時代</strong>だ。もう忘れなさい」</p>
<p>「わかりました。となると、ト○タ自動車の<b>ＣＭナレーション</b>の年間契約ですね！」<br />
「きみはス○ル自動車をやっていたから、それは無理に決まってるだろう。もういい。もうたくさんだ。それくらいにしておきなさい」</p>
<p>「それともまさか、ＮＨＫの子ども番組『お母さんといっしょ』の<strong>歌のお兄さん</strong>じゃないでしょうね。それは困ります！　歌はともかく、僕は顔出しはしないと…」</p>
<p>「もう、よろし。黙らっしゃい！」 言われたとおり僕は黙った。<br />
大きな咳払いをひとつして、代表は言った。</p>
<p>「語り人くん、きみ、養成所のほうで<b>発声</b>と<b>ナレーション</b>、<b>朗読</b>のクラスをもってくれないかね」<br />
「……」<br />
「そろそろ<strong>講師</strong>の経験をしておくといい」<br />
「……」<br />
「急だが、来月から毎週水曜日の19時だ」<br />
「……」<br />
「どうした？　なぜ返事をしないのかね」<br />
「黙らっしゃいとおっしゃいましたので」</p>
<p>「ここは喋るところでしょ。わたしはきみと漫才をやってるわけじゃない」<br />
「僕にもそのつもりはありません。相方にはうまいボケをかませる人を」<br />
「もう、よろし！　それで、どうなんだね。悪い話じゃないだろう」</p>
<p>「僕が<b>養成所の講師</b>を？　お言葉ですが、それは僕にとっても生徒にとっても、悪い話にカテゴライズされるでしょう」僕はもってまわった言い回しで反抗した。</p>
<p>「だいたい僕は、<strong>学校にも養成所にも行かずこの世界に入った不届き者</strong>ですよ。みんなに言われています。あいつはけしからん、つぶしてやれって」</p>
<p>「語り人くん、言わせてもらえば」代表はジロリと僕を睨んで言った。<br />
「きみに、つぶしてやりたいと<strong>嫉妬を買うほどの華やかな実績</strong>があったかね」</p>
<p>うっ。ボディに効いた。しかし腹筋は鍛えてある。まだ反撃は可能だ。</p>
<p>「では、なおさら僕は適任ではないでしょう」<br />
「後進の指導も大事な仕事だよ、語り人くん」<br />
「わからないですね。なぜ、僕なのですか？」</p>
<p>「それがわたしにもよくわからないのだよ。ともかくきみは、養成生やジュニアの若い子たちに人気があるようだね。それで決まりだ。現場だけじゃなく、教室でも彼らの面倒をみてあげなさい」</p>
<p>「面倒って、あの、代表、僕は自分の面倒をみるだけで手一杯です。無理です。ほんとうに勘弁してください」</p>
<p>そう懇願すると、代表はコホンと咳払いをしてから、パソコンのモニター画面を僕のほうに向けた。最初からこうなることを予想して準備しておいたのだろう。「<b>所属タレントのスケジュール一覧</b>」が開かれていた。</p>
<p>「きみのスケジュール、わたしの頭と同じだね」<br />
そう言って代表は、９割がた白くなった頭髪をいまいましそうに両手でかきむしった。面白くもないジョークにパフォーマンスだが、言いたいことはわかった。</p>
<p>「ほぼ真っ白です」しかたなく僕は付き合った。<br />
「そうなんだよ。寂しいねえ。黒くしたいねえ。クローは買ってでもシローってねえ」<br />
哀しげに、ため息まじりに代表は言った。</p>
<p>「＂若いときの苦労は買ってでもしろ＂ということわざで僕を励まし、なおかつそこにスケジュールの黒白をからめて、実にお見事です」<br />
ああ、なんという茶番。僕は代表が書いたシナリオどおりに喋らされていた。</p>
<p><b>芝居の上手さ</b>には定評のある代表だが、ときおり挟まずにいられないらしい<b>ギャグの稚拙さ</b>にも定評があった。</p>
<p>「きみの物分かりのよさとギャグ分かりのよさ、わたしは大好きだよ。語り人くん、やはりわたしとコンビを組まないかね」</p>
<p>ここでニヤリと不敵な笑みを見せる、その<strong>老練な演技</strong>。さすが<b>声優界</b><strong>の草分けにして重鎮</strong>。今度こそ、僕は本当に黙るしかなかった。</p>
<p>そんな経緯で<strong>発声や語りの基礎</strong>を教えるハメになったのだけど、だいぶあとになってマネージャーから「実はですね…」と真相を打ち明けられた。</p>
<p>はじめ僕よりも人気、実績ともに華やかな<b>所属声優</b>が受け持つことになっていたが、彼に大きな<b>レギュラーの仕事</b>が入った。そこで急きょ、スケジュールに空白の目立つ僕にお鉢が回ってきたらしい。人気、実績とも地味な僕に。</p>
<p>「だ、代表…だましたな。おのれ、タヌキじじいめ！」 とマネージャーの襟首を掴んだが、もちろん彼が怒られる謂れはない。</p>
<p>「でも語り人さんの授業、評判いいっスよ」<br />
おしゃべりなマネージャーくんは、またしても余計なことを言ってしまったようだ。<br />
「あのねえ、<strong>クライアントや制作会社の評判が命</strong>なの、オレたちは」</p>
<p>「でも語り人さん、楽しそうに教えてるじゃないっスか。ノリノリで」<br />
と言いながらマネージャーくんは腰をクネクネと揺らした。どうやら僕のマネをしているつもりらしい。</p>
<p>「オレはそんなカッコわるい腰の振り方はしない。 いや、だいたい腰なんか振らない！」<br />
「いや、あれが色っぽいって評判が」<br />
「評判って、教え方じゃないのか。もういい！」</p>
<p>閑話休題。<br />
僕はいったい、何の話をしていたのか。 そうだ、大手企業に勤務するＭさんの話だった。</p>
<p>ええ、その話は、また次回ということで。<br />
とりあえず今日は「<b>語り人はいかにしてボイス講師になったか</b>」<br />
というお話でした。では、ご免！</p>
<div class="point">
<h3><span>今日のボイスメモ、あるいは、声にまつわるささやかな教訓</span></h3>
<ol>
<li><span style="color: #ff6600;">声や話し方をどう変えて、何を成し遂げたいか</span>、目的を明確にする。</li>
<li><span style="color: #ff6600;">うまい話や巧妙な誘い</span>にはまず裏があると心得よ。</li>
<li>自分を大きく売り込むには<span style="color: #ff6600;">ユーモアのセンス</span>が不可欠だ。</li>
<li>目上の人のヘタな（あるいは寒い）ギャグにどれだけ付き合えるか。これは<span style="color: #ff6600;">成功の秘訣</span>が10あるとすれば、3位くらいにランクインするんじゃないかと僕は確信している。</li>
</ol>
</div>
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